時節柄、どうしてもお酒の話題が多くなってしまいまして恐縮ですが、本日もお知らせを兼ねての内容です。
店内の冷蔵ケースにお酒を並べた時のサプライズ、「金鶴 純米しぼりたて」の瓶胴部に見慣れぬ貼り紙が… 「無ろ過 うすにごり」って、あんたナニ?
最初に仕入れた瓶(写真左)にはそんなの貼ってなかったのに。最近告知なしに変わったことをする茶目っ気が出てきたようで、それはそれで結構なことなんですけども、こりゃ杜氏さんに確認しなくては…。
一服の時間を見計らって杜氏のマサルさんに電話を。ふむふむ、なるほど… そういうことね。大変良く分かりましたわ。内緒にする必要もないのかも知れませんが、念のためにブログ上では伏せておきます。
瓶の底を覗きこむと、確かにうっすらとモヤがかかったように見えます。奥に見える瓶が通常のもの、手前と比べると中身が入ってないように見えるほど澄んでますでしょ。
様々な発想が酒造りに活かされている昨今は、このようなお酒も珍しくはありませんけれども、ひと昔前だったら「この酒、火落ちしてるんじゃないの?」って言われたかも知れませんな。似てるもんねぇ 見た感じが。
老婆心ながらご説明しますと、「火落ち」というのは、火落菌(ひおちきん)という細菌がお酒に繁殖しておこる日本酒特有の変敗現象でして、白濁して酸っぱくなったり独特の臭いが生じたりしてお酒によろしくないので、当然ですが酒造家にはえらく嫌われております。この火落菌、乳酸菌の仲間ということなんですが酒好きなヤツでして、肉汁などに他の細菌が繁殖しても姿を現さず、そこに清酒を混ぜてやると寄って来るというアルコール依存症のような菌なのです。なお、ビールやワインでは駄目だと言いますから、全くもって清酒大好き菌ということですな。日本酒蔵にとっては因果なヤツですが、現在の酒造りにおいて悪影響を受けることはほとんどなくなったそうです。熱に弱い火落菌に狙われやすい生酒も、こうやって年中流通しているのが今じゃ当たり前ですもんねぇ。
なんだか話しが逸れてしまいましたが、「金鶴の純米しぼりたて・無ろ過うすにごり」どうぞご賞味くださいませ。紙の貼り方はご愛敬ということで許しておくんなさいまし。
追伸・「火落菌はワイン造りには有用らしい」とのご指摘をいただきました。「もやしもん」の中にそう書いてあるそうで… そのマンガは読んでないもんで(DVDは見ましたが)良く分からないんですが、もしかしたら文章の訂正をすることになるかも知れませんわ。m(__)m