私は2004年(平成16年)の秋、ある民間会社に35年近く勤めて定年退職後、
多々の理由で年金生活を始め、早や11年目となり70歳の身であり、
家内は私より5歳若く65歳となっている。
私たち夫婦は38年寝食を共にしてきた結婚生活の中で、幾重かの人生の荒波を乗り越えてきたが、
ここ10年の年金生活は安楽の日々を過ごしてきた。
こうした中で私たち夫婦の年金生活を、ご近所の方の奥様たちが見かけて、
あなたたちはお若いわ、と社交辞令のお世辞を頂くこともある。
私たち夫婦は、子供に恵まれなかったので、我が家は家内とたった2人だけの家庭であり、
長き結婚生活の中に於いて、最大の誤算となっている。
私は何かと母の遺伝を受けたらしく男の癖におしゃべりなので、
家内と結婚前に交際していた時から、
私は家内に対して、XXちゃん付けで呼んだりしている。
そして私たち夫婦は語り合うことが多く、旅先の宿泊の食事処で、会話のないご夫婦を見かけると、
私は幾たびか驚いたりしてきた。
そして世の中の多く人たちから、人生の3大支出は教育資金、住宅資金、老後資金と言われたりしているが、
たまたま我が家は子供の「教育資金」は不要となったので、
定年した直後から年金生活を開始できたことも事実である。
もとより子供がいれば、圧倒的に育てる喜びもあるし、子供の笑顔に何よりも癒(いや)されるし、
ときには苦渋することもあると、知人たちから教えられてきたが、
無念ながらこうしたことの体験は、私たち夫婦は欠落している。
そして果たしていつの日まで、もとより子供にも頼ることができない私たち夫婦は、
ささやかな日々が続くのだろうか、と私はよぎることもある。
本日の午前中のひととき、ときおり雨が激しく降るので、買物と散策を中止し、
私が愛読している講談社の基幹サイトのひとつの【現代ビジネス 】を見たりした中で、
【老後の不安が止まらない……予期せぬ出費が次々あなたに襲いかかる】と見出しされ、
副題として【70過ぎたら、おカネがどんどん出ていく【前編】】と明記されていた・・。
もとより私も70歳の身であり、クリックして読みなから、幾たびか溜息を重ねて、悲嘆させられた・・。
この原文は『週刊現代』の2015年8月8日号に掲載された記事であり、
無断ながら記事を転載させて頂く。
《・・真面目に働き、この国の高度成長を担ってきた。
現役時代にこつこつ貯めたカネと年金で、老後は安心して暮らせると思っていた。
それなのに、ああ、なぜこんなに財布の中身が不安で仕方がないのか。
◎まとまった出費はないのに
「当たり前の生活をしてきたと思うんですが、なんでこんなに経済的に困るんだろうと思いますよ。
車も軽自動車に乗りかえましたし、外食などしばらくしていません。
娘にマンションの頭金をいくらか出してくれないかと言われたときには、妻と一晩徹夜で話し合いました。
相手方(娘の夫の実家)の手前もあって、結局300万円出したのですが、
それは万が一の際にとっておこうと思っていた資金でしたから……」
埼玉県在住の田山恒和さん(72歳・仮名)は、苦しい胸の内をこう語る。
日本は「70歳まで現役」の時代に突入したとされ、
OECDの統計でも、日本人男性の実効退職年齢は69・1歳に達しているとされる。
ところが、長い年月働き続け、ようやく真のリタイアを迎えた、
70歳以降の人々から、いま「カネがどんどん減っていき、不安で仕方がない」、
「予期せぬ出費で苦しく、悠々自適の老後にはほど遠い」といった声があがっている。
とりたてて派手な生活をしているわけでもないのに、
気づけば、貯金が底をつくのではと心配するハメになっている。
70過ぎてからおカネがどんどん出ていく原因とは、いったい何なのか。
冒頭の田山さんは、大学卒業後、中小の機械部品メーカーに就職して約40年間、経理畑を歩んできた。
60歳での定年後も再雇用され、68歳まで仕事をつづけた。
月々の収入は基礎年金と厚生年金を合わせて夫婦で23万円弱。
60歳の定年時に退職金が約900万円出たが、
自宅ローンの残金を返済したため、大きく目減りした。
