太平洋のまんなかで

南の島ハワイの、のほほんな日々

日本の映画、私の懐メロ

2019-11-11 09:57:11 | 勝手な映画感想
今年も、HIFFの季節がやってきた。
HIFFは  Hawaii International Film Festival の略で
毎年、春と秋に世界中から選りすぐった映画を15日間、毎日映画館で観ることができる。
なぜか春にはあまり観たい映画がなく、私たちが行くのは決まって秋だ。
普段、なかなか観る機会のない日本映画を中心に、毎回4~8本の映画を観ている。


今年は既に2本観た。
「Can't stop the Dancing(邦題 Dance with me)」


出演者は、宝田明しか知っている人はいなかったけれど、
軽いコメディで、夫はそれほどでもなかったようだが、私は文句なく楽しめた。
というのも、出てくる歌が全部、私の青春時代の歌ばかり。
キャンディーズの「年下の男の子」、シュガーの「ウェディングベル」、
山本リンダの「狙い撃ち」(うららーうららー、っていうの、このタイトルだったよね?)
帰りの車の中では、私は一人で歌いまくっていた。
日本人の友達がここにいれば、一緒に盛り上がれるのに。

昔、テレビで懐メロ番組をやると、母が家事の手を休めて、
美空ひばりや舟木一夫が歌うのを熱心にみていた。
「女学生のころ、学校を休んでひばりの映画を観にいったっけよ」
母の脳裏には、私が知らない若かった母のさまざまな思い出があふれていたのだろう。
私にとって母の懐メロが、退屈な歌でしかなかったように
私の夫にとっても、私の懐メロはただの日本語の歌なのだ。
どんなにその歌の背景を説明しても、その時代、同じようにその歌を聴いていた
人でなければわからない。

「いいなァーーー!昭和!!」
歌い終わって、そう叫ぶ。
「ヨカッタネ」
と夫が言う。
戻りたい過去はない。
けれど、いつまでも懐かしく思い出す過去があるのはいいものだ。



昨日は、「ソローキンのみた桜」を観た。

日露戦争のとき、捕虜となったロシア兵と日本人女性の恋の物語。
史実を元にした映画だという。
ここでも若い俳優は、まったく知らない人ばかり。
山本陽子さんが、すっかりきれいなおばあさんになったなあ、と思う。
一緒に行った夫の両親と、夫はいたく感動していた。
いい映画だったけれど、ラブストーリーが苦手な私はDance with meのほうがよかったかなあ。
「タイタニック」で泣けなくて、友人にひとでなしと言われた私である。
「世界の中心で愛を叫ぶ」も、病人を連れ出したらダメでしょう、と言って
あんたとはこういう映画を観にいくのはやめた、と言われた私である。

じゃ、私はひとでなしか、というと、私にも言い分はある。
ハッピーエンドにならない話は、気持ち的に受け入れたくない。
あなたの思い出だけを握りしめて、このあとの人生を生きてゆく、ていうのは
あまりに悲しすぎて、どこかで感情移入するのを止めてしまうのだと思う。

いつか、そんなことを友人に言ったら、
「なるほどねー。でもアンタ、『プリティウーマン』嫌いだよね?」
と、やり返された。
ジュリア・ロバーツがあまり好きじゃない、てのもある。
その当時、出口のないこんがらがった恋愛をしていた、てのもある。
あれが放映された30年近く前、感動のシンデレラ物語とかいって
讃えられていたのに、私の観たあとの感想は、「けッ!」だった。
円満な恋愛をしていたか、誰とも恋愛していないときだったら、また違ったかもしれないけど、
シンデレラ的なハッピーエンドも、それはそれで面白くない。
だから、ひとでなしと言われても、まあ仕方がないかもしれない、とも思うのである。