太平洋のまんなかで

南の島ハワイの、のほほんな日々

人生のキューちゃん

2015-05-24 07:15:56 | 日記
ちょっと前の話になるが、その日は夫の両親側の家で

4人で夕食を食べることになった。

雑談の中で、どんな話からか忘れたが、夫の父が

「そうだよ、誰だって人生は予定どおりに行かないものさ」

と言った。私と夫は素直に賛成の意を表したが、

夫の母は軽く手を父の肘に当てて

「私は違うわ」

と、キッパリと言った。顔は笑ってはいたが、目は笑っていなかった。

その義母の言葉も、素直にそうなんだろうなあと思った。



15歳で同級生の義父に出会い、大学を出てから結婚。

歯科医の研修医としてハワイに1年住んだのがキッカケで、ハワイが好きになり

海のない内陸から、移住した。

子供は二人と決めていて、下の子供が8歳になるのを待って、看護師として働き始め、

5年後に大学に入り直し、博士号を取得し、大学で教鞭を取る。

着実に出世し、最後は名誉教授にまでのぼり、昨年リタイアした。



挫折も苦しみも悩みもない人生などない。

それらがなかったら探し出すのが人間だともいえる。

だから、むろん義母にも「いろいろ」なことはあったと思うけれど、

私の「いろいろ」とはまた違うように思う。



私だって、私なりにその時々で予定はあった。

だが、超~めんどくさい恋愛をフラフラと10年もした挙句、

やっと結婚したらとんでもないことで、それもまた10年以上かけて終わりにし、

次の予定もはかなく壊れ、なぜかアメリカ人と結婚することになり、

思いがけず妊娠したと思いきや、3年続けて流産し、日本を離れた。

私の予定はいつだって変更ばかりで、特に40を過ぎてからは、場面展開の速さに

自分がついていくのが精一杯な感じだった。


それは夫も同じではないかと思う。

夫は人一倍挫折をしながら生きてきた。家族の中では異分子で、

常に予定外に人生を大きく変えてきた。




若い頃、張り切って掲げた予定どおりに事が運んでいたら。と思うことがある。

それはそれで、楽しいこともそうでないことも盛り合わせで、

悪くはない人生かもしれないけれど、それだと、深い部分の私が



「なんかつまんなーい」



と、言う。

そうなのだ。予定外に振り回されてきたのは、全て私が原因なのだ。

しかしそれは本質の私であって、生身の私は翻弄されるだけ。

ハワイに住むのも予定に入っていたのだろうが、

これが例えば、二十代で留学してそのままいい人見つけて結婚して、

というんじゃつまんないから、お汁粉にはキュウリのキューちゃんが必要なように

人生にもキューちゃんが必要よね、とかいって、あれもこれも詰め込んでみた。ってところか。




確かにキューちゃんはいい仕事していると思う。

お汁粉の甘さを引き立たせているばかりか、甘さに飽きそうな時、

ピリリと美味しさを思い出させてくれる。


「私のお汁粉にはキューちゃんはいらないわ」

と、キッパリと言い切る義母の人生。

そういう人もいるのだなあとしみじみと思うのである。




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