のりぞうのほほんのんびりバンザイ

あわてない、あわてない。ひとやすみ、ひとやすみ。

博多弁?福岡弁?小倉弁?

2007年03月11日 21時43分43秒 | 日常生活
博多と小倉をうろうろして育ったため
いろんな方言が混在しているのりぞうです。
ホンモノの博多弁がどんなものなのかも
今ひとつ把握できてないんですけどね。
おそらくのりぞうの身に染み付いているのは福岡弁です。
生粋の博多っ子が聞くと、博多弁と福岡弁もかなり違うようです。

・・・ま、普段はそんなこと全く意識せずしゃべってます。
好きな言葉を好きなように。
最近、言葉がやさぐれがちなので
若干、美し目の言葉を選んで優しげに。

本日、教会のちびっ子礼拝で
ちびっ子ちゃんたちを迎えていると
浦和出身の教会員の方がのりぞうに話しかけてきました。

「のりぞうちゃんってずっと福岡?」

ええ。のりぞうは福岡県を出たことはありません。
今後も福岡県を出るつもりはさらさらありません。

「やっぱり。言葉がね、福岡弁よね。
 かわいいわね。」

・・・・?福岡弁?
おや?今、ちびっこを迎えたばかりですが
何か福岡弁を使ってました?

「うんうん。「着ときー」「脱いどきー。」って。
 あと、「前5分よー。」って。」

そんな細かいところに違和感を感じるんですね?!
普段、標準語気分で使ってるだけに
指摘されたのりぞうもびっくりです。

着ときぃ。   →(寒いならコートは)着てなさい。
脱いどきぃ。  →(寒くないなら)脱いでなさい。
9時25分よ。→(9時)半前5分よ。
着りぃ。    →(コートを)着なさい。


ちなみに小倉弁でちびっ子に言い聞かせるときは
これらの言葉の語尾に「ちゃ」が付きます。

着ときっちゃ。 →着てなさい。
脱いどきっちゃ。→脱いでなさい。

言葉って面白い。方言って面白い。
なのに、しみついた言葉っていうのは
余所から来た方に指摘されないと分からないのです。
いろんな地域の方と触れ合うのも素敵なもんだと
しみじみ思いました。

地域に限らず、いろんな職業の方
いろんな家族環境の方、いろんな異なる体験をしている方と
触れ合って、お話して、考えや体験を聞くのは面白い。
だから、私はいろんな方が集う教会という場所が
好きなんだなと思うのです。

チェンジ!/アレックス・シアラー

2007年03月11日 21時25分48秒 | 読書歴
■ストーリ
 誰からもあんまり必要とされていなかったぼくだけど、
 偶然の出来事で髪型が変わった瞬間から、またたくまに
 人気者となった。それはぼくが世界でいちばん有名な少年、
 ベニーとそっくりになってしまったからだ。ベニーは
 有名なサッカー選手とアイドル歌手の子どもで
 いつも注目されてる少年なんだ。
 ある日、ぼくは本物のベニーと出会い、一日だけ
 入れかわってみることにした。それが史上最悪の大事件の
 はじまりになるなんて!

■感想 ☆☆☆☆
 最近、めっきり翻訳物の小説を読まなくなった。
 但し、児童小説は別だ。古典的名作「アリス」に
 「ナルニア国物語」「長靴下のピッピ」などの一連の
 リンドグレーン作品。ミヒャエル・エンデの「モモ」。
 これらは折を見ては読み返す作品たちだ。

 そして、最近「読み返す」のではなく、新たに
 作品を見かけると必ず手にとってしまうのが
 本書の作者アレックス・シアラーの作品だ。

 長年、テレビドラマの脚本を手がけていたせいか
 臨場感があり、話の流れがとても読みやすい。
 作品ごとにテイストが異なり、いつ読んでも新鮮だ。
 何より、単純に面白い。
 読んでいる間、何を考えることもなく
 素直に作品世界に入り込むことができる。
 主人公と同化し、彼がハラハラすれば、私も手に汗を握り
 彼が落ち込めば、私も胸がぐんと重くなる。
 そして読み終わった後は必ず元気になる。

