旅の途中

にいがた単身赴任時代に綴り始めた旅の備忘録。街道を歩いたり、酒肴をもとめてローカル線に乗ったり、時には単車に跨って。

九十九里の浪切不動院と舞桜と 成東線を完乗!

2020-12-12 | 呑み鉄放浪記

 大網08:26発、1635Mで東金線を成東に向かう。
外房線の大網と総武本線の成東を短絡する東金線へは千葉から直通する6両編成が走ってくる。

大網駅は外房線と東金線が二又になった線路の間にロータリーが在り、白子海岸方面へのバスが発着する。

沿線の北側は段丘になっているから、中世にはこの辺りまで海が入り込んでいたらしい。
わずか5駅を20分弱でシャトルする東金線は、まん中の東金駅で上下線が交換する。

そして飲み切れないのを分かっていてスクリューキャップを切る "総乃九十九里" は爽やかな純米酒。
先日訪ねた九十九里は山武、寒菊銘醸の酒だから、今回を逃すと出番を失うのだ。

 南国風の成東駅、6両編成は車止めがある0番ホームに終着する。
1番線には銚子行き特急が、3番線には千葉行きの鈍行が停車中で、ローカルな駅も一時の賑わいを見せる。

 徒歩10分ほどの段丘の上には、行基が海難除けを祈願して開基した懸崖造りの「浪切不動院」がある。
浪切という名は、どうやら此処がかつての海岸線であったことを物語っている。

古来より遭難しそうになった船が不動院の常夜灯の灯りによって救われたという逸話があり、
30mの崖上にある不動明王は、漁師さん達にとって海難除けのパワースポットになっている。
本堂の舞台からは今や遠く離れた海岸線に向かって広がる町並みを見渡せるのだ。

 駅前のお世辞にもきれいとは云えないそば屋さん、人の良い大将の笑顔に迎えられて真っ昼間の一杯。
ちょっと飲みたいと告げると、"冷奴" と "お新香" がテーブルにトントンと置かれる。どうやらサービスらしい。
これだけでアテになりそうだけれど、申し訳ないので "アジフライ" を注文、カラッとボリューミーなひと皿だ。
地元九十九里は山武の "舞桜"、冷やでよし燗でなおよし、しっかりとしたのみくちは、漁師の酒って感じか?
これ飲んでご覧と "甲子正宗" の大吟醸をご馳走になって、よいよいの昼下り。

     

〆の "卵とじうどん" はカツオ節ベースのコクがあるこれぞ関東風の一杯、しょっぱけど実に美味い。
わずか20分の東金線も思いがけない歓待にあって愉しい旅となった。大将、ごちそうさまでした。

東金線 大網~成東 13.8km 完乗

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