68歳の時点で、現役時代からの蓄えと合わせて2000万円の預貯金があったものの、
前出の娘夫婦のマンション購入を助けた件もあり、すでに1600万円を割り込んでいる。
「まとまった出費はしないように気を付けていますが、ダラダラとカネが出ていくんです。
たとえば医療費。幸い夫婦とも大病はしていませんが、私は高血圧と軽い狭心症、女房には糖尿の気があって、
近所の病院に月に1~2回、お世話になっている。
その診察と薬の費用を見ると、私は月約8000円、女房は最近、歯の治療もあって約2万円払っています。
3歳年下の妻は今年70歳になりますが、健康保険の制度が変わったので、
私が1割ですんだ自己負担が、2割になる。
ただ自己負担の限度額を超えているから、結局は月1万2000円になるのかな」
◎想定外のペットの費用
これなどはまだ想定の範囲内だった。
だが田山さんは家計を見直して、意外な出費に驚いた。その一つがペットの費用だ。
「犬を飼ったら散歩をするから健康にもいいなどと考えて、70歳を目前に柴犬を飼い始めました。
孫たちも中学生になって塾通いが忙しくて、休みでもなかなか会いにきてくれない。
とくに女房にとってはその代わりというのもあるんでしょう、
犬を大いに可愛がっているんですよ。
しかしね。私たちが子供の頃とはちがって、いまどきの犬にはカネがかかるんだ」(田山さん)
エサなどは自分たちの食事を分ければいいと思っていた田山さん。
だが獣医に「人間の食事では塩分過多になる」と止められ、ドッグフードを買うことに。
予防注射などで動物病院に通うと、他の飼い主から
「犬も長生きするようになって、がんや歯槽膿漏、認知症で通院することが多い」と言われた。
散歩で出会う他の飼い主の手前もあり、おしゃれな首輪や犬用の服まで買った。
気づけば出費は年間約10万円。
「犬に罪はないが、これが10年、15年続くと思うと気が重い」(田山さん)
◎もう一つ気になっているのは、妻が通う市のスポーツセンターの費用だ。
「温水プールやランニングマシンのある部屋があって、いい施設なんです。
65歳を超えると利用は基本タダですし。ただ、女房はそこにある、大浴場にも必ず行くんだな。
するとロッカー代なんかも入れて、毎回400円近く取られてしまう」
糖尿病の悪化を避けたい気持ちもあり、妻は3日とあげず通っている。
民間施設より格安なのはもちろんだが、それでも月約6000円の出費だ。
「『温泉にも行かないんだし、それくらいは』と女房は言う。
私だって、たまには旅行くらい行きたいですよ。
しかし、いまの生活でも、なんだかんだで月4万円は赤字なんだ。年間50万円弱でしょう。
我々があと20年間、大病もせず、介護の費用もかからずに、同じ生活を続けられたとしても、
貯蓄を1000万円食いつぶすわけです。
70過ぎたら、もうまとまった収入なんてないですからね。
犬を捨てるわけにはいかないんだから、女房には大浴場通いを減らしてもらわないと……」
◎思わぬ「税金」が負担になる
介護問題やリタイア後の生活事情に詳しいNPO法人「二十四の瞳」の山崎宏代表は、こう話す。
「いまの子育て世代は、かつてと違って子供の塾や習い事で手いっぱい。
さらには伴侶に先立たれるなどして、家族とコミュニケーションする機会が少なくなり、
70過ぎから『毎日、何をして過ごそう』と悩む方は多いんです。
初めはおカネのかからない公共の図書館や公民館に通う人も多いのですが、
それに飽きてしまうとパチンコに行く人が増える。
親類が気づいたときには、知人から借金までしてパチンコ漬けになっていたと相談を受けたこともあります」
また意外な出費につながるのが、生涯学習の勉強会や地域のカラオケの会などだという。
それ自体にかかる費用は少なくても、
同好の士と意気投合して『今度旅行に行きましょうか』といった話になりやすい。
だからといって、出費を警戒しすぎ、自宅に引きこもるのもつまらない。
現役時代以上に、財布との相談が重要になってくるのだ。
一方、意外な「税金」が家計の足かせになっているという人もいる。
東京・練馬区在住の早川隆弘さん(74歳・仮名)は、島根県出身。