 今回のお話は「世界一有名な少年」とそっくりで
 彼と入れ替わることになった「世界一平凡な少年」の話。
 でも、読み終わった後には、世界一有名だとか
 世界一平凡だとか、そんなことは関係ないんだと思わせてくれる。
 どんなに喧嘩をしても悪たれをついても
 一緒に育った兄ちゃんがいないと寂しいし
 さえない車に乗って、給料が多くない父ちゃんでも
 有名なサッカー選手の父さんより一緒にいて落ち着く。
 口うるさくてミーハーな母ちゃんも
 僕を愛してくれていることを主人公は知っている。
 だから、どんなに豪華な家でも、素敵な部屋を自由にできても
 信じられないぐらいおもちゃを持っていても
 やはり「僕の家が恋しい」と思ってしまう主人公の心情に
 共感できるし、そんなふうに思う主人公を愛しいと思った。
 たくさんの元気と爽快な気持ちをもらった。
 物語のラストの主人公の言葉に胸がスカッとする。

 ベニー(=「世界一有名な少年」)はかわりにはなれないんだ。
 そう、ぼくのかわりにはね。

打たれ弱い性格です

2007年03月10日 10時42分44秒 | 日常生活
友人と我が家でビデオ鑑賞しながらの夕食会。
メインイベントのビデオ鑑賞は、
ビデオの画質劣化により、若干、人の顔が歪み気味で
頼まれていた友人に申し訳ないビデオ鑑賞となってしまいました。
くっそう。どうせ我が家で見るんだったら
DVD録画しておけばよかったぜ。

・・・ま、撮った番組は芸人さんの歌合戦ですからね。
画質なんてどーでもいいのです。
歌さえ聴ければそれでいいのです。

開き直りと逆切れは昔から得意なんです。

歌を聴くだけだしね、と開き直りながらも
友人とご飯食べながら、出演している芸人さんを肴に
しっかり妄想トークは繰り広げます。
ふたりとも現実世界の話より妄想世界での話のほうが
数倍盛り上がってしまう困った性癖の持ち主です。

ヤツがかっこいい!だの
アイツは遊んでそうだ!だの
この人と付き合ってみたい!だの
痛々しくて見てられないわ!だの
テレビ画面のこちら側で言いたい放題。

・・・女性は、テレビ番組ひとつで
無限に妄想と会話を広げられちゃうんです。

妄想が一段落ついたところで
友人が現実世界に話を戻してきました。

「で、アナタ、最近はどうなの?」

目には目を。歯には歯を。質問には質問を。

「アナタのほうはどうなの?」
「何にもない。」

現実世界の会話終了。
5秒、もったかしら?
あっという間に会話終了です。

「ちょっと!
 もっと会話を広げようという努力はないの?!」
と問い詰めたところ、
「アナタなんて答えることもなく
 0秒で会話を終わらせたじゃない!」
と責め返されました。

・・・・返す言葉もありませんわ。

それにしてもこの状態は非常にヤバイ。
このままだとワタシタチ、現実世界の話ができない
あちらの世界の住人になってしまうわよ!
何か現実的な対策を考えねば!

と頭を抱えているのりぞうに対して
友人からの現実的かつ積極的なアドバイス。

「アナタ、明日はお暇なの?」

え?明日?明日ですか?何のお誘い?

「アナタ、明日は天神(注 福岡の中心地です)に出て
 3時間ずっと立ってなさい。3時間も立ってれば
 誰かしら声かけてくるでしょ。何かが始まるわよ。」

・・・え?
3時間もただ立ってて誰も声かけてくれなかったら?
のりぞう、既に弱気モードです。

「そんときは翌週、5時間お立ちなさい。
 場所変えてもよくってよ。」

・・・スパルタ?
3時間でダメなら5時間立て、と?
それは既に星飛雄馬の匂いがぷんぷんする世界なんですけど。
甘いピンクの匂いはどこにも感じられないんですけど。
ていうか、5時間も立ってて誰にも相手にされなかったら
のりぞう、本当に立ち直れそうにないんですけど?

