太平洋のまんなかで

南の島ハワイの、のほほんな日々

せせらぎのいない幸せ

2016-03-19 21:54:52 | 日記
せせらぎを見なくなって、1年余になる。

注)せせらぎ、とは、ゴ○ブリのことである。文字にもしたくない為、
せせらぎと呼んでいる。これは伊坂幸太郎氏の小説から。

夫の両親の家の隣に私達のスペースを建ててから、

一度も遭遇していない。

アメリカでは、シンク下のキャビネットに生ゴミを捨てるのが一般的だ。

蓋がついている家もあるが、夫の両親宅には蓋がない。

ただでさえ、せせらぎが多いハワイで、蓋なしの生ゴミ入れなど、

せせらぎの餌付けをしているようなもんだ。

だから私達の住まいには、きっちり蓋付きのゴミ入れにして、

ディスポーザーになる排水口には、夜は蓋をするようにした(これは猫がディスポーザーを開けてしまうからだが)


先日、ジューサーを借りようと思って、両親宅のキッチンに行った。

あまり家事をしないシュートメのキッチンはモデルルームのようだ。

ハウスキーパーが、ピカピカに磨き上げてもいる。

私はすっかり油断して、ジューサーのあるキャビネットを開けた。

そして思わず「ゲ!!」と喉から音が出た。

そこで私が見たものは、ジューサーのガラスの部分に入り込んで

出られなくなっている せせらぎ が、己の糞を踏みながら歩き回っている。

もちろん、私は何も見なかったことにしてキャビネットを閉めた。


日本に住んでいた時、一人でいる時に、デカイせせらぎが出てきた。

当時結婚していた相手は、私と似たりよったりのせせらぎ嫌いで、一度など、

大騒ぎして掃除機で吸い込んだはいいが、誰がそのゴミを捨てるかで険悪になったことがある。

それ以来、私は自分で何とかしなくてはならなくなった。

せせらぎ嫌いに限って、どういうわけか気配をいち早く感じて見つけてしまうのは何故だろう。

出てきたデカイせせらぎと対峙すること1分。

その時私には新兵器があった。スプレーすると、泡が出て来て、その泡でせせらぎを包んでしまう。

テレビのコマーシャルで見た時、これだ!と思い、すぐに購入した。

せせらぎは視線を逸らすと逃げるから、目をそらさず、そのスプレーに少しずつ近づき、

スプレーを掴みざま、せせらぎに向かって吹きかけた。

逃げる逃げる。しかし私も負けずに追いかける。泡は出しっ放しだから、

部屋に泡の後が延々と残る。

やっとせせらぎを泡攻めにし、一缶使い切る勢いで泡を吹きかけ続けた。


肝心なのは、その後だった。

この泡の塊を、どうしたらいい?せせらぎは、姿は見えずとも生きており、

証拠に泡はかすかに動いている。

棒で持ち上げて、穴があいたら?私は途方に暮れた。

あの足がいっぱいある姿を至近距離で見たくないのだから、死骸といえども

私は捨てることができないのだ。

あの時は結局、そのまま放置して、またかなり険悪な喧嘩をしたような気がする。



ジューサーの罠にはまったせせらぎを目撃した、その日。

シュートメが、そのジューサーを持って我が家にやって来た。

うちではもう使わないから、よかっからそちらでどうぞ、と言うのだ。

きれいに洗ってはある。

「…サンキュー」

と笑顔で言った私は典型的な日本人だ。




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