「九龍酒樓」(カオルンシュロウ)
最寄駅は北千住。宿場町通り商店街を進行した道沿いの路面店です。
奥行きのある店内は一番奥に厨房を配し、客席はテーブル席のみでレイアウト。
ホットペッパーグルメによると、総席数は26席とのこと。
調理はご主人が担当、接客は奥様と、2人で切り盛りしています。
某日は飯友さんたちとの集まりで宴会仕様。料理は香港粵菜(廣東)で構成され、
食材の一部(生麵、鹹魚、鹹檸檬、大地魚干)は、持ち込みです。
(※以下の料理はすべて、幹事さんが、事前にお店と打ち合わせして決定したもの。
通常メニューにないものもあります)
テーブルクロス:なし
卓上調味料:有り(辣椒醤、酢、醤油ほか)
その他:紙ナプキン、爪楊枝、メニュー、割り箸、灰皿
卓上に菜單(菜譜)の用意はありませんでしたが、開宴に先立ち、お店から料理名を記した
手書きのメモが公開。これをもとにコース料理、計8品の細かい説明を受けられました。
さて、話は前後しますが、飯友さんたちとは現地集合。
少し早く到着したメンバーは、お店のご厚意で厨房見学をさせてもらえました。
これが本日のスープにと、用意されているものだそう。ふふふ、コトコトいい感じに育ってくれてるわ。
厨房内は熱で温度が高く、じわっと汗がにじみ出てきますが、次は奥の焼釜へ。
シェフによるリフティング!叉焼キター!
焼きたてがいただけるとあって、見学メンバーのテンションも一気に上昇。これは楽しみだわ。
また、作業工程の途中ですが、こちらは下焼きが終わり、これから熱した油をかけ、仕上げますと、
卓へのお披露目がありました。
一同の視線は釘付け!ダイナミックなプレゼンに宴の席も盛り上がります。
さて、料理は、大皿で供されるものと、各人ごとのポーションで供されるものが入り混じった
スタイルで、サーブ時にも説明を受けられました。
例湯
例湯は各自分での提供。具材は、冬瓜、干しシイタケ、貝柱、ほか漢方食材。
冬瓜はホコホコ、貝柱はその形状を少し残した感じで入っていて、スープの旨みは十分。
薄味に感じたらと、手元で調整できるようモンゴルの天然塩をいただけましたが、素材の持ち味を
生かした優しいスープですから、使用は最小限にとどめておきたいですね。
叉焼(3名分)
新鮮出爐!
焼きたて蜜汁叉焼は、照りの具合もバッチリだし、噛みしめるほどに肉汁がじゅわじゅわーっと
溢れ出し、これがコクのある甘みと相まって、文句なしの旨さ!
予めお願いしていたこともあり、今回のお料理の中での1等賞。記憶に強く残りました。
なお、脇に添えられた野菜には自家製のオニオンドレッシングがかかっています。
マスタードと豆板醤。
椒塩とガーリックチップ。これらはお好みで使って下さいとのこと。
さあ、パリパリチキンが出来上がりました。
飴色に焼き上げられたこのビジュアルには心を動かされる方も多いはず。
脆皮鶏(3名分)
厨房で食べやすいようにカットされ、卓に登場。奥様の説明では、ひな鶏なんですって。
この日のために用意されただけあって、肉質も良く、皮ぱりっと、身はふっくらジューシー。
骨周りについた肉は手でむしりとり、次々に口に放り込む。
――うひょー!こりゃあ、うんまい!
下準備の段階で塩が塗り込まれているため、お好みですが、味が浸透しにくい身の厚い部分を除き、
基本はそのままでもOKです。
炒青菜(3名分)
空芯菜の大蒜炒め、唐辛子を少し効かせていますが、辛くはありません。
箸休め的なポジショニングかな。
鹹魚蒸肉餅(3名分)
中央に鹹魚(ハムユイ)と針生姜を据え、程よい厚みのある肉餅は、クワイのシャキシャキとした
歯触りをアクセントに、発酵系の独特の風味と塩気が食欲を焚き付け、もりもりとお肉感たっぷり。
タレも濃すぎず、なかなかの完成度で、白飯を誘う味ですが、麵飯ものが後に控えているので、
じっと我慢です。
椒塩爆蝦(3名分)
以前、記したことがありますが、「避風塘」は、台風などの際に船が風を避けて非難する場所のこと。
香港、避風塘(タイフーンシェルター)料理の特徴は海鮮を使ったスパイシーな味つけです。
エビは殻ごと食べれるように、外側はカリッと香ばしく、内側はしっとりと仕上げ、その火入れ加減は見事。
椒塩とガーリックチップ、唐辛子を巧みに使い、仕上げに香菜を散らしています。
しかし、本場と比べると、ワイルドさが乏しく、幾分お上品に出来上がっているように思います。
これは幹事さんが持ち込んだ食材の一部で、香港の生麵。細くボソッとした独特の食感。
鮮蝦雲吞麵
それを使ったのがこちら。各自分で提供。
雲吞は麺の上に座してますが、つるんとした皮に包まれた餡はエビのみで作っているのでは?
と思うほど、プリプリとエビ度が高く、その弾むような弾力に驚きました。
また、スープベースは大地魚をたっぷり使用しているため、香りが格段に違い、
すっきりと雑味のない味わいで、まさに香港を体感できるものでした。
手元塩をお願いするメンバーさんもいましたが、私はそのままでしっかりスープを完飲!美味かったです。
鹹魚鶏粒炒飯
具材は鶏肉、鹹魚、レタス、たまご。炒飯はややオイリーに感じられましたが、
鹹魚の風味と鶏肉の旨味が合わさり、味にはぐっと厚みが出ているし、悪くありません。
メンバーの中には、美味い美味いを連発して、あっという間に平らげる人もいました。
また、何より持ち込み食材で、いろいろリクエストに応じてくれたことが有り難かったです。
ご夫妻の承諾を得て撮影。ブログへの掲載も快諾してもらえました。
優しく真面目そうなご主人とお話好きでサービス精神豊富な明るい奥様。
食事の際もあれこれと細かな補足説明があり、宴会に参加したメンバーも知識を
深めることができ、胃袋だけでなく心も満たされました。
北千住という場所柄、なかなか露出度は少ないのですが、焼味の腕は確かであると
感じ入りましたよ。応援してあげたいお店です。
(訪問日:2016年8月)
九龍酒樓
東京都足立区千住4-20-1 1F
TEL 03-5813-7673
営業時間/火~日 12:00~15:00(L.O.14:00) 17:30~23:00(L.O.22:00)
定休日 月曜日(祝日の場合は営業) -店舗情報「食べログ」より-