太平洋のまんなかで

南の島ハワイの、のほほんな日々

平行線でいけばいい

2019-09-22 16:48:58 | 日記
土曜日、仕事から帰るとリビングに夫がいない。
普段は、テレビを見ているか、夕食の準備を始めているかしているのだけれど、
1階はガランとして、猫が手持無沙汰に寝転んでいる。
ここで、いやな予感。
具合が悪いか、あるいは酔っ払って寝ているかどちらかだ。
具合が悪いのではないといいな、と思いつつ
2階に行くと、案の定、夫はベッドに横たわっており、
一目見て、酔っ払っていると判明。

酔っ払っていると判明するなり、ムラムラと怒りがこみあげてきた。

どういうわけか、私は夫が飲みすぎるのが好きじゃない。
それも、私が帰宅したときには既に酔っ払って横になっているとなると
怒りは10倍増しになり、
寝たまま吐いたりすれば、怒りは頂点に達する。
私はいつものように一緒に食事をして、片づけたあとは
映画を観たりしてのんびり過ごそうと期待して帰ってくる。
それができなくなって、残念を通り越して頭にくるのだ。

休日の前の晩は気持ちが明るくなっていて、飲みたい気持ちはわからなくもない。
でも、なぜ少しずつ楽しむことができないのか。
階下のクロゼットを見ると、今日買ったと思われるウォッカが半分ほどになっている。

「なんでそんなに飲むわけ?」
「なんで少しずつ飲めないのさ?」
「酔っ払いは嫌いだよ」
「昔みたいに強くないんだから、気を付けて飲まないとだめじゃん」

横たわっている夫の隣で、私はくどくどと文句を言い続ける。
「ゴメンねー」
「オツカレサマで飲みたかったんだよ」
「途中まで大丈夫だと思ったんだけど、急に酔うんだよ」

何回、同じことを繰り返しているだろう。
もし私もお酒が好きだったら、もっと理解があったのかもしれない。
具合が悪くて寝ているんじゃなくてよかったのだから、好きなようにさせて
あげればいいのにできない自分が、ちょっと嫌になることもある。

私は、自分の平和のために、
このことで頭にこない自分になりたいと思い続けてきた。
相手を変えることはできないのだから、
自分の受け止めかたを変えればいいのだと思ってきた。
けれど私は相変わらずそういう夫に腹が立ち、
夫は相変わらず同じことを繰り返し、やる。

昨日、気づいた。
きっとこれで、いいのだ。

大昔、ずっと年上の知人が言った。
「夫婦って何年連れ添っても、同じことでつまづいて喧嘩するのよね」
若かった私は、それについて何も思わなかったけれど、
それはそれで、きっといい。
最初の結婚時代、私は衝突することを恐れすぎて失敗した経験を反省し、
この結婚では我慢をせず、いちいち不快であることの説明をするようにしている。
その結果が、くどくど毎回同じ文句を言う、夫はおとなしくそれを聞く、という図になっている。

いつか私は、夫の酔っ払いを許せるようになるかもしれないし
許せないままかもしれない。
どっちだって、いいではないか。
同じことで怒る自分を、もうどうにかしようと思わない。
平行線を無理に交差させようと思わなくたっていい。
そう思ったら、気が楽になった。


「こんなに私に文句を言われて、気の毒になるよ」
つい本音を夫に言うと、
「そんなことないよ、愛でしょう。心配してくれてありがとう」
と言った。
心配とか愛とかではないんだけど。
そのとき、ほんのちょっとだけ胸が痛んだ。







ターメリックの花

2019-09-22 15:24:19 | ハワイの自然
ターメリックの花を見たことがあるだろうか。
日本語だと ウコン か。
夫が働くナーサリーで育てているのを、持って帰ってきた。

ターメリックの花

あんまりかわいいのでびっくり。
ウコンは、生姜の古根に似ている。
生姜といえば、ハワイにたくさん咲いているジンジャーの花も
生姜の仲間。食用ではないけれど。
ターメリックの花は、ジンジャーの花に似ているのも納得。


そして我が家のプルメリア。

お!

咲きそう!!

咲いた!!

