ハッチがいた日常

夫は病死、仕事も辞めて被災猫ハッチと暮らしたけれど、10年で終わってしまった。これからは本当の一人暮らしの日々。

アナザーストーリー、略奪絵画

2017年10月11日 17時30分33秒 | 芸術

 昨夜、たまたまBSプレミアムで見たアナザーストーリーに、ものすごく感動してしまいました。

 ドイツのミュンヘンで数年前に、ナチスが略奪した名画が大量に発見されたそうです。それが報道された経緯やその後の話で、戦争が終わって70年以上たっても、多くの人に傷を与え、人生まで変えられてしまったということにびっくりしました。

 戦時中はナチスに加担して絵画の取引をしていたという画商は、戦後に絵画を残すために活躍したという見方で英雄視されていました。その名画は空襲ですべて焼けたと言っていた、その名画が、その英雄の画商が死んでずっとたってから発見ということになったのです。つまり、彼は英雄でも何でもなく、焼けたと嘘をついた悪者だったわけです。その息子が延々と絵を守っていたのです。ドイツでは、30年間所有すると、所有権が得られるそうです。名画ですよ、相当な量だし・・。で、その名画を守るために、その息子は外にめったに出ず、人とのかかわりも持たず、長い年月、孤独で生活していたわけです。ある意味、戦争の被害者です。略奪された方は、取り返したいとドイツを訴えます。返還に前向きにということで訴えを取り下げ、あるユダヤ人の絵画が返還されたそうです。70年以上の年月、当人はすでに亡くなっている人も多く、返還作業は大変です。そして、その孤独な老人(例の画商の息子)はひっそりと生涯を閉じ、遺言でスイスの美術館に寄贈とのこと。ただ、はっきりと略奪されたと分かるものは、ドイツで返還を待つそうですが、その絵の修復も大変です。

 このすごい発見は、二人のジャーナリストがスクープしたのです。ドイツ政府も、発見した後しばらく公表しなかったのです、というよりもできなかった・・。それをなぜ、スクープしたのか。

 そのジャーナリストはこう言いました。「暴露しなければならない秘密がある

 この言葉に感動しました。ジャーナリストはこうあるべきです。不倫を追っているのが報道の姿なのか??

 パパラッチじゃあるまいし、今、このときに、この時期に、日本のメディアがやるべきことがあるでしょう!

 ある日突然、差別されて土地も財産も奪われること、もしかしたら、私たちにもあるかもしれないのです。それが、戦争。絶対にしてはならない、戦争です。人の痛みを、自分の痛みと思えるようにならなきゃいけないのに。

 確かに、ユダヤ人は壮絶な経験をしました。多くの人が虐殺されました。で、国を作りましたが、その国の土地は、人から奪った土地でした。パレスチナの人たちは、いま、ひどい目に遭っています。

 ロヒンギャやシリアの難民も、そうです。もし、自分がそうだったらと考える想像力を持ちたいです。戦争を起こさないための外交力、それに期待したいです。

コメント (2)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする