太平洋のまんなかで

南の島ハワイの、のほほんな日々

ヒミツ

2015-05-09 22:59:40 | 日記
シアトルに住む甥が、今月高校を卒業する。

アメリカでは、1歳の誕生日と高校卒業は一大事で、派手に祝う。

今月下旬に、卒業パーティをやるというお知らせカードが来た。

既成のカードじゃなく、甥の写真をフルに使ったオリジナル。

どこの俳優かというぐらいハンサムに育った彼が、まぶしく笑っている。


甥は、6月に義兄夫婦と共にハワイに来ることになっているので、

もちろん私達はパーティには行かないのだが、そのカードを見せたかったのだろう。

カードを見た夫が、ポツリと言った。

「サプライズしよっか?」


パーティは金曜日で、木曜日の仕事のあとのフライトでシアトルに向かうと

金曜日の早朝に着く。

何も知らずに朝食を食べているところへ、いきなり私達が「サプラーーイズ‼」と登場。

ハワイにいるはずの私達がなんでここに?と驚く甥や義兄夫婦の顔が見ものだ。


想像しただけでワクワクしてくる。

早速、その週に休みが取れるか互いに確認し、チケットも押さえた。



数日前、夫の叔母の家に遊びに行った時に、サプライズの話をした。

叔母も面白がった。

そして今日、夫がご機嫌伺いに、別の叔母達に電話をした時のことだ。



ここで説明しよう。

ハワイに住む叔母=A

シアトルに住む叔母=B

インディアナ州に住む叔母=C

A,B,Cは、夫の母の妹達である。


シアトルの叔母B「ねーねー、トリスタン(甥)にサプライズするんだってー?」

夫「な、な、なんで知ってんのさ?」

シアトルの叔母B「ロビン(インディアナ州の叔母)が言ってた」

夫「なんでロビンが知ってんのさ?」

シアトルの叔母B「ジョイス(ハワイの叔母A)に聞いたみたいよ」


そこへ叔母Bの夫ジムも参加。

ジム「やあやあ、サプライズだって?スティーブに聞いたよ」



スティーブとは夫の父である。

夫の両親は今、本土を旅行中であり、パーティの日にはシアトルにいるので

空港まで迎えに来てもらうために話をつけてあった。


夫「おいおい、まさかトリスタン(甥)は知らないだろうね?」

シアトルの叔母B「さあ、どうだかねー?」

どうだかねーって……



私達はハワイの叔母Aに、誰にも言わないでと言ったのだ。

「わかってるわよ、サプライズだもの」

と言った、その舌の根も乾かぬうちに、叔母Aは叔母Cに電話で話したに違いない。

叔母Aは「誰にも言わないでよ」と叔母Cに言ったかもしれない。

しかし叔母Cは迷わず叔母Bに電話したのだろう。

それと並行して、夫の父が、叔父に話していたわけだ。

なんでおとーさん、叔父に話す必要があったかなあ?




この一族に「ヒミツ」はあり得ない。

ものすごい情報網が巡らされていて、情報は瞬くまにあちらこちらに発信され、

その速さはFBIも顔負けであろう。

インディアナ州に住む、夫の従兄弟の息子が、親に内緒で背中にタトゥーを彫って、

それが20センチはある十字架で、家族喧嘩になったというのが、その翌日には

ハワイまで届く。

義父の姉が餌付けしていた、野生リスのチャーリーが死んだらしいという、どうでもいいような話でさえも、

その日のうちに私達は知っていた。

私達のどんなことが、どんなふうにどこに伝わっているか

恐ろしくて考えたくもない。




できれば義兄夫婦も驚かせたかったのだけれど、

このぶんだと、甥にだけでも秘密にできたらオンの字である。



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