実家を継いだ兄夫妻の子供は早くに亡くなり、
3年前に兄が死去すると実家の土地や畑が「転がり込んできた」(早川さん)。
地方の山間部で相続税も安く、何の警戒もしないままに相続したという。
「ところがこれが曲者だった。不動産屋に相談したら、
『山奥の土地なんて、いまどき売れません』とけんもほろろ。
隣近所に直接、話を持ちかけてみたけれど、どこも私以上の高齢者ばかりで、誰も買ってくれない」
売れないだけならまだしも、この土地は意外にカネを食った。
支払う固定資産税は毎年4万円近い。
盆暮れの挨拶に年2万円ほどの品物を送って、
道路際の草をむしってもらっている近所の住人からは、
「建物が朽ち始めて不用心だから、取り壊したほうがいい」と電話があった。
解体業者に問い合わせると、山間部にまで入っての作業になるため割高となり、
百数十万円かかると言われた。
「まさに踏んだり蹴ったりですよ。
こんな負の遺産を息子にまで継がせたくない。私の代でどうにかしないと」(早川さん)
相続対策を進めようとして、かえって意外な出費に驚かされたという人もいる。
東京・三鷹市在住の菅原利一郎さん(78歳・仮名)は、こう話す。
「うちの周りは、都内とは言っても、ひと昔前まで畑ばかりだった。
それで、大した資産家だったわけでもないんですが、私の父が買った土地が150坪近くあるんです。
これについて、息子二人が『最近は近所が開発されて地価が上がったから、
そのまま相続するのはきつい』という。
彼らがあれこれ考えて、賃貸併用住宅というのを建ててくれという話になった。
小さな自宅とアパートが合体したようなものですよ。
それをやると、100坪以上あるような土地でも相続税の控除が受けられる。
しかも、『オヤジには家賃が入るから、一石二鳥だ』なんて調子のいいことを言っていたんです」
息子たちの言う相続税の控除とは、「小規模宅地等の特例」のことだ。
居住用の土地であれば、330m2(約100坪)までが小規模宅地とされ、評価額が8割減額される。
100坪超ではこの特例は適用されないが、
賃貸住宅を併設すれば居住用+貸付事業用の宅地という扱いになり、
100坪を超える土地でも控除が受けられる。
さらに賃貸住宅と一体化した自宅の場合、建物の評価額にも控除がある。
「だけどね」と菅原さんは腹立たし気にこう語る。
「私たち夫婦も確かに歳だし、自宅をバリアフリーのリフォームくらいしてもよかった。
補助金も受けられて大々的にやっても数百万円程度ですよ。
ところが息子たちがいざ業者を連れてきたら、賃貸併用住宅を建てるのに、
あれやこれやで8000万円近くかかるという。
この歳で私が土地を担保に、息子と25年の『親子ローン』を組まされるんだ。
住宅メーカーは、家賃は計算上、手取りで月40万円弱入りますよ、
それも10年保証ですよ、などと言うけれども、
よくよく聞けば家賃は実情に合わせて引き下げるという。
日本の人口が減っている時代に、将来の家賃収入なんてあてになりませんよ。
まあ、妻までが言いくるめられて、それが時流だというから、しぶしぶ承知しましたけどね……」
ローンを少しでも減らそうと、預貯金から1000万円近くを払った。
「土地から現金収入が入っても、これでは何をしているかわからない」と菅原さん。
自宅を片付けている間に、妻は転んで足を骨折した。
「打ちどころが悪かったら寝たきりになったかもしれん。
そしたら家賃収入なんか介護ですぐに消えちまいますよ」と不満はつきない。
「だいたいね、古臭いかもしれないけど、息子たちもいい大人なんだ。
『父さん母さん、今までありがとう』
とリフォーム費用でも出してくれるというのが当たり前ってもんでしょう。
それを、相続税が高いからどうのこうのと。
相続税を払うのはお前たちで、父も母も先に死ぬんだ、好きにしろと言いたいですよ。
しかし、妻がね。息子たちは給料も昔みたいには上がらないのよ、
年金ももらえないかもしれないのよと言うもんだから……」
◎「墓じまい」で200万円
さらに、人生最終盤での思わぬ出費に目を丸くする人もいる。
