古民家に興味を覚え、ネットで検索しているうちに、往時の人々の暮らし振りを思うに至った。
ネット上で見かける売り物件の古民家はかつて農家だったところが多い。
土地を耕し作物を栽培する農業は自然と共にある。特に、かつての農家の生活は自然と一体となってあったのだろう。
現地で物件を直接見て、確かめることを重ねるにつれ、自ずからそう思えるようになった。そうして、自然に寄り添い、生きるために一日を送る生活への憧れが次第に膨らんでいった。
食物を得るために土を耕し、作物を栽培し、果樹を育てる。
暖を取るため、また、一日の作業の疲れを癒すために薪割りを行い、お湯を沸かす。
炭を作り、蜜蜂を飼う。
気持ちよく暮らすために草狩りに励み、花を育てる。
そんな風に、暮らしを立てるために日中の活動のすべてがあるような生活をしたい。徐々にその思いは強くなっていった。
自然に寄り添った暮らしは、きっと人間を幸せにするだろう。そう思えてきた時、何のために移住するのかの目的・目標がようやくはっきりとしてきたのだった。