今年は花が5個咲いた。
プルメリアは花がつくのに時間がかかるのは知っていたけれど、
5年で、5個って・・・・
数えきれないほどの花を盛大につけている、道端のプルメリアを
溜息とともに眺めている。





『RIGO』スパニッシュイタリアン

2019-09-17 19:28:50 | 食べ物とか
友人が、「RIGO]という、スパニッシュイタリアンのレストランができたというので行ってみた。
日本の会社が経営するレストランらしい。
カパフル通りという立地も大変よい。ワイキキなら行かなかった。

スパニッシュイタリアン、という言葉は初めて聞いた。
そういうくくりの食べ物が世の中にあるのかどうかもわからない。
けれど、スパニッシュのタパスは好きだ。
タパスは、日本の居酒屋のように、小皿料理で出てくる形式で
いろんな料理が少しずつ楽しめる。
一皿の量がパーティサイズかと思うようなアメリカのレストランだと
一皿ですら食べきれない。

最後にタパスレストランに行ったのは、サンフランシスコだったから
もう4年になる。美味しかったなあ、あれは・・・・
それで、スパニッシュイタリアンという謳い文句にそそられて、出かけたのだった。

RIGOの店内

6月にオープンしたばかり。
お店はとても洗練されていて居心地がいい。
奥にはソファのテーブルもある。
写真の上部は、壁一面がガラスばりのワインセラーになっている。
メニューは、スパニッシュとイタリアンとが分けられて表記されていて、
どれも居酒屋サイズ。
私にはさっぱりわからないけれど、酒好きの友人によると
ワインの品揃えがかなり良いらしい。
中でも30種類ほどのワインが一律28.5ドル(ボトル)で、
その銘柄を見て、
「こんなワインをこの値段で出すなんてスゴイねんよ」
と友人は言った。

スパニッシュの海老
にんにくオイルのソース。
向こうにあるのが、ガーリックブレッドのモツァレラチーズのせ。

イタリアンのカラマーリ
日本の居酒屋でいうと、イカげそのから揚げね。
向こうに見える丸いのは、スパニッシュのコロッケ。

イタリアンのボンゴレビアンコ

なんのスパゲティが好きといって、アサリのシンプルなスパゲティが1番好き。

写真には撮らなかったけど、イタリアンの、茄子のグラタン的なものも
すごく美味しかった。

デザートに頼んだティラミス。
20年ぐらい前、日本でティラミスが人気になった頃のティラミスの味がする。
あのあと、ティラミスは少しずつ形を変えて、
多くの店のティラミスは、チョコレートケーキの親戚みたいになってしまった。
ほんとうのティラミスは、洋酒をきかせた軽いチョコレートスポンジに、
マスカルポーネチーズの素朴な風味が絶妙にあわさった、シンプルなもの。
日本の他のケーキのように、ぎりぎりまで控えた甘さが新鮮。
私の同僚が食べたら、砂糖を振り掛けたくなるに違いない。

バスルームも、床でごろごろできそうなほどきれい。(しないけど)
個室のドアをあけたら、便座が自動的に上がった。
異国の地で、日本のホスピタリティに触れて感動する場面。

ウェイターたちが、みんな揃って美男子なのも素敵。
ちょっとイタリアとかスペイン系にみえる人を選んでいるのかと思うほど。
実際は、プエルトルコ人だったりする。


 
カパフル通りは、ワイキキ動物園と同じ通りにあって、
ワイキキからもそんなに遠くない。
料理もサービスも大満足。
今度はディナーに来てみたい。



お別れがいえるしあわせ

2019-09-16 16:36:48 | 日記
日本の暑さを覚悟していったのだけれど、それほどでもなくて幸いだった。
私たちが行く前日まではそうとう暑かったらしい。

父は、これ以上痩せられないというぐらい痩せて横たわっていた。
自分の世界に入っていることもあるが、
私と夫が行くと、なんとなくわかっているような気がした。
ゆっくりと枯れてゆくだけで、痛いところもなく、にこにこしている。
実家から徒歩2分のグループホームにいるので、
1日に何度も会いに行った。

薬で延命するか自然に任せるか、家族で決めなくてはならない。
父に会うまで、苦しくもなんともないなら、1日でも長く生きてほしいと思っていたけれど、
これからまた歩いたり、おいしいものを食べたりできるわけでなし、
(食事はゼリー状のものだけ)
ベッドの上でぼんやりと過ごす時間が長くなるだけなのは、父にとって幸せなんだろうかと今は思う。

痩せた手首を握って
「おとうさん、ありがとう」
と何度も言った。
すると父は、嬉しそうにうなづく。
「おとうさんのこと、大好きだよ」
そういうと、「ありがとう」とかすれた声で言う。
泣けて、困る。