東京・杉並区在住の高野まり子さん(76歳・仮名)は、三重県にあった実家の墓で、思わぬ出費に襲われた。
「もう田舎には親類もいなくて、お墓があるだけでした。
私もいい歳だし、田舎に縁も感じていない娘たちにお墓参りに行ってもらうわけにもね」
そこで「墓じまい」をして代々の遺骨を引き取り、東京の霊園に改葬しようと考えた。
墓のある寺に相談をすると、
「それなら離檀料100万円、墓の撤去や整地でさらに100万円」と言われたという。
離檀料とは檀家をやめる挨拶金といった意味合い。
近年の経営難もあって、高額の離檀料を請求する寺院もあり、トラブルが増加している。
ファイナンシャル・プランナーの横川由理氏は、
「離檀料の金額に法的規制はなく、寺院が自由に設定できますが、
あまりに高額な離檀料は払わなくてよいという判決も出ています」と話すが
高野さんには法廷闘争をする気力はなかった。
懐事情を話して180万円にまけてもらい、墓を移した。
「その出費がなければ、東京に『ここがいいな』という霊園もあったんですが……
結局、もっと安いところで永代供養の墓所を探して納めました。
私もそこに入ります」
医療費、ペット、人付き合いでの出費、固定資産税に相続対策、そして墓……。
意外な出費には大小あるが、小さいものも積もれば山となり、貯蓄を目減りさせていく。
いったいどうすればよいのか。・・》
注)記事の原文に、あえて改行を多くした。
私は民間会社のこの当時は大手企業に何とかし中途入社できたのは、1970年(昭和45年)の春であり、
まもなく分離独立した会社が設立され、私は転属させられて、
この中小業の会社に35年近く奮戦し、2004年(平成16年)の秋に定年退職した身である。
そして最後の5年半はリストラ烈風の中、あえなく出向となり、やがて出向先で定年を迎えた。
日本は長年、大手企業数は1%で、中小企業数は99%の実態の中で、
大手企業と中小企業の企業間格差について『7・5・3』があり、
大手企業に対し中小企業は、月給が7割、賞与5割、退職金は3割、と一般的にそれぐらいの差がある、
と伝えられきた・・。
私は中小業の会社に勤めて、この間に幾たびのリストラの中、
何とか障害レースを乗り越えて、定年を迎えることができたので、敗残者のようなサラリーマン時代を過ごした。
このように私のつたないサラリーマン時代であり、もとより一流大学を卒業され、大企業、中央官庁などに
38年前後を邁進し栄達されたエリートとは、遥かに遠い存在である。
このように悪戦苦闘の多い中で、敗残者のような状況であったので、
せめて残された人生は、多少なりとも自在に過ごしたく、その直後から年金生活を始めた・・。
私は定年退職する数年前の頃、経済にも疎(うと)く、
信愛している経済ジャーナリストの荻原博子さんなどの数多く著名人の寄稿文を読んだりした。
こうした中で、デフレ経済の蔓延している中、公的年金を受け取りながら堅実に年金生活をし、
預貯金が3000万円あれば、少しづつ取り崩して生活すれば、少しはゆとりのある年金生活ができる、
と学んだりした。
そして世の中の多く人たちから、人生の3大支出は教育資金、住宅資金、老後資金と教示されたが、
私たち夫婦は無念ながら子供に恵まれなく、「教育資金」は不要となったので、
少し多めの預貯金ができたこともあり、定年した直後から年金生活を開始ができたのも確かなことである。
我が家の生計は原則として、私たち夫婦はお互いに厚生年金とわずかな企業年金を頂いた範囲で、
日常生活を過ごすことを原則としている。
そして耐久品の購入、冠婚葬祭、そして私たち夫婦の共通趣味の国内旅行に関しては、
程々の貯金を取り崩して、ここ10年ささやかな年金生活を過ごしてきた・・。
やがて大病したりした後、介護の身となれば、お札が飛んで行くような生活になっている、
と上司だったひとりから、私は教えられたりした。
平穏な年金生活でも、今回の記事ような出来事になると、老後のささやかな人生設計も、
大幅に修正を余儀なくされることに、幾たびか溜息を重ね、悲嘆している。
