Music Mania

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サロメの唇

2023年04月08日 | 邦楽
サロメの唇という昭和歌謡に強い影響を受けたバンドを知ったのはつい最近のことだ。
残念ながらちょっと前に解散してしまったのだが、彼らの残した音楽は今も聴くことが出来る。
そのセンス、楽曲のクオリティーの高さ、歌や演奏のスキルの高さに驚き、すっかりはまってしまった。

サロメの唇は、ベースの水のさとしが仕切っていて、楽曲制作だけでなく、総合プロデューサーとしてのイメージ戦略、さらにマネージメントまでやっていたようで、彼がいかにディープな昭和マニアなのかがよくわかる。
おそらく歌謡曲だけでなく、昭和40年代から50年代はじめくらいの映画、テレビ番組、さらに現代に残る昭和的施設(ドライブインや怪しげな秘宝感など)も研究していると思われる。
そんな水のさとしの思い描く昭和的世界観を見事に表現しているのが、ボーカルの橘京子(芸名っぽい)だ。
昭和の女性ボーカルといってもいろいろなタイプがいるわけで、曲に合わせてあるときは美空ひばり風、あるときは和田アキ子風、そしてあるときは中島みゆき風だったりするのだ。

彼らの音楽を聴くと、僕のような昭和生まれ昭和育ちの人間には、いかにも当時そのものの歌謡曲のように聴こえるが、よく聴くと決して昭和の頃にはなかった現在のロックであることがわかる。
昭和歌謡の演奏は基本的にビッグバンド形式であることが多いが、サロメの唇はシンプルにギター、ベース、ドラム、フルートだけで、せいぜいたまにピアノが入るくらいだ。
こんなにシンプルなロックサウンドで歌謡曲のバックを固めているような曲は昭和の頃はほとんどなかったはずだ。
それでいながら、ここまで昭和を感じさせるメロディ、アレンジ、歌唱などはさすがだと思う。

もう一つ彼らの特徴で取り上げねばならないのは、民謡や音頭といった日本古来の音楽を取り入れているところだ。
岡林信康なんかもエンヤトットのリズムを取り入れたりしてたが、サロメの唇はもっと高度に民謡とロックの融合が成功していて、違和感がない。
好き嫌いは分かれるところだと思うが、これはいい試みだ。
それだけに、解散したのが惜しい。

サロメの唇 / サルビアをわたしに
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