旅の途中

にいがた単身赴任時代に綴り始めた旅の備忘録。街道を歩いたり、酒肴をもとめてローカル線に乗ったり、時には単車に跨って。

大人たちの X'mas Express 東海道新幹線を完乗!

2023-12-24 | 呑み鉄放浪記

17:27、のぞみ230号は東京駅の15番ホームに滑り込む。
どうやら約束の白いクリスマスツリーには間に合いそうだ。

14:45、地下鉄御堂筋線の階段を駆け降りる。オーバーコートの襟は立てたままだ。
だいたいこんな歳も押し迫った週末に商談なんてどうかしている。
それでも昨日と今日で、継続を2件、新規を1件、大きな成約をまとめたのだから悪い気はしない。

昨日は鎗屋町あたりの居酒屋で、同行した部下と軽い祝勝会をした。
冷静沈着だが案外勝ち気な彼はこの日の結果にテンションが上がっていた。

暖かい部屋に戻ってから、エクスプレス予約で復路の予約を1本前のグリーンに変更した。
出張の帰りはひとり静かに気分を切り替えたいし、彼だってその方が気楽なはずだ。
それに今回に限って丸の内南口を抜ける後ろ姿に余計な詮索はされたくはない。

冬の青空に古都を街を照らす灯台が映えている。京都まではわずかに14分。
今ごろ後続の便で14インチを立ち上げて、カタカタと担当役員へ報告のメールを打っているはずだ。
上々の報告は任せておいた方が良いだろう。

京都でB席に隣客が現れなかったから、ソーヴィニヨン・ブランのスクリューを切る。
2時間後にはシャンパーニュを開ける約束があるのに、何も手頃な白ワインで口を濡らさなくてもと苦笑。

冬至の弱々しい西陽が富士山を照らす頃に富士川鉄橋を渡る。
少しうとうとしたようだ。車窓に浜名湖が流れるところまでは覚えている。

目が覚めたタイミングで、思わず目の前のワゴンサービスに手を挙げてしまう。
濃いめのハイボールを一杯、いつもならこんな感じだから。
ふと我に返ったのは、すでに定刻通りに小田原駅を通過のアナウンスが流れた時だ。

のぞみ230号が多摩川を渡ると、車窓に一つまた一つと航空障害灯の紅い点滅が増えていく。
ビルの合間に “インフィニティ・ダイヤモンドヴェール” が見え隠れして、東京の夜は美しい。

靴の小さな埃をハンカチでさっと拭きとって、この少し赤い顔をなんて言い訳しようか。
白いクリスマスツリー、約束の5分前、大人たちの X'mas はこれから始まる。

東海道新幹線 新大阪〜東京 552.6km 完乗!

<40年前に街で流れたJ-POP>
クリスマス・イブ / 山下達郎 1983