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多々の理由で年金生活を始め、早や11年目となり70歳の身であり、
家内は私より5歳若く65歳となっている。
私たち夫婦は38年寝食を共にしてきた結婚生活の中で、幾重かの人生の荒波を乗り越えてきたが、
ここ10年の年金生活は安楽の日々を過ごしてきた。
こうした中で私たち夫婦の年金生活を、ご近所の方の奥様たちが見かけて、
あなたたちはお若いわ、と社交辞令のお世辞を頂くこともある。
私たち夫婦は、子供に恵まれなかったので、我が家は家内とたった2人だけの家庭であり、
長き結婚生活の中に於いて、最大の誤算となっている。
私は何かと母の遺伝を受けたらしく男の癖におしゃべりなので、
家内と結婚前に交際していた時から、
私は家内に対して、XXちゃん付けで呼んだりしている。
そして私たち夫婦は語り合うことが多く、旅先の宿泊の食事処で、会話のないご夫婦を見かけると、
私は幾たびか驚いたりしてきた。
そして世の中の多く人たちから、人生の3大支出は教育資金、住宅資金、老後資金と言われたりしているが、
たまたま我が家は子供の「教育資金」は不要となったので、
定年した直後から年金生活を開始できたことも事実である。
もとより子供がいれば、圧倒的に育てる喜びもあるし、子供の笑顔に何よりも癒(いや)されるし、
ときには苦渋することもあると、知人たちから教えられてきたが、
無念ながらこうしたことの体験は、私たち夫婦は欠落している。
そして果たしていつの日まで、もとより子供にも頼ることができない私たち夫婦は、
ささやかな日々が続くのだろうか、と私はよぎることもある。
本日の午前中のひととき、ときおり雨が激しく降るので、買物と散策を中止し、
私が愛読している講談社の基幹サイトのひとつの【現代ビジネス 】を見たりした中で、
【老後の不安が止まらない……予期せぬ出費が次々あなたに襲いかかる】と見出しされ、
副題として【70過ぎたら、おカネがどんどん出ていく【前編】】と明記されていた・・。
もとより私も70歳の身であり、クリックして読みなから、幾たびか溜息を重ねて、悲嘆させられた・・。
この原文は『週刊現代』の2015年8月8日号に掲載された記事であり、
無断ながら記事を転載させて頂く。
《・・真面目に働き、この国の高度成長を担ってきた。
現役時代にこつこつ貯めたカネと年金で、老後は安心して暮らせると思っていた。
それなのに、ああ、なぜこんなに財布の中身が不安で仕方がないのか。
◎まとまった出費はないのに
「当たり前の生活をしてきたと思うんですが、なんでこんなに経済的に困るんだろうと思いますよ。
車も軽自動車に乗りかえましたし、外食などしばらくしていません。
娘にマンションの頭金をいくらか出してくれないかと言われたときには、妻と一晩徹夜で話し合いました。
相手方(娘の夫の実家)の手前もあって、結局300万円出したのですが、
それは万が一の際にとっておこうと思っていた資金でしたから……」
埼玉県在住の田山恒和さん(72歳・仮名)は、苦しい胸の内をこう語る。
日本は「70歳まで現役」の時代に突入したとされ、
OECDの統計でも、日本人男性の実効退職年齢は69・1歳に達しているとされる。
ところが、長い年月働き続け、ようやく真のリタイアを迎えた、
70歳以降の人々から、いま「カネがどんどん減っていき、不安で仕方がない」、
「予期せぬ出費で苦しく、悠々自適の老後にはほど遠い」といった声があがっている。
とりたてて派手な生活をしているわけでもないのに、
気づけば、貯金が底をつくのではと心配するハメになっている。
70過ぎてからおカネがどんどん出ていく原因とは、いったい何なのか。
冒頭の田山さんは、大学卒業後、中小の機械部品メーカーに就職して約40年間、経理畑を歩んできた。
60歳での定年後も再雇用され、68歳まで仕事をつづけた。
月々の収入は基礎年金と厚生年金を合わせて夫婦で23万円弱。
60歳の定年時に退職金が約900万円出たが、
自宅ローンの残金を返済したため、大きく目減りした。
68歳の時点で、現役時代からの蓄えと合わせて2000万円の預貯金があったものの、
