サワオトギリ 2021年7月中旬 岐阜県の山地帯
用水のふちにたくさんサワオトギリが咲いてきた。今、野山は春~初夏の花から、夏~秋の花へと、ちょうど切り替え時期にあり、これからの時期を最盛期とする花がどんどん咲き出している。春~初夏の花は暖かい地方から順に咲いてくるのだが、夏~秋の花は涼しい地方から先に咲き出し暖かい地方の方が遅くなるのが面白いところだ。夏至あたりを境に守備する植物がチェンジするのだろうか。
オトギリソウの仲間は葉が水をはじくのが顕著で、このサワオトギリだけでなく普通のオトギリソウも葉の上にコロコロと水滴を載せているのをよく見る。サワオトギリのほかに、オトギリソウ、コケオトギリ、シナノオトギリなどいろいろある。
この写真はサワオトギリだと思う。葉を取ってルーペで見たりして確かめたわけではないが。見た目ではサワオトギリである。オトギリソウの仲間は地域変種が多くて見分けが難しい。が、サワオトギリの地域変種の話は聞いたことがない。見分けの難しさについてはいつか書こうと思う。
オトギリソウ(サワオトギリではない)は日本でも西洋でも薬草として有名で、それはググればたくさん出てくるのでここには多くは書かないが、さまざまな薬効を持っているらしい。誰も書いていなさそうなことをここに書くと(以前にも記事にしたが)、マムシ酒に1本入れるとマムシの臭さが消えるらしい。これは、故村上光太郎先生という薬草の大家がおっしゃっていた。村上先生は全て自分で試しておっしゃっておられる。自分で確認したことだけを口にするという、研究者の鏡である。ほかの記事の寄せ集め・パクリばかりで自分で確認したことは何一つ書いてない最近の多くの(あえて言えばほとんどの)ネット上のまとめサイトとはえらい違いである。ネット上にある「〇〇図鑑」的なサイトや「〇〇おすすめ7選」などのほぼ全てといっていいぐらいのものが実は寄せ集めまとめサイトであり、「~だそうだ」という伝聞体も用いず断定的で、引用元も記しておらず、そのため多くのデタラメがあり、ゆえに書いているのは植物のことなどこれまで全然勉強してないライターであると推定され、これらの目に余る行いについてはいずれ記事にしたいと思っている(今してるな)。私もそういったおすすめ記事をいつか書いてみんなに読んでもらいたいが、自分の体験で知ってるものや、あるいは本で読んだり誰かに聞いたとしてもしっかり自分の中に落ちて消化しているものに自分の意見を加えて書きたいものだ。それでなければ書く意味がない。
と、苦々しさのあまり話が暴走した。もうネット上は無法地帯であり、パクリはデフォルトで行われて悪いとはされていない世界なのだ。これを悪いと思うのは老人なのだろう多分。(話が終わらないくどい老人……)
で、オトギリソウが薬草であればサワオトギリも薬草かというと、今手元に薬草図鑑がないのでよく分からない。それこそ自分で服用して体験してみれば分かるというものだ……けど。西洋にはセイヨウオトギリソウというのがあり、これはセントジョーンズワートというハーブとして日本でもよく売られている。京都大原のベニシアさんが大好きなハーブだ。しかしこのセントジョーンズワートは西洋では毒草として扱われるという。毒も薬も表裏一体で、多くの人にいい効果があるものも、人によっては悪い影響が出る。食養生とか健康法とかの流行りのものをむやみに真似しない方がいい。やるときはほんの少し試してみて、良かったら量を増やすことである。
話を戻すと、種が近縁であれば効果は全部同じかというと、そうでもない場合もよくあるので、注意しないといけない。
で、以上の話をまとめると、沢に咲くサワオトギリが水滴を載せてきれいだったということでした。
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