「よし!そんときは私がちゃんと慰めたげる。
 砕け散った骨はちゃんと拾ってやるけん。」

・・・オトコマエな友情の証、ありがとう。
でも、やっぱりパステルピンクの少女漫画の世界じゃなく
明日のジョーのファイティングポーズが目に浮かぶんですけど。
男同士の固い握手、みたいな世界が見えるんですけど。
求めてるのはそんなオトコマエの友情じゃありません。

てか、自分が何を求めてるのかが
今ひとつはっきりしてないのが
現在ののりぞうの一番の問題ですわ。

ご機嫌

2007年03月08日 23時37分41秒 | 日常生活
ずっと読み返したくてたまらなかったにも関わらず
作者の名前も本のタイトルも、なんならあらすじさえも
覚えていない本があります。

覚えているのは
 ・面白かったこと
 ・面白かったので、何度も図書館で借りたこと
 ・挿絵が漫画ちっくでかわいらしかったこと
 ・洋風ファンタジーだったこと
 ・続編があったこと
 ・作家さんは日本人だったこと

これだけ。
これ以外、まったく覚えてないのです。
本当にうっすら。自分の記憶力に感心することしきりです。
でも、これだけしか覚えてないからこそ
読みたいという思いは年々募っており
ここ数日、ずっと検索エンジンでこの本を探しておりました。

これだけ綺麗さっぱり覚えてないと
検索かけるキーワードを考えるのにも一苦労です。

が。
しかし。

仕事中には絶対にみせない粘り腰と
執拗なまでの好奇心(若干ストーカー体質です)で
本日、ようやく本を探し当てました。

しーあーわーせー!!!

ついでに図書館での貸し出し状況も調べました。
近くの図書館にあることも確認できました。
週末、早速図書館に向かいます。

・・・この用意周到な準備能力と行動力を
仕事で発揮することさえできれば
今の数倍は「デキル人」なのに。

とにかく、明日は待ち望んでいた金曜日ですし
捜し求めていた本は見つかったも同然だし
幸せな木曜日です。
・・・木曜日というだけで、いつもの二割り増
テンションが跳ね上がるお手軽体質のオンナなんです。
まだ木曜日なのに、既に週末気分が味わえる
ポジティブシンキング体質のオンナなんです。
金曜日はわくわくしすぎて、朝から仕事が手につきません。

ちなみに捜し求めていた本は「ドーム郡ものがたり」。
数年前に約10年ぶりに新作が出版され
三部作が完結したようです。

天使なんかじゃない/矢沢あい

2007年03月08日 23時17分43秒 | 読書歴
読み返すのは何度目?!というぐらい
しょっちゅう読み返してるお気に入り漫画です。
インフルエンザでおとなしく実家にて過ごした週末に
がつんと読み返しました。
今回は、いつも飛ばしてしまう3巻4巻のどろどろ部分まで、
じっくりとっくり丁寧に読み返しました。



・・・泣ける。

スミマセンね。29にもなって、漫画で本気泣き。
でも、いいのです。
名作はいつ読んでも何回読んでも
とにかく感動するのです。泣けるのです。

普段は飛ばしているだけに、ヒロインが好きな人のことを
信じることが出来ずに不安で不安で、しょっちゅう泣いている
3巻4巻の切なさにうぉんうぉん泣いちゃいました。
うちの妹は、年を重ねて読み返すたびに
ヒロインの想い人、アキラに腹がたつみたいですが。
「いつまでも初恋の人を引きずりすぎやろ!」とのこと。
アキラがヒーローなのに、どうも優しいけど優柔不断、
という男性がダメみたいです。

一方、のりぞうは主人公だけでなく、彼女の親友、
マミリンのかっこよさ、かわいらしさにも本気でうるうる。
マミリンの恋敵、しのちゃんも癖はあるけど、
切なさたっぷりの良い子なのです。
彼女の気持ちも切なくてうるうる。
みんな良い子過ぎず、適度に嫌な部分も持っていて
でも、やっぱり基本はいい子で
力強く握手しあいたいぐらい素敵なのです。
何度読んでも、登場人物に本気で腹を立てて
登場人物を本気で応援してしまう。
とにかく有無をいわさず、物語に入り込ませるすごい作品です。
また「全8巻」って読み返しやすくて丁度いいんですわ。

お言葉には気をつけて

2007年03月06日 23時25分50秒 | 日常生活
内定者に貸与しているパソコンが壊れてしまい
修理に出すため、返却していただきました。
修理に出すためには書類をいくつか出さねばならず
部長に承認印をいただく必要もあります。