前出の娘夫婦のマンション購入を助けた件もあり、すでに1600万円を割り込んでいる。
「まとまった出費はしないように気を付けていますが、ダラダラとカネが出ていくんです。
たとえば医療費。幸い夫婦とも大病はしていませんが、私は高血圧と軽い狭心症、女房には糖尿の気があって、
近所の病院に月に1~2回、お世話になっている。
その診察と薬の費用を見ると、私は月約8000円、女房は最近、歯の治療もあって約2万円払っています。
3歳年下の妻は今年70歳になりますが、健康保険の制度が変わったので、
私が1割ですんだ自己負担が、2割になる。
ただ自己負担の限度額を超えているから、結局は月1万2000円になるのかな」
◎想定外のペットの費用
これなどはまだ想定の範囲内だった。
だが田山さんは家計を見直して、意外な出費に驚いた。その一つがペットの費用だ。
「犬を飼ったら散歩をするから健康にもいいなどと考えて、70歳を目前に柴犬を飼い始めました。
孫たちも中学生になって塾通いが忙しくて、休みでもなかなか会いにきてくれない。
とくに女房にとってはその代わりというのもあるんでしょう、
犬を大いに可愛がっているんですよ。
しかしね。私たちが子供の頃とはちがって、いまどきの犬にはカネがかかるんだ」(田山さん)
エサなどは自分たちの食事を分ければいいと思っていた田山さん。
だが獣医に「人間の食事では塩分過多になる」と止められ、ドッグフードを買うことに。
予防注射などで動物病院に通うと、他の飼い主から
「犬も長生きするようになって、がんや歯槽膿漏、認知症で通院することが多い」と言われた。
散歩で出会う他の飼い主の手前もあり、おしゃれな首輪や犬用の服まで買った。
気づけば出費は年間約10万円。
「犬に罪はないが、これが10年、15年続くと思うと気が重い」(田山さん)
◎もう一つ気になっているのは、妻が通う市のスポーツセンターの費用だ。
「温水プールやランニングマシンのある部屋があって、いい施設なんです。
65歳を超えると利用は基本タダですし。ただ、女房はそこにある、大浴場にも必ず行くんだな。
するとロッカー代なんかも入れて、毎回400円近く取られてしまう」
糖尿病の悪化を避けたい気持ちもあり、妻は3日とあげず通っている。
民間施設より格安なのはもちろんだが、それでも月約6000円の出費だ。
「『温泉にも行かないんだし、それくらいは』と女房は言う。
私だって、たまには旅行くらい行きたいですよ。
しかし、いまの生活でも、なんだかんだで月4万円は赤字なんだ。年間50万円弱でしょう。
我々があと20年間、大病もせず、介護の費用もかからずに、同じ生活を続けられたとしても、
貯蓄を1000万円食いつぶすわけです。
70過ぎたら、もうまとまった収入なんてないですからね。
犬を捨てるわけにはいかないんだから、女房には大浴場通いを減らしてもらわないと……」
◎思わぬ「税金」が負担になる
介護問題やリタイア後の生活事情に詳しいNPO法人「二十四の瞳」の山崎宏代表は、こう話す。
「いまの子育て世代は、かつてと違って子供の塾や習い事で手いっぱい。
さらには伴侶に先立たれるなどして、家族とコミュニケーションする機会が少なくなり、
70過ぎから『毎日、何をして過ごそう』と悩む方は多いんです。
初めはおカネのかからない公共の図書館や公民館に通う人も多いのですが、
それに飽きてしまうとパチンコに行く人が増える。
親類が気づいたときには、知人から借金までしてパチンコ漬けになっていたと相談を受けたこともあります」
また意外な出費につながるのが、生涯学習の勉強会や地域のカラオケの会などだという。
それ自体にかかる費用は少なくても、
同好の士と意気投合して『今度旅行に行きましょうか』といった話になりやすい。
だからといって、出費を警戒しすぎ、自宅に引きこもるのもつまらない。
現役時代以上に、財布との相談が重要になってくるのだ。
一方、意外な「税金」が家計の足かせになっているという人もいる。
東京・練馬区在住の早川隆弘さん(74歳・仮名)は、島根県出身。
実家を継いだ兄夫妻の子供は早くに亡くなり、
