太平洋のまんなかで

南の島ハワイの、のほほんな日々

今頃「神田川」

2017-06-07 19:15:00 | 日記
昔、かぐやひめ というフォークグループがいて、

彼らのヒット曲に「神田川」という歌がある。

神田川沿いのアパートで同棲している若いカップルが銭湯にいく。

サビの部分は、こうだ。


♪若かった あの頃 なにも怖くなかった

ただあなたの優しさが怖かった♪



幸せすぎて怖いのは、その幸せがいつか終わってしまうのではないかと思うからだ。

何にでも終わりはあるのだし、変わらないものなどないのだから、

幸せなら幸せで、それでいいじゃないか、と私は思っていたから、

この歌詞を聞くといつも、歯がゆいような感じがした。

実際、どんな瞬間でも、幸せすぎてこわいなどと思うことはなかった。




それが今、変化している。


日本に行って両親と会った時。

一般的に長生きと言われる年齢になってきて、いろいろ不具合は抱えていても

自分で自分のことができて、笑って昔話もできるのは幸せなことだけれど、

いつかそうでなくなるときが来るのだな、と思う。


夫の両親と4人で食事に行ったり、遊びに行ったりする時。

いつか、それが出来なくなった時に、みんなで楽しく過ごしたことを思い出すのだろうな、と思う。


猫達が、元気いっぱいに走り回っている時。

いつか、彼らを見送らなければならないときがくるのだな、と思う。



幸せなとき、突然湧いてくる痛み。

紙に落とした絵の具のシミのように、上から水で薄めようにも消えない。

きれいな色を重ねても、その下にシミの輪郭が残る。

これはまるで「神田川」だ、と私は思う。

恋愛における心変わりだとか、人生の岐路に変化してゆくことは普通にありえることだと開き直れても

私も、私とかかわる人たちも年齢を重ねてきて、

どうしても避けられないことが、それも案外近いかもしれない将来にあることを知っている。




何も怖いものなどない若さがあっても尚、幸せが怖かった「神田川」の歌詞の中の女性が

私ぐらいの年齢になったら、いったいどうなってしまうのか。





アーティスト仲間のマイクが、1週間後に心臓の手術をする。

成功率は95%だが、高齢でもあり、何かが起きたときは若い人のようにはいかないという。

昨日、二人でワイキキでランチを食べた。

マイクは一人暮らしで、術後は5キロ以上のものを持ってはいけないので、

退院してきたときに、とりあえず食べるものや生活消耗品が揃っているように、部屋の合鍵を借りた。

日曜は夫に手伝ってもらって、うちにあるDVDをたくさん持っていこう。

そのあとも休みの日には、夫と一緒に買い物をして届けよう。

「もしものことがあったら・・・」

私はその先を言わせなかった。

別れるとき、マイクは「バイバイ」と言ったが、私は言わなかった。

再来週、マイクは元気になって戻ってきて、来年も、再来年も、楽しい時間を過ごすにきまっている。

それなのに、私の心には大きな絵の具のシミが消えずにあって、怖くてたまらなくなるのである。








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