峰野裕二郎ブログ

私の在り方を問う

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女房どのの決断

2019年07月14日 | 移住
吉永町加賀美の「別天地」からの帰途の新幹線の車中、ほっと胸をなでおろしつつ、缶ビール片手に岡山名物駅弁「桃太郎の祭りずし」に舌鼓を打っていた。

そこがいかに素晴らしい所であったとしても、さすがに独断はためらわれた。優先権が保証されたわけではなかったが、女房どのの意向を確かめた上で返事をするということでIさんに了承いただいたのだ。

実のところ、その時点では女房どのが気に入るかどうかは否定的に感じていた。なにせ「ぽつんと一軒家」まではいかないものの、街中でもなければ集落の中ですらない一軒家である。
近くにコンビニはおろか商店もない。買い物に行くには車で15分はかかる。
そもそも、女房どのは自然が好きなわけでもなく、虫を見れば、きゃあと悲鳴を上げる方だ。どちらかと言えば不便な田舎暮らしより、便利な都会暮らしを望んでいるに違いない。

夫婦の関係というのは微妙なものだ。互いの価値観や思想をとことん議論すれば、一緒に暮らせないという結論にさえ達しかねない。
大抵は、互いがどこかで譲歩したり、諦めたりすることで同じ屋根の下に暮らせているのかもしれない。

帰宅すると早速、スマホに収めてきた加賀美の家屋内外の写真を女房どのに見せた。
すると、女房どのは写真を見るや否や「いいね!」と好ましい印象を示すではないか。
本当のところ、いい反応が帰ってくるとは思っていなかっただけに驚いた。
多少の妥協が入るにしろ、2人揃って得心しなければ購入するつもりはなかった。

むしろ、女房どのに背中を押されるようにして、すぐにIさんに購入の意向を示すと、折り返し買付証明書が送られてきた。それに署名・捺印して送付すると共に、手付金10万円の振り込みを済ませた。

その後、とんとん拍子に交渉がまとまり、女房どのと共に売買の契約をするため加賀美の地を再び訪ねた。
ただし、女房どのは写真を見ただけだったので、実際に現地を訪ねてみて気に入らないということもあるなと若干の気掛かりがあった。
しかし、それは全くの杞憂に終わった。

上郡町へ向かう県道から里道へ入った途端、目に飛び込んでくる別天地の景色に女房どのは「うわぁ~、すごい!」と歓声を上げたのだ。
全てが決まった瞬間だった。
コメント
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