政府は東日本大震災の復興財源確保のために国家公務員給与を引き下げるといい、大手マスコミや一部学者・評論家らもそれらに追随して一斉にキャンペーンを張っている。
果たして、このようなやり方が正しいのか、このような政策でほんとうに財源が確保できるのか?
昨年、労働運動総合研究所
(労働総研)が行った、国家公務員と地方公務員や地方公営企業公務員625.8千人の賃金を10%削減した場合の経済や財政に与える影響について試算が出ています。それによると、対象労働者の賃下げによって家計減少は3兆4710億円。入りが減れば当然に出(消費)も減るわけで、それによって国内生産は5兆8472億円も落ち込むという。
政府は今回の賃下げで、2900億円の財源を確保するとしていますが、10%の賃下げによって労働者と企業が支払う税は国・地方合わせて約5401億円も減るという。なんのことはない、これでは復興財源の確保どころか、財源の「掘り崩し」ということになってしまうだ。
民間労働者の賃下げは公務員の賃下げを招き、さらに民間の賃下げにと「賃下げのスパイラル」がつづいている。結果、賃金は、1997年の467万円をピークに2010年には412万円と年間55万円も減少している。当然に、所得税収は1997年に12兆1401億円あったものが、2010年には7兆5009億円と、約4兆6000億円も低下している。
公務員は東日本大震災の復旧・復興でも懸命にがんばっている。国民のくらしと安全を守るためにもっと頑張って働いてもらうためにも、こうした人たちに冷や水を浴びせるようなやり方はすべきではありません。
「公務員はもらい過ぎ」「公務員は身を切るべきだ」…の人受けする言葉に惑わされてはならないのでは。
「国家公務員の賃下げ」= 収入減(家計窮乏) ⇒ 消費減(景気減速) ⇒ 税収減(財政破綻)という「最悪のスパイラル」を招かないためにも。