修理にいたった経緯を説明していると
部長がうーんとうなりながらおっしゃいました。

「のりぞうくん、確か年末にも一台壊れなかったっけ?」

はい。実は、今回二台目です。
今年はちょっと多いですね。

「30台買って、2台故障?
 ちょっと頻度が多いんじゃないんですか?
 もとがボロなんじゃないんですか?
 どこのメーカーのパソコンですか?」



・・・・・ぶちょー。分かってておっしゃってますね?
勿論、パソコンのメーカーはうちの会社です。
ボロだなんて、この席でおっしゃらないでくださいっ。

ツール&ストール/大倉崇裕

2007年03月06日 23時08分32秒 | 読書歴
■ストーリ
 ある朝、殺人容疑をかけられた友人が飛び込んできて目が覚めた
 お人よしの大学生白戸修君。「ツール&ストール」
 別の日は、怪我をした友人から突然頼まれた、怪しげな深夜の
 バイトに出掛け・・・。「サインペインター」
 それなのにいつでも金欠君、預金残高51円の通帳を握りしめた
 横で銃声がして・・・。「セイフティゾーン」
 やりくりして携帯を買ってみれば、不穏な間違い電話が
 かかって来るし・・・「トラブルシューター」
 同じ過ちは繰り返さないぞと心に誓いながらも、やっぱり
 万引き犯と間違えられる白戸君。「ショップリフター」
 さまざま事件に巻き込まれる、日本一運の悪いお人好し、
 白戸修23歳の日々を綴る連作短編集。

■感想 ☆☆☆*
 あっさりさっぱり楽しめる一冊。
 心と頭が疲れているときにお勧めです。
 何にも考えずにのーんびり楽しめます。

 でも、あっさり楽しみすぎて
 「感想」って言うと、特に何も残らないのです。

 人がよい主人公君は、すっごく優しいのに
 「いい人」どまりなんだろうなぁ。
 いついかなるときも、その優しさが本当に報われることはなくって
 なぜか事件に巻き込まれてるんだろうなぁ。

 そういう主人公がそのまま、
 私の中でのこの本の境遇と重なります。
 犯罪小説なのに、どこか優しくてあったかくて
 きちんと面白いのに、熱をこめてお勧めするほどじゃなくって
 「うん。おもしろかったよ。」とあっさりした感想に
 とどまってしまう。
 疲れているときに図書館で見かけると、つい借りちゃうけど
 自分で探してまで読むほどではない。

 控えめでかわいらしい一冊です。

さよならバースデイ/荻原浩

2007年03月04日 21時52分23秒 | 読書歴
■ストーリ
 類人猿の言語習得実験を行う霊長類研究センター。
 そこで働く研究者が相次いで自殺する。
 目撃者は人と会話をするボノボ、バースディのみ。
 愛する彼女はなぜ死んだのか?若き研究者が謎を追う。

■感想 ☆*
 残念ながら主人公にまったく感情移入できず
 さらさらと読み飛ばしてしまいました。
 尊敬していた恩師と、プロポーズまでした大好きな恋人を
 失くして意気消沈しているかわいそうな主人公なのに。

 あまりにずっと意気消沈しているだけ
 やさぐれているだけ、うじうじとしているだけ、の
 主人公についつい苛々してしまって・・・。

 だってボノボがかわいそうなんだもの。
 ボノボには人が亡くなること自体がわからないのに。
 大好きな人がいつの間にかこなくなって
 その上、来てくれる大好きな人は
 来てくれるけど上の空で、いつものようには構ってくれない。
 ボノボからすると、とんでもなく理不尽で
 かわいそうな状況だと思うのです。
 しかも、題名からも分かるように、最後の最後には
 大好きな人や大好きなものと「さよなら」させられるのです。

 何をどうやっても、一番の被害者は、
 バースディという名前のボノボだと思えて仕方がありませんでした。

 「動物実験をするべきじゃない」なんて
 綺麗ごとを言うつもりはさらさらないけれど。
 でも、中途半端にボノボを仲間として考えるべきではないな
 と思うのです。「仲間」として受け入れるのであれば
 最後まで面倒を見てあげるべきだし、
 実験道具として捉えるのであれば、甘ったるい感傷や
 きれいごとを挟むべきではない、挟んじゃいけないと思うのです。

