大阪OBPのIMPホールでアウトドア関係のドキュメンタリー映画を集めたバンフ・マウンテン・フェスティバル・イン・ジャパン2010を観てきた。
この数年毎年開かれている催しだが今回初めて観に行くことになったのはネットで観られる予告編のダイジェスト映像がどれも迫力満点、スリルに満ちていたためである。
マウンテン・フィルムといっているが、実際の上映作品はカヌー、スキー、スケボーなどアウトドア全般に亘っている。プログラムAとBのうちAを観た。カヌーの急流下り、雪崩とともにすべり落ちるスキーなどどれも命知らずのものすごい映像が楽しめるが圧巻はやはりロッククライミングであろう。
ヨセミテのハーフドームという高さ600Mの垂直の壁に登攀用具なしのフリーソロで登っていく映像に圧倒される。もちろん落ちたら命はない。そんな壁に24歳の若者は短パン、チェックのシャツ姿で腰にチョークバックだけつけ、手と足の指をわずかな岩のクラックにひっかけてスルスルと登っていく。さすがに途中で、本人いわく少々ビビッてしまい、足のつま先からかかとまでの長さの奥行きしかないテラスにしばらく張り付いている映像に怖がりの私はクラクラする思いだった。それでも何とか気を取り直して頂上まで登ってしまう。
この映像を観たハーケンやカラピナ、ザイルで身を固めたクライマーたちは戦意喪失に陥るのではないだろうか。
この映画以外のカヌーやスキーでもひとつ間違えば命を落とす映像ばかりであるが、「命を懸ける」という悲壮感はどこにも感じられない。むしろ楽しんでやっているのだから常人の理解は超えている。
命を弄ぶ、粗末にする行為には違いないが、それ以上に、極限に挑戦したい人間の欲求の不思議さを感じるのであった。