内田幹樹の「機体消失」読了。前作が予想外に小さく纏まっていた反面、第二作の本書では逆にちょっとだけ大きめに踏み出した感じ。そしてそこに僕はちゃんと騙された訳だから、まずまず及第点だ。
一方、前半と後半のバランスが悪い。登場人物の会話がへたくそすぎなどの課題が明確化。唐突に登場する音楽の趣味や、ジャンボ機をキャデラックのように良いとするような描写は、気になる人は気になるんじゃないのかな。
なんて思いつつ、このまま内田幹樹の本を読み進むか、ちょっと脱線するかが思慮の為所であった訳だ。折りしもネルソン・デミルの「ナイトフォール」が刊行され、丁度良いタイングだったので飛びついた。
そしたら本書は主人公は「ブラム・アイランド」や「王者のゲーム」で活躍した、ジョン・コーリーで、1996年に起きたTWA墜落事故に絡んだ話。正に航空機小説そのものであった訳なのだ。
ネルソン・デミルと云えばその昔「亜音速漂流」で読者のどきもを抜いた傑作で、この時期に併せて来たのは間違いなく出版社の「意図」であろう。そして一読者として、一マニアとしてその戦略に「乗って」みることにした。
ところでも先般、父から電話、「マイクル・コナリーの『暗き聖なる夜』の<下>がない。捜して送るように。」
「(下巻だけない訳ないんだけど)」
子供の時分から家族で同じ本を回し読みして良し悪しを語るのが僕の家の団欒の一部であった訳だが、母が亡くなり、父は脳卒中で倒れ、半身不随になりつつも、どうにか一命を取り留めた状態でどこまで本を理解して読んでいるのだろうかなんて考えもちょっとあった訳だが、こりゃちゃんと解ってるのね。完璧に。
なんてったって、マイクル・コナリーの『暗き聖なる夜』である。下巻を無くしているところには目を瞑って、ここ最近送り続けた数々の本を「つまらん」と一蹴しつつも、「マイクル・コナリーの『暗き聖なる夜』の<下>がない。」だぜ。それもちゃんと「マイクル」と言っていた。これは事件だよな。
カミさん「バッテリーⅠ~Ⅵ」読了したそうな。感想に関してカミさんと大激論。激論を呼ぶこと自体が本の力か、単に好き嫌いなのかで更に激論。
かくして、夜は更け本を巡る冒険は続くのであった。