太平洋のまんなかで

南の島ハワイの、のほほんな日々

暑苦しく生きてゆく

2019-11-16 19:48:46 | 日記
誰かと個人的にかかわっていると、
人種のことなど、あまり意識しなくなる。
1番身近な夫は、私にとっては日本人でもアメリカ人でもないような気がする。
もともと、日本が大好きで、日本的なものを好むのもあるだろう。

夫の両親は、当然ながら夫よりもずっとアメリカ人ぽい。
シュートメの誕生日や、母の日、バレンタインデーなどには
義父は派手なバルーンと、カード、花束やプレゼントを欠かさない。
カードには、「My Sweetie」とか書かれている。
(キッチンのカウンターの上にあるのだから、家に行けばどうしたって見てしまう)

軽食を食べに行くと、コーラを頼んだりする。
(家では飲まない)
車を運転しているとき、手を握ったりする。
そしてさっき、外出から戻った義父が、ガレージに車を入れて、
ガレージのドアを開け、

「Hi  Sweetie!!」

と呼ばわりながら家に入って来た。
互いに70を過ぎて、Sweetie
日本じゃ後期高齢者といわれる年にさしかかっても、Sweetie。
いいなあ。アメリカ人。

こういう暑苦しいのが、私は大好きだ。

初めて夫に会った日の夜、私は夫に宛てて熱々の手紙を書いた。
実は同じ夜に夫も私に熱々の手紙を書いていて、
互いに同じ日に手紙を受け取った。
同じ暑苦しさをわかちあえる相手に、ようやく出会ったと私は感動した。

私の愛情表現は、日本人相手だとなかなか受け入れられにくい。
言わなくてもわかる、わざわざ態度に示すこともない、
花束を手に持って歩くなんてみっともなくてできない、
そういう人ばっかりとかかわってきた私の不運もあるだろう。

2回目のデートで、夫が私が住む街に電車でやってきた。
改札口で待っていると、周りの人より頭ふたつ飛びぬけた夫が、
淡いピンクの花束を持って、満面の笑みで歩いてくるのが見えた。
そのとき、ああ、私はこれからこの人と思いっ切り暑苦しく生きていこう、
と私は心に決めたのだ。



義父をみる限り、20年たっても、夫は変わらず暑苦しいままだろう。
しわくちゃの私に、Sweetie。と呼びかけるのだろう。
しみじみ、アメリカ人と結婚してよかったと思うのである。