今年の夏は梅雨明けが早く季節が前倒しになっているのか、8月だというのに早くも秋雨前線が停滞している。おかげでどこも雨模様で、山にも行けない。しかたないので山の映画でもということで「ヒマラヤ 運命の山」を観に行く。
世界の8000M級の山14座すべてに無酸素で登った超人ラインホルト・メスナーが、ナンガ・パルバットのルパート壁に登った時の話。この時弟と2人で登頂に成功するが、下山時に弟は雪崩に巻き込まれて死亡してしまう。兄も1週間山中を彷徨って命からがら下山するのだが、帰国後、弟を見捨てたのではないかと非難される。そこで語られる真実は?
結果的にはそれほど劇的な真実ではなかったが、実際に山中で何があったかは2人にしかわからない。しかし結果的に弟を助けられなくても、お互い危険を承知で登ったのだから、非難は的外れのような気がする。
メスナーは1週間彷徨って助かったが、日本人でも、かってミニヤコンカで20日近く彷徨った末に中国の村人に助けられた登山家もいた。脅威の体力、身体能力というしかない。その能力をそんな非生産的なことに使わずもっと生産的なことに活かせばいいのにとも思えるが、やっている本人は他のことでは満足できないのだからそうはいかないんだろうな。
メスナーは今でも存命だが、山で命を落とした登山家は数知れない。ひとつ成功してもまた、より困難で危険なところに身を晒さないと満足できなくなってしまうのか、因果なことだなぁ。