横浜中華街、開港道の広東料理「南粤美食」(ナンエツビショク) 再訪。
某日は小ぢんまりとした2階、テーブル席を利用しての宴会仕様。
(※以下の料理はすべて、幹事さんが、事前にお店と打ち合わせして決定したもの。
通常メニューにないものもあります)
宴席は、角テーブルをつけ、中央にターンテーブルを配したレイアウト。
テーブルクロス:有り
卓上調味料:なし
その他:メニュー、割り箸は中央にまとめて。
紹興酒ボトルは店の方にお願いし持ってきてもらいますが、瓶ビールは2階冷蔵庫より
取り出し、空き瓶を並べ会計時に精算するシステムです。
さて、当方にお知らせいただいた事前情報によると、菜單は以下の8品。
・鹽焗鷄燒鴨拼盤
・紅蘿蔔粟米冬瓜排骨湯
・腐乳炒通菜
・梅菜扣肉
・百花蒸醸荳腐
・苦瓜を使った何か
・鹹魚鷄肉煲仔飯
・甜品
参加メンバーが揃ったところで宴がスタートしますが、
サーブ時に詳しい説明はないため、正確さに欠ける点はご容赦ください。
ターンテーブル上に予め用意されていたのは、鹽炒花生。
鹽焗鷄燒鴨拼盤
東江鹽焗鷄
店のイチオシ!オーナーシェフ故郷の美食、丸鶏の塩蒸し焼き。
塩味がしっかり効いた骨付き肉は、シコシコとした歯触りで力強く、旨味が閉じ込められ、
現地っぽさを感じさせてくれる骨太な味わいです。
明爐燒鴨
アヒル肉は、皮目ぱりっと、肉は味が濃厚で噛みしめるほどに独自の旨みが深く、タレも激うま。
飯や瀨粉を欲する味わいです。
余談になりますが、皆様は、香港・中国合作映画「桃さんのしあわせ」を
ご覧になったことがありますでしょうか?
主人公ロジャーにとって長年勤めてくれた家族同然の老メイド、桃姐。
その彼女が病に倒れ、病気が進行していく中、ラスト近くに公園でろれつの回らなくなった
桃姐が「燒鵝瀨粉」と会話にならない単語を繰り返すのです。※瀨粉(ライスヌードル)。
おそらく、彼女の好物なんでしょうね。涙を誘うシーンでもあります。
同映画のDVDは自身が広東語学習の折に使った教材でもあり、思い入れが強い作品。
ぜひとも「燒鵝瀨粉」を体験したく、訪港の際には「波記燒臘粉麵店」さんをと計画しています。
紅蘿蔔粟米冬瓜排骨湯
ことこと煮込んだ広東スタイルのスープ。
スープに使用した具材は別皿で運ばれてきます。
紅蘿蔔(ニンジン)、粟米(トウモロコシ)、冬瓜。
スープにはコーンの甘みが良く出ていてあっさりしながらも滋味深く、冬瓜はとろとろで、
ニンジンはほこほこの優しい歯触り。
排骨(スペアリブ)。骨周りの肉を上手に使っているため旨味が抜けきっておらず、
使い果たされた感ないのが嬉しい。
甘みのある醤油タレもセットされますから、ちょこっとつけていただきます。
梅菜扣肉
塩抜きした梅菜を中華スパイスと醤油を巧みに使い、煮込み、皮目を軽く焼いた
豚の三枚肉とともに蒸すことで仕上げています。
艶やかな豚肉は脂身までとろんと柔らかく、味はこっくりとまろやか。
梅菜の塩の抜き加減と調味の塩梅がよいのでしょうね。
肉の旨みに梅菜がコクと香りつけ、一体となっても味に塩辛さやくどさがないのは流石。
最高の白飯の恋人です。
百花蒸醸荳腐
百花はエビのすり身。これを、つるんとした絹ごし豆腐にのせて蒸したものになります。
皿を彩るグリーンはチンゲン菜で、トッピングは香菜。
ここでは全体に醤油ベースのタレがかかっており、口に優しくあっさりといただけるものでした。
苦瓜蒸肉
ゴーヤのひき肉詰め豆鼓ソース蒸し。
暑い夏にぴったり!ゴーヤの苦味が口当たりの良い豆鼓ソースと相まって食欲を刺激します。
さて、次は炒め野菜。厨房ではシェフが一人で調理をするので、手を休める間もなく大忙し。
腐乳炒通菜
通菜(空芯菜)の腐乳炒め。強いクセを控えたマイルドで食べやすい味の仕上がりです。
食事は煲仔飯。通常はランチ限定ですが、今回宴会料理のリクエストに応じてもらえました。
砂鍋と呼ばれる取っ手付きの小さな土鍋で一つ一つ炊き上げられます。
鹹魚鷄肉煲仔飯
参加メンバーの中に数日前に香港から戻った方がいて、香米を持ち込み。
入店時にシェフに渡して煲仔飯に使ってもらえるようお願いしたのです。
そのため、鹹魚鷄肉煲仔飯は香米での提供。
蓋を開けた時に立ちのぼる芳香に歓喜の声があがりました。
鶏肉はひと口大の大きさで、鹹魚(塩漬け干し魚)はお気持ち程度。
また、現在店ではジャポニカ米で煲仔飯を提供しているため、シェフ自身、香米に対する
水加減が不慣れなことと、厨房の火力が弱いこともあり、炊きあがった飯は柔らかく、
副産物のオコゲも望めませんでした。
このように線の細さは否めませんが、何よりも、当日に香米を持ち込み、その要望に
応えてくれたシェフに感謝。そして、香米のパワーは凄かった。
排骨煲仔飯
スペアリブの炊き込みご飯はジャポニカ米で提供。
やはり炊きあがった飯は柔らかく、鍋に出来たオコゲもぱりっと感は乏しく、しなっとして
頼りなかったかな。
しかし、スペアリブへの調味加減は完璧で、骨周りの肉はジューシーで旨みたっぷり。
思いがけず、香米との食べ比べも楽しめ、存分に味わい尽くせました。
蜜汁叉焼
菜單では、紹介されていなかったので、お店からのサービスだと思います。
甜品
トウコロコシ、カボチャ、冰糖、牛乳、生クリームで仕上げた糖水(冷)。
野菜の甘みが生かされ、当店らしく素朴で、好感度の高い味わい。
料理は出来上がり次第次々に運ばれてきますから、ちょっと忙しない感じもしますが、
それがまた現地っぽくって人数を集めた宴会では楽しかったりするのです。
当店は家族経営でアットホームなところも魅力。横浜中華街の注目の廣東料理店です。
南粤美食(ナンエツビショク)
神奈川県横浜市中区山下町165-2 INビル
TEL 045-681-6228