先週は県立美術館でちょっと猥雑な作品を観たので、今週は上品で優雅な作品を観てみようと神戸市立博物館で開かれている「遥かなるルネサンス」を鑑賞
16世紀、日本でキリスト教の布教が始まった時期、九州のキリシタン大名の名代としてヨーロッパに派遣された「天正遣欧少年使節」の足跡に関する資料と同時代のヨーロッパの絵画、工芸品などが展示されている。
この使節のことは教科書で知っている程度だったが、改めて年表を追ってみると8年以上日本を離れていたことがわかる。長崎からリスボンまで行くのになんと2年半もかかっているのだ。途中何か所に寄港して風待ちなどしているのだがそれにしても長い船旅である。帰りはなんと4年以上かかっている。現代と比べると世界は広かった!
日本を出たときには13歳から14歳だった少年たちと随行の者たちは苦難の末ヨーロッパの地を踏みポルトガル、スペイン、イタリアなどを回り各地で歓待されローマ教皇にも謁見している。異文化に触れた一行の新鮮な驚きはいかばかりか。
そして8年以上経って成人して帰ってきた祖国だが、そこには以前のようなキリスト教に対する寛容さはなく、ある者は処刑され、ある者は信仰を捨てたりなどその運命を翻弄されてしまう。歴史は残酷だ。
ヨーロッパ訪問時描かれた使節の一員伊東マンショの肖像。斜視気味だが目の表情がいい
ところで、神戸市民には65歳から「すこやかカード」なるものが発行され市内の様々な施設が無料になったり半額になったりする。今回も半額の割引を利用させてもらったが、このカード、本当の名称は「老人福祉手帳」というらしい。老人ねぇ、ありがたいんだかなんだか複雑な気分だ。