久しぶりに映画を観る。水上勉のエッセイを映画化した作品。
スマホもパソコンも無縁のアナログ生活のなか主人公は自ら作った野菜や山から採ってきた山菜などで季節ごとに精進料理を作り、時には人に振る舞ったりもしながら作家生活を送る。主に白馬山麓でのロケらしいが、描かれる季節ごとの風景が美しい。
作家を演じるのはかってのアイドル、ジュリーこと沢田研二。ジュリーがアイドルらしからぬ武骨な手で芋を洗い、ゴマを摺り、梅干し、白菜を漬けるのである。
作られる料理はあの一汁一菜を唱える土井善晴センセ監修なので間違いなく美味そうだ。手間暇かけた料理はどれも材料は質素だが贅沢な一品ばかりだ。
細かいところでは突っ込みどころ満載だが、大人の心豊かなおとぎ話として楽しんだのだった。飼い犬のサンショもいい味を出していた。
などと、書きつつ原作はどんなものかと読み始めたらけっこうリアルで映画以上に楽しめそうだ。奥付を見ると初版は昭和57年だが、その後も版を重ね今年の時点で37刷とある。時代は流れてもこういう生活に憧れる人が結構いるということか。
若いころ特にジュリーのファンだったわけではないがどうしてもあのジュリーがと思って観、人間は程度の差こそあれ誰でも老いていくのだと感慨にふけってしまった。ふと、20年後のキムタクはどうなっているのかと余計な想像をしてしまうのであった。