旅の途中

にいがた単身赴任時代に綴り始めた旅の備忘録。街道を歩いたり、酒肴をもとめてローカル線に乗ったり、時には単車に跨って。

信州点描 Rue de Vin

2022-08-17 | 日記・エッセイ・コラム

 薪ストーブの煙突を突き出して、小さなカフェレストラン・リュードヴァンはありました。
信州からの帰り道はいつも、代わり映えのしない高速道路を避けて、峠越えで風景と風を愉しんでいます。
今回は東御市から嬬恋村(群馬県)へ、百体観音が道案内をする地蔵峠(県道94号線)ルートを抜けます。

千曲川へと落ちていくなだらかな傾斜地は、かつては豊かなリンゴ農園だったそうです。
このワイナリーは、農業の担い手を失い荒廃していく農地に、葡萄の木を植え育て、ワインを造り始めました。

地味のことは解りませんが、上田を中心としたこの地方は、信州の中でも降水量が少なく日照時間が長いこと、
標高と盆地の地形が相まって寒暖差が大きい気候は、欧州系品種の栽培にも適していることは理解できます。

近年では個性豊かな個人ワイナリーが増えていて、千曲川ワインバレーとして様々な発信をしています。

     

カフェレストランには魅力的なランチメニューがありましたが、ホテルで遅い朝食を済ませたばかり、
っと云うことで、ワインをいくつか試してみることにします。あっ勿論私は今回もジュースで我慢なのですが。
青りんごとかパッションフルーツを想像させる香りが気に入ったとかで、“Sauvignon Blanc 2019”、それに
“Pinot Noir 2021” が今回の戦利品です。

ワイナリーでは葡萄畑も楽しんで欲しいと、アベニュー表示のような品種の案内板を立てたり、
ランチボックスとワインを楽しめるテーブルとベンチを置いたりして、なかなかステキな演出をしています。

標高740m、ピノ・ノワールの畑が広がっています、湿気に弱い品種だそうで、しっかり下草が刈られています。
ブドウたちはまさに「葡萄色」に色づき始めているところです。

標高790m、ソーヴィニヨン・ブランの畑は房が目立ち始めて、収穫に向けてたっぷり日を浴びています。
最上部は標高830m、ふたたびピノ・ノワールそれにメルローの畑が並びます。
葡萄畑からはなだらかな裾野を広げた蓼科山を望み、吹き上がってくる風が心地よく、楽しい寄り道です。

脚線美の誘惑 / THE SQUARE 1982