太平洋のまんなかで

南の島ハワイの、のほほんな日々

猫に小判

2016-03-12 08:30:56 | 日記
夫が、ミシンを買ってきた。

Singerの素晴らしいやつで、箱に入って堂々としている。

「…いくら、した?」

「370ドル。セールだったから。もっと安いのはマニュアルだけど、

これは全部コンピュータなんだよ」

「よ、四万円?」

「デモンストレーションもしてくれてさ、すごいんだよ、これが」

シュートメの歴史的なミシンが壊れて、私が何でもかんでも手縫いしているのをみて、

ミシンがあれば楽だろうと思ったのだろう。

しかし、夫は知らないのだ。

私がどんなに不器用で、裁縫といったことに向いていないかということを……

私が縫えるのは、直線のものだけだ。

しかも三角でもなく、丸くもない、ボタンもない、ひたすらまっすぐ縫えるもの。

つまり、袋物か、平面の四角いものしかできない。

縫い物は過去に何度も挑戦し、すべて完敗してきた。

まともなものができたことなど、一度もなかった。

そんな人間に、コンピュータ内蔵の素晴らしいミシンなど、

猫に小判、豚に真珠、私にミシン。

その安い、マニュアルで充分だった。

むしろ、足踏みミシンがあれば、その方がいいぐらいだ。



しかし、性能のすばらしさを滔々と述べる夫に、

どうしてそんなことが言えようか。

まだ箱に入ったままのミシンを前に、気持ちが塞いでくるのである。



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