3年前に兄が死去すると実家の土地や畑が「転がり込んできた」(早川さん)。
地方の山間部で相続税も安く、何の警戒もしないままに相続したという。
「ところがこれが曲者だった。不動産屋に相談したら、
『山奥の土地なんて、いまどき売れません』とけんもほろろ。
隣近所に直接、話を持ちかけてみたけれど、どこも私以上の高齢者ばかりで、誰も買ってくれない」
売れないだけならまだしも、この土地は意外にカネを食った。
支払う固定資産税は毎年4万円近い。
盆暮れの挨拶に年2万円ほどの品物を送って、
道路際の草をむしってもらっている近所の住人からは、
「建物が朽ち始めて不用心だから、取り壊したほうがいい」と電話があった。
解体業者に問い合わせると、山間部にまで入っての作業になるため割高となり、
百数十万円かかると言われた。
「まさに踏んだり蹴ったりですよ。
こんな負の遺産を息子にまで継がせたくない。私の代でどうにかしないと」(早川さん)
相続対策を進めようとして、かえって意外な出費に驚かされたという人もいる。
東京・三鷹市在住の菅原利一郎さん(78歳・仮名)は、こう話す。
「うちの周りは、都内とは言っても、ひと昔前まで畑ばかりだった。
それで、大した資産家だったわけでもないんですが、私の父が買った土地が150坪近くあるんです。
これについて、息子二人が『最近は近所が開発されて地価が上がったから、
そのまま相続するのはきつい』という。
彼らがあれこれ考えて、賃貸併用住宅というのを建ててくれという話になった。
小さな自宅とアパートが合体したようなものですよ。
それをやると、100坪以上あるような土地でも相続税の控除が受けられる。
しかも、『オヤジには家賃が入るから、一石二鳥だ』なんて調子のいいことを言っていたんです」
息子たちの言う相続税の控除とは、「小規模宅地等の特例」のことだ。
居住用の土地であれば、330m2(約100坪)までが小規模宅地とされ、評価額が8割減額される。
100坪超ではこの特例は適用されないが、
賃貸住宅を併設すれば居住用+貸付事業用の宅地という扱いになり、
100坪を超える土地でも控除が受けられる。
さらに賃貸住宅と一体化した自宅の場合、建物の評価額にも控除がある。
「だけどね」と菅原さんは腹立たし気にこう語る。
「私たち夫婦も確かに歳だし、自宅をバリアフリーのリフォームくらいしてもよかった。
補助金も受けられて大々的にやっても数百万円程度ですよ。
ところが息子たちがいざ業者を連れてきたら、賃貸併用住宅を建てるのに、
あれやこれやで8000万円近くかかるという。
この歳で私が土地を担保に、息子と25年の『親子ローン』を組まされるんだ。
住宅メーカーは、家賃は計算上、手取りで月40万円弱入りますよ、
それも10年保証ですよ、などと言うけれども、
よくよく聞けば家賃は実情に合わせて引き下げるという。
日本の人口が減っている時代に、将来の家賃収入なんてあてになりませんよ。
まあ、妻までが言いくるめられて、それが時流だというから、しぶしぶ承知しましたけどね……」
ローンを少しでも減らそうと、預貯金から1000万円近くを払った。
「土地から現金収入が入っても、これでは何をしているかわからない」と菅原さん。
自宅を片付けている間に、妻は転んで足を骨折した。
「打ちどころが悪かったら寝たきりになったかもしれん。
そしたら家賃収入なんか介護ですぐに消えちまいますよ」と不満はつきない。
「だいたいね、古臭いかもしれないけど、息子たちもいい大人なんだ。
『父さん母さん、今までありがとう』
とリフォーム費用でも出してくれるというのが当たり前ってもんでしょう。
それを、相続税が高いからどうのこうのと。
相続税を払うのはお前たちで、父も母も先に死ぬんだ、好きにしろと言いたいですよ。
しかし、妻がね。息子たちは給料も昔みたいには上がらないのよ、
年金ももらえないかもしれないのよと言うもんだから……」
◎「墓じまい」で200万円
さらに、人生最終盤での思わぬ出費に目を丸くする人もいる。
東京・杉並区在住の高野まり子さん(76歳・仮名)は、三重県にあった実家の墓で、思わぬ出費に襲われた。