どんなに言葉を尽くしても、伝えきれるものではないのだ。
それでも、言うしか術がない。
私の思い出の中の父が、あふれてくる。
こうして、伝えることができる猶予をくれた父に、また感謝。

ハワイに戻らねばならない最後の日の朝、
父に会いに行ったら、不思議なことがあった。
父があらぬ宙を見つめて、嬉しそうに笑って右手を差し伸べた。
「誰かいる?」と聞くと、祖父が来ている、という。
父はしばらくその場所を見つめていた。
父の幻覚でもなんでもなく、ほんとうに祖父がいたんだと私は信じる。

そして、ふわふわとつじつまが合わない会話の中で父がふと、
「何かあったら知らせるよ」
と、かすれてはいるが、はっきり言った。

「オトウサン アリガトウ オツカレサマデシタ」
夫がそう日本語で言い、父の手を握った。
父は夫のことが大好きで、夫もまた父のことを慕ってくれた。
別れ際、父の頬に私の頬をつけた。
「ひゃぁ」
父は嬉しそうにそう言って笑った。

しっとりとした父の肌の感触を、
目を見開いて驚いて見せる、ひょうきんな顔を、
目の色を、
私の心に焼き付けたいのに、涙でにじんでしまう。


「何かあったら知らせるよ」
父は知らせにきてくれるのだろうか。








台風

2019-09-10 19:13:53 | 日記
本来なら、日本行きの飛行機の中。
でも私はこれを自宅で書いている。
14時のフライトなので、12時ごろに空港に行ったら、まさかの遅延。
それも夜中の3時半。
私たちを空港まで送ってくれた、夫の叔母にあわてて電話して、
Uターンしてもらった。

ただでさえ短い日程が、これでまた短くなってしまった。
友人相手に文句を言っていたら、友人の同僚のお母さんの話をしてくれた。
二日前、そのお母さんはハワイに住む娘に会うために、一人で遠くから成田空港まで行ったのに、台風のために飛行機が飛ばず、
チケットカウンターの前で一夜を明かして、結局翌日フライトは全部欠航となり、
またはるばる地元まで帰ったのだという。
そのお母さんの気持ちを思うと涙が出そう。

私たちなんか、こうして25分ぐらいで自宅に戻って
猫とゴロゴロしたり、夕食を食べに行ったりして(冷蔵庫には何もないのだ)
夜中になるのを待っていられるのだからラッキーだ。
もしこれが成田空港だったら、自宅から2時間ぐらいかかるから、
空港で半日待つしかない。

猫たちには、私たちが家をあけることを、数日にわたって
日本語と英語で繰り返し説明してあったから、
出かけたはずが戻ってきて、どうなってんだ、というような顔をしていた(と思う)


以前某エアラインで働いていた友人が、
「オンラインにすれば、遅延のお知らせとかメールでくれるから、これからはオンラインにしたほうがいいよ」
と言う。
確か、チケットはオンラインで買ったと思うけど、そういうことじゃないのかな。

「昔はリコンファームをしないと、当日になって座席がなかったりしたこともあったんだよ。今はそれがなくなったけど、自分でチェックは必要」

そういえば、20年ぐらい前のガイドブックには、リコンファームについて書かれていた記憶があるし、実際に電話をかけたような気がする。
今はリコンファームしなくてもよくなったんだ。

遅延になって、家に戻ってきたら、夫のメールアドレスに遅延のお知らせが来ていたのを発見。
「メールが来ていたみたいだよ」と友人に言うと
「それじゃあオンラインで買ったんじゃん!」
「そういうことだよね」
「でもメールチェックしないんじゃ意味ないよね・・」
「だよねー」
「・・・・・」

フライトの前には、フライト情報をチェックする。
今までそんなことをしたことがないと言ったら、友人は再びあきれていた。
わかるよ、わかる。
私はいつも夫任せで、適当についてゆくだけだからイカン。
しかし私はおおざっぱな上に、超のつくめんどくさがり。
キチキチとものごとを順序だててこなしてゆくのが最も苦手ときている。
いつだって雰囲気で生きてるようなところがある。

「何が起きても大丈夫っていうなら別だけど、そうじゃないじゃん。
だから事前のチェックとかいうのは、したほうがいいよ」

まったくもってそのとおり。
あたしゃ騒ぎだけは大きい。
的を得た友人の言葉に、ぐうの音も出ない。