ハーフ/草野たき

2007年03月04日 21時43分25秒 | 読書歴
■ストーリ
 もう、いい加減、わかってくれないかなぁ。
 もうぼくは、父さんにつきあえるほど、こどもでもなければ、
 おとなでもないんだ。
 父さんは言う。僕の母さんは犬の「ヨーコ」だって。
 本気で言うんだ。でも、ぼくはかわいそうじゃない。
 かわいそうなんかじゃない。そう何度もつぶやいてみる。
 父一人、子一人、母一匹のおかしな家族の再生物語。

■感想 ☆☆☆☆
 泣いた。泣いてしまった。
 一生懸命、強がってる真治君が痛々しくてたまらない。
 父さんが大好きでたまらない。
 だから父さんを傷つけるようなことは言えない。
 犬の「ヨーコ」が母親のはずない、と分かっていても
 父さんに反論はできない。その反論が父さんを傷つけるから。
 でも、積極的にその話に乗ってあげることもできない。
 中途半端な気持ちをもてあましている真治君の辛さが
 身に迫ってきた。

 その上、真治君は母親に対しても憧れを抱いているのだ。
 顔も名前も知らない母親に対して、愛情を注いでいるのだ。
 期待をしているのだ。母さんは僕を捨てたわけじゃない。
 何か理由があるだけなんだ、と。
 勿論、表立っては何も言わない。思わないようにもしている。
 けれども、何かの拍子にその期待が顔を出すのだ。

 子どもなのに、本音を押さえ込もうとする真治君。
 子どもなのに、父親を守ろうとする真治君。
 子どもなのに。子どもだから。
 必死で目の前の状況を受け止めるのだ。

 児童小説なので、さらりと読める。あっという間に読める。
 児童小説だからこその躍動感が楽しく痛い一冊だった。

小石川の家/青木玉

2007年03月04日 21時24分03秒 | 読書歴
■内容
 昭和13年、幸田文は離婚し、娘の玉を連れ、青々と椋の枝がはる
 露伴の小石川の家に戻った。万事に愚かさを嫌う祖父の小言の嵐は
 九つの孫にも容赦ない。「二度とはご免蒙りたい」十年の歳月を
 クールにユーモラスに綴り、晩年の露伴、文の姿を懐かしく
 においたたせる。

■感想 ☆☆☆*
 演出家、久世さんが愛した青木玉さんの作品を初めて手にした。
 読み始めてすぐに久世さんが愛した世界に魅了され、なぜ
 彼が青木さんの綴る世界に惹かれたかが分かった気がした。
 青木さんが綴る日常風景は、「時代」の空気が余すところなく
 伝えられているから。そして、その空気は、おそらく
 久世さんも過ごした時代のものなのだ。だから、久世さんは
 彼女の文章に懐かしさを感じ、いとおしんだのだろう。

 露伴や幸田文を思い出させる文語調の混在したリズムの
 とりやすい文章に、幸田露伴や文の魅力が散りばめられている。
 全く知らない彼らの姿が、というよりも彼らが織り成す
 家族の絆がとても懐かしい。
 頑固一徹な「大黒柱」としての存在感、そして、
 大黒柱を支える「縁の下の力持ち」。
 どちらも「古き懐かしいものたち」の風景だ。

 玉さんは偉大な文学者でもある祖父、露伴を怖がり、遠目に眺め、
 大好きな母親は自分の父親である露伴を心から尊敬している。
 玉さんは母親の祖父への態度から、祖父の偉大さを覚える。
 そして、玉さん自身は、無条件で母親を慕い、憧れる。

 少し古くて、今はあまり見かけないような親子関係が
 ここには存在している。今、いたるところで見かけるような
 「友達親子」なんて薄っぺらいものではない関係。
 べったりとくっつき、依存しあうことはない。
 けれども確かにお互いを認め合い、信頼しあっている家族関係。

 いくら感情をぶつけ合い、ぶつかりあっても
 結局は親子、家族であればこういう暖かい描写になるんだろうな
 と思わせてくれる随筆集だった。