旅の途中

にいがた単身赴任時代に綴り始めた旅の備忘録。街道を歩いたり、酒肴をもとめてローカル線に乗ったり、時には単車に跨って。

錦秋の清流と角ずしと獺祭と 錦川清流線を完乗!

2021-11-27 | 呑み鉄放浪記 私鉄編

 0番線で排気音を響かせているのは季節はずれの「桜のピンク」ひだまり号、今回は錦川清流線を往く。

かなり冷え込んだ午前中の岩国駅、周辺には青い目をしたカップルや若い家族連れが目立つ。
きっと岩国基地の海兵隊員や軍属とそのファミリーでしょう。

岩国を発った「桜のピンク」は最初の2駅区間を岩徳線(JR西日本)の線路を走る。
錦川に美しい5連のアーチを連ねる「錦帯橋」から1kmほど下流で岩徳線が錦川橋梁を渡ると川西駅。

ここ川西駅が錦川清流線(旧JR岩日線)の起点、1面1線のホーム上に0キロポストが括り付けてある。

鉄橋のガーターの響きがおさまって暫くすると、緩いカーブを描いて「桜のピンク」がやってきた。

ひだまり号は観光路線らしく転換クロスシートになっている。細長いテーブルもついていてこれはありがたい。
錦帯橋界隈で求めてきた “岩国寿司” とまだ温かい “れんこんコロッケ” を並べる。旅情を掻き立てるね。

ご存知 “獺祭” は岩国の酒、仕込んでおいた “スパークリング45” を開けると華やかな香りが広がる。
爽やかな炭酸を楽しみ、ホクホクのコロッケを味わう。美味いね。そして車窓は進むほどに秋が深まっていく。

石州瓦なのだろうか、赤い屋根の集落が対岸に細長い帯になっていて、南桑駅とは斜張橋で連絡している。

根笠駅を出て鉄路が180°のカーブを描くと沈下橋が見えてきた。錦川の流れはどこまでも澄んで美しい。

谷は次第に狭くなり、穏やかな水面は山々を映して流れる。旅の終わりを感じるね。

モミジだろうか、赤い落ち葉を踏みしめて「桜のピンク」は終着駅までのラストスパート。

最後のトンネルを抜けると霧雨が車窓に吹き付ける。秋の空は移ろいやすいのだ。
最初で最後に錦川を跨ぐと「桜のピンク」は静かに錦町駅に終着する。車止めの向こうに秋が煙っている。

錦川鉄道の前身であるJR岩日線は、岩国と日原を経て益田まで延びる陰陽連絡線を企図したそうだ。
他の多くの線区と同様、モータリーゼーションの発展でいつしか意義を失くした。ここは夢の途中でもある。

錦川清流線 川西〜錦町 32.7km 完乗

<40年前に街で流れたJ-POP>
セーラー服と機関銃 / 薬師丸ひろ子 1981