『 歩かない人は脳も免疫力も衰える・・・
いつまでも健康にいるために「薬を飲む」よりも大事なこと 』、
と題された見出しを見たりした。
こうした中、
殆ど毎日のように自宅の周辺3キロ範囲にある遊歩道、公園、住宅街を歩き、
ときおり認知症だけは勘弁してねぇ・・と秘かに祈願しながら歩く時もある。
私は70歳の頃から体力の衰えを実感し、
75歳の頃より、ときおり無念ながら、物忘れもある。
そして私は、ボケてはいけない、と思いながら、自身を叱咤激励をする為に、
人生は気合いだ、と心の中で呟(つぶや)く時もある。
或いは何かと単細胞の私は、好奇心をなくしたら、この世は終りだ、
と思いながら、年金生活を過ごしている・・。
75歳の頃より、ときおり無念ながら、物忘れもある。
そして私は、ボケてはいけない、と思いながら、自身を叱咤激励をする為に、
人生は気合いだ、と心の中で呟(つぶや)く時もある。
或いは何かと単細胞の私は、好奇心をなくしたら、この世は終りだ、
と思いながら、年金生活を過ごしている・・。
「現在の医療は、薬の処方が中心ですが、
本来の医療の基本は、歩行習慣を身につけることと、きちんと栄養をとること。
生活習慣病もがんも認知症も、根っこは同じなのです・・・」
著書『歩く人はボケない』を上梓した医学博士の長尾和宏氏が、
いつまでも健康でいるために、もっとも大事なことを教える。
☆「歩かない人」は脳も免疫力も衰える?
コロナ禍の自粛を経て、歩かない人が増えました。
普段あまり歩かなくなった人は、筋力が低下するだけでなく、
認知機能も低下しやすくなります。
軽度の有酸素運動の一つであるこまめな歩行は地味ですが、
脳の認知機能をはじめとして、さまざまな機能を維持するために必須です。
筋肉に命令を出すのは、脳です。
また、歩行時の状況判断には、さまざまな認知機能が必要です。
家から外に出て歩くときには、すれ違う他の歩行者をよけ、自転車をよけ、
自動車に気をつけながら、歩かなければなりません。
信号や路面状況を見て、さまざまな判断をしています。
脳の中では、常に多くの情報処理が行なわれているのです。
外を歩くだけでも、実に多くの脳の機能を使っています。
筋肉を使わないと、筋肉が衰えていくのと同じで、
脳を使わなければ、認知機能は衰えていきます。
家の中にいて、テレビを観ているだけでは、脳をあまり使いません。
家の中に閉じこもっていて出歩かない人は、認知機能の低下が進んで、
MCI(認知症予備群)や認知症に、つながってしまう可能性があります。
歩く習慣のない人は、筋力や認知機能が低下するだけでなく、免疫力(抵抗力)も低下します。
歩かないと、外部から入ってきた細菌や、ウイルスに対する免疫力も低下してしまうのです。
誰もがもともと体に備わっている基本的な自然免疫が低下して、
感染症だけでなく、がんや認知症など、あらゆる領域の病気になる可能性が高まります。
歩行習慣は、健康状態に大きく影響しますので、
歩行状況について確認することは、健康状態を判断するのにとても役立ちます。
ですから、私は、初診の患者さんには、
まず日常生活でどのくらい歩いているかを根掘り葉掘り聞いていました。
一通り話を聞いたら、診察室を歩いてもらいます。
診察室は、通常、3メートル×5メートルくらいの広さです。
「ファッションモデルのように、モデルさん歩きしてください」
「背筋を伸ばしてかっこよく歩いてみてください」
「あなたの一番かっこいいと思う歩き方をしてください」
などとお願いすると、患者さんは照れながらも歩いてくれます。
ところが、自分では一番かっこいい歩き方をしているつもりでも、
客観的には、不安定でヨボヨボという人がたくさんいます。
私が大切にしている「歩行診断」の一つです。
街中のショーウィンドウに映る姿を見て、
「向こうにヨボヨボの人が歩いているな」と思って、よく見てみると自分自身だったりします(笑)。
それと同じような感じです。
実は自分の歩く姿をよく知らない人が大半で、
自分がフレイル(筋肉量が減少して、筋力が低下し、体全体が不安定になっている状態)になっていても
その自覚がない人が大半です。
さらにフレイルという言葉そのものを知らない人もたくさんいます。
☆「フレイル」が中年期から始まる人も
フレイルは、中年期から始まっています。
男性でも女性でも、あまり歩かない人は、40代、50代からフレイルか、
それに近い状態になっています。
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歩行を一見しただけで、フレイルか、どうかがほぼわかります。
あるいは太ももの前側の大腿四頭筋を見てフレイルを疑います。
衣服の上からでも「あ、細いな」、「フレイルだな」、
「この人、歩いていないだろうな」と診察を進めます。
フレイルがあると、他の病気を合併しやすくなります。
歩かない人ほど病気になりやすいというのは、何千人も診察してきた私の経験に基づく結論です。
診察室で患者さんに、診察の度に「モデルさん歩き」をしてもらう医者なんて、
もしかしたら、私だけでしょうか(笑)。(略)
☆生活習慣病もがんも認知症も根っこは同じ
持病がいくつもある、と病気自慢する人がいます。
それぞれの病気が独立しているわけではなく、必然的に重なり合い見事につながっています。
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たとえば、腸と脳は、お互いに影響を及ぼし合っていて「脳腸相関」と言われます。
筋肉と脳も、影響し合っています。
ちなみに発生学的には、腸のほうが、脳よりも上位です。
心臓と腎臓も連携しています。
人間の臓器は、臓器間でコミュニケーションをとり合って、連携し協働しているのです。
各臓器が「危ないぞ」というメッセージを伝えたり、助け合ったりしながら、
全体として協調しています。
ですから、どこか一つの臓器が著しく不調になり、調和がとれなくなると、
ドミノ倒しのように、必ず他の臓器も連鎖的に悪くなります。
生活習慣病も、がんも、認知症も、何か一つの病気を発症すると、
まるでドミノ倒しのように、いくつかの病気を合併することがよくあります。
つまりどの病気も、根っこは同じということです。
根っことは、生活習慣の偏りです。
その原因は多くの場合、職場か家庭にあります。
つまりストレスです。
それを見抜いて、是正のアドバイスをするのが、医者の役割です。
しかし、現代の医学・医療は、過度に臓器別に専門分化されています。
同じ内科でも、内分泌科に行って糖尿病を診てもらい、
消化器内科に行って、逆流性食道炎を診てもらったりします。
さらに、整形外科に行って関節リウマチを診てもらい、
腫瘍内科でがん診療を受けて、認知症の疑いがある場合は精神科で診てもらいます。
そもそも、ひとりの高齢者が診察券を5枚も10枚も持っていること自体がおかしいと考えます。
主治医は誰ですか? と聞いてもわからない、という人が多くいます。
しかし病気の根っこに手を打たないと、病気の予防や治療はできません。