もうだいぶ前の話し。
地元の酒蔵四社のお酒を提供したいというお料理屋さんに、その四社のお酒をブレンドしてひとつのオリジナル日本酒としてお客さんにお出しすることを提案し、行動を起こした蔵元あり。
前例がないから(酒税の絡みなどもあるため)と難色を示す国税局の許可を得たり、賛同をためらう一部の蔵元を説得するなどの道のりを経て誕生した「日本初のブレンド酒」は、お料理屋さんの看板酒となりました。
その話題を知った他県の人たちの中にも「面白そうだから自分もやってみよう」と思ったかたがいらっしゃったようです。
たしかにブレンドするお酒や比率を変えれば、他には存在しないオリジナルのお酒が出来ますので差別化商品としてアピールできるでしょう。
ですが・・・
発案された蔵元のお酒はその地域で一番飲まれているお酒ですから、ブレンドせずに四社それぞれのお酒として扱ってもらえば一番有利だったはず。でも、あえてブレンド酒を強く推したのでした。
そこにあったのは単なる差別化や話題づくりではなく、地域全体にとってプラスにならなければいけないという発想。
蔵元曰く、「ブレンドすれば四社のお酒が均等に飲んでいただける。」
その言葉を聞いたときはシビれましたねぇ。
あれから数年。
昨夜の定例飲み会でそのときの気持ちを思い出させていただきましたわ。
その蔵元の足元にも及ばない私ですが、精進して今より少しでも器の大きな人間にならねばなりません。
本当に小さな私には険しい道ですけども。
では、本日も日本酒で乾杯!