釧路川の河口近くに架かる幣舞橋は、夜更けから朝にかけて霧に包まれる。
橋にほど近い "ザンギ" 発祥の名店「鳥松」を訪ねる。750ccで北海道を彷徨って以来だ。
醤油ベースの下味に、にんにく、生姜を効かせた元祖・鳥松の "ザンギ" が旨い。
フレッシュな香りと味わいの生貯蔵酒は、濃厚な "ザンギ" の味を邪魔しないね。
福司(ふくつかさ)酒造は釧路唯一の蔵元。時に酒は脇役で良い。
8月28日、釧路駅。雨とも霧ともつかない水滴が額を濡らす。
今日は釧路湿原、阿寒摩周を抜け、釧網本線でオホーツク海をめざす。
釧網本線の起点は東釧路、根室本線から分岐して網走へと延びる。
構内には起点を示す0キロポストがぽつんと在る。
1面2線の小さな乗換駅に "快速しれとこ摩周号" が入線して釧網本線の旅が始まる。
釧路湿原の東端を舐めて70分、単行ディーゼルカーは摩周駅に着く。
ここで降りる乗客は意外と少ない。ボクたちは路線バスで摩周湖第一展望台へ向かう。
約7000年前の巨大噴火によって生成されたカルデラ湖・摩周湖が姿を見せてくれた。
湖面に浮かぶカムイシュ島、カムイヌプリ(摩周岳)もその神秘的な姿を湖面に映す。
摩周駅へ戻っても次の網走行きは4時間後、駒を進めることができない。
折好く下り快速が入線する。一旦戻って釧路湿原を眺めよう。
ロッジ風の釧路湿原駅舎から遊歩道を7~8分上ると細岡展望台。
大きく蛇行する釧路川、釧路湿原の広がり、遠くに雄阿寒岳・雌阿寒岳を望む絶景だ。
折り返して塘路までは "くしろ湿原ノロッコ号"、展望車両から釧路湿原を眺める。
緩やかに蛇行する釧路川、野生動物を探しながら流れにまかせるカヌーは優雅だね。
14:44、雨の塘路駅から待ちわびた下り網走行きでオホーツク海をめざす。
いつの間にか雨が上がって斜里岳が顔を見せると、知床斜里まではあと僅かだ。
16:32、知床斜里着。単行ディーゼルカーは高校生を満たして走り去った。
ボクたちは路線バスで知床半島へ。今宵はウトロの湯に浸かる。
水色の雨 / 八神純子 1978