太平洋のまんなかで

南の島ハワイの、のほほんな日々

家族のこと

2017-10-19 08:13:37 | 日記
実家の父は86、母は82で、姉一家と二世帯で暮らしている。

母は数年前に病にかかり、そのときは顔の表情もなくなり、動作も亀のように遅くなり心配したが

薬と、週に2回のリハビリの効果か、表情も豊かになって、支えなしで歩けるようになった。

相変わらずゆっくりペースで、細かい作業は無理でも、ずいぶんよくなったと思う。

問題は父だ。

昨年軽い脳梗塞と肺炎になったというのに、タバコをやめない。むしろ増えている。

やめられないなら、それでもいい。

禁煙してほしいけれど、年齢を考えたら、いまさらもう無理しなくてもいいかと思うのだが

家の中でぷかぷか吸うので家族が困る。

姉の喘息が悪化し、母は副流煙を吸ってしまうので、外で吸うようにいくら言ってもきかない。

姉の顔を見ると、姉が何か言う前に「うるさい、うるさい!!」と言って逃げる。

煙を逃がす扇風機を買い、空気清浄機を買い、それでも追いつかない。

それだけじゃない。

自分の都合で母を振り回し、頑固で勝手だ。

どうやって説得したものか、車の運転だけは諦めてくれた。それだって毎回けんか腰だったのだ。

そんな父だけれど、本来ならそれをカバーして有り余るいいところがある。

明るく無邪気で前向きで、切り替えが早くて、たのしいことと新しもの好き。

そういう父を私達は忘れていないのに、目の前にいる「困ったおじいさん」に溜息が出る。


「おとうさんにやさしくしたいんだけど・・」

姉が言う。

「もうそんなに長くはないでね、許してやって」

母が言う。

わかるわかる。姉の気持ちも、母の気持ちも。

年に1度会うだけの私ですら、そんな気持ちの間を揺れてしまう。

そんなとき、同じく「困ったおじいさん」をもつ友人が言った。



やさしくなれなくても、大切に思う気持ちがあればいい

表面上イガイガしてても、お互い大切だと思っているもんだしね

そんな家族ばっかりじゃないかと思うよ




心が軽くなった。

家族だから、「嫌い」と言えてしまう。

それはほんとうには嫌いではないから。そのことを互いにわかっているから。

怒ってもイガイガしても許してもらえるという甘えがあるから。



ハワイに戻ってから、父と電話で話した。

展覧会があるから、新しい絵を描くのだと張り切っていた。

ウォーキングが好きで、1年前までは毎日1時間余りも歩いていた父が、

今は15分も歩くと腰ががくがくして歩けなくなってしまうと母が言った。

車の運転を諦めたのと同じ頃、実家の近くを走るバスが予算の都合で廃止になり、

それでも休日には繁華街へ行きたい父は、もっぱらタクシーを使うようになった。



威勢はいいけれど、目に見えて弱くなっていく両親。

私の年代で両親が揃っているのは稀有なことだろう。

それに両親とも自分の身の回りのことができて、記憶もしっかりとしている。

痴呆症だった祖母が、父のことを自分の兄だと勘違いして呼ぶときや、他人のように振舞うときの父の顔を覚えている。

元気でも、昔話もできなくなってしまったら、それはつらいことに違いない。

昔話ができても、寝ていることしかできなかったら、それもつらいことに違いない。






親に年をとらせてあげないといけないんだよね



前述の友人が言ったことがある。

それなのに私はまだ心の準備ができずに、来年も再来年も変わらず会えると信じているのである。






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