「もう田舎には親類もいなくて、お墓があるだけでした。
私もいい歳だし、田舎に縁も感じていない娘たちにお墓参りに行ってもらうわけにもね」
そこで「墓じまい」をして代々の遺骨を引き取り、東京の霊園に改葬しようと考えた。
墓のある寺に相談をすると、
「それなら離檀料100万円、墓の撤去や整地でさらに100万円」と言われたという。
離檀料とは檀家をやめる挨拶金といった意味合い。
近年の経営難もあって、高額の離檀料を請求する寺院もあり、トラブルが増加している。
ファイナンシャル・プランナーの横川由理氏は、
「離檀料の金額に法的規制はなく、寺院が自由に設定できますが、
あまりに高額な離檀料は払わなくてよいという判決も出ています」と話すが
高野さんには法廷闘争をする気力はなかった。
懐事情を話して180万円にまけてもらい、墓を移した。
「その出費がなければ、東京に『ここがいいな』という霊園もあったんですが……
結局、もっと安いところで永代供養の墓所を探して納めました。
私もそこに入ります」
医療費、ペット、人付き合いでの出費、固定資産税に相続対策、そして墓……。
意外な出費には大小あるが、小さいものも積もれば山となり、貯蓄を目減りさせていく。
いったいどうすればよいのか。・・》
注)記事の原文に、あえて改行を多くした。
私は民間会社のこの当時は大手企業に何とかし中途入社できたのは、1970年(昭和45年)の春であり、
まもなく分離独立した会社が設立され、私は転属させられて、
この中小業の会社に35年近く奮戦し、2004年(平成16年)の秋に定年退職した身である。
そして最後の5年半はリストラ烈風の中、あえなく出向となり、やがて出向先で定年を迎えた。
日本は長年、大手企業数は1%で、中小企業数は99%の実態の中で、
大手企業と中小企業の企業間格差について『7・5・3』があり、
大手企業に対し中小企業は、月給が7割、賞与5割、退職金は3割、と一般的にそれぐらいの差がある、
と伝えられきた・・。
私は中小業の会社に勤めて、この間に幾たびのリストラの中、
何とか障害レースを乗り越えて、定年を迎えることができたので、敗残者のようなサラリーマン時代を過ごした。
このように私のつたないサラリーマン時代であり、もとより一流大学を卒業され、大企業、中央官庁などに
38年前後を邁進し栄達されたエリートとは、遥かに遠い存在である。
このように悪戦苦闘の多い中で、敗残者のような状況であったので、
せめて残された人生は、多少なりとも自在に過ごしたく、その直後から年金生活を始めた・・。
私は定年退職する数年前の頃、経済にも疎(うと)く、
信愛している経済ジャーナリストの荻原博子さんなどの数多く著名人の寄稿文を読んだりした。
こうした中で、デフレ経済の蔓延している中、公的年金を受け取りながら堅実に年金生活をし、
預貯金が3000万円あれば、少しづつ取り崩して生活すれば、少しはゆとりのある年金生活ができる、
と学んだりした。
そして世の中の多く人たちから、人生の3大支出は教育資金、住宅資金、老後資金と教示されたが、
私たち夫婦は無念ながら子供に恵まれなく、「教育資金」は不要となったので、
少し多めの預貯金ができたこともあり、定年した直後から年金生活を開始ができたのも確かなことである。
我が家の生計は原則として、私たち夫婦はお互いに厚生年金とわずかな企業年金を頂いた範囲で、
日常生活を過ごすことを原則としている。
そして耐久品の購入、冠婚葬祭、そして私たち夫婦の共通趣味の国内旅行に関しては、
程々の貯金を取り崩して、ここ10年ささやかな年金生活を過ごしてきた・・。
やがて大病したりした後、介護の身となれば、お札が飛んで行くような生活になっている、
と上司だったひとりから、私は教えられたりした。
平穏な年金生活でも、今回の記事ような出来事になると、老後のささやかな人生設計も、
大幅に修正を余儀なくされることに、幾たびか溜息を重ね、悲嘆している。
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