『ペガサスの記憶』(小学館)~桐島洋子、桐島かれん、桐島ノエル、桐島ローランド
『ほんとうに70代は面白い』(海竜社)~桐島洋子
『ペガサスの記憶』は今年86歳を迎える、桐島洋子さんの自叙伝になるはずでした。
ところが、桐島洋子さんは2014年にアルツハイマー型の認知症と診断が下り、次女ノエルさんの誕生の場面からペンが進まなくなりました。
このまま終わらせるのは惜しいと、桐島かれんさん、ノエルさん、ローランドさん、3人のお子さんがその後の洋子さんのカラフルな人生を書き継ぎました。
私たち団塊の世代にとって、桐島洋子さんは働く女性の旗振り役の1人だったかもしれません。
私は憧れもしないし、目標にもしませんでしたが、彼女の書く文章を、著作を、面白い小説を読むように何冊も読んでいました。
未婚で3人の子どもを産んだいきさつも育て方も実にユニークでした。
3人の子どもたちの父親がそれぞれ違うと思っている人もいたようですが、父親は1人です。
ただ、そのアメリカ国籍の退職軍人の父親には別に正式な妻がいたようで、道徳的ではないことは確かです。
でも、長じた子どもたちをみたら、間違った育て方ではなかったのでしょう。
特に、一番洋子さんの行動に振り回された感のある長女のかれんさんは、素敵な女性として青春を中・壮年を過ごし、もうそろそろ還暦です。
洋子さんは今、海辺の街、葉山で暮らしています。子どもたちの日本語名、かれん=渚、ノエル=澪、ローランド=舵と縁のある海のある街です。
もう、世の中のおかしなことから目をそらさない、独創的で知的で勢いのある洋子さんの新しい文章に接することはかないませんが、穏やかに過ごす彼女の日常を、かれんさんたちに発信してもらいたいです。
『ほんとうに70代は面白い』は認知症を診断された2014年の発行です。
本自体は他の媒体に発表されたものを集めたものですが、まえがきは書き下ろされたもので、2014年11月と記されています。
あとがきはありません。