永田和宏選
デ・キリコの少女にふっと会えそうな街中の午後ペダル踏みゆく 高山市 松井徹朗
キリコの絵を思い浮かべてなんだか素敵な雰囲気だなあと感じました。この感覚、好きですね。思い浮かべる絵は「通りの神秘と憂愁」で、影でわかる少女のことだと思います。この絵のタイトルは、メランコリーを憂鬱と憂愁と、どちらにも訳しているので、どっちでしょうかねえ。Melancholy and Mystery of a Street 原題で鑑賞したほうがいいのかもしれませんね。と言っても、キリコはイタリア人だから、原題はイタリア語、ですよね。
佐佐木幸綱選
木洩れ日と風のさざめき鳥のこゑもろとも失くす欅を剪(き)りて 羽咋市 北野みや子
欅(けやき)は大木になります。地元の石川酒造でも、大欅が見事です。そんな神が宿るような欅を簡単に切ってしまうのは、とても悲しいことです。
高野公彦選
<春夏冬中(あきないちゅう)>本当に無くなりそうでだから一杯飲んでいこう 袖ヶ浦市 一尾弘志
この夏は長かったですね。11月でも夏日があるので、今も夏なのかもしれません。日本の四季でとても味わいのある「秋」がなくなるというのも本当かもしれません。俳句の季語では秋がたくさんあるのに、それが無くなるとなると、日本の四季のよさがどうなってしまうのか。そもそも、地球温暖化って、人類にも責任があるのでは?SDGsというのも、もう手遅れなのかもしれません。だって、いまだに戦争がなくなりませんもの。少子高齢化が激しくなるというのに戦争なんて、若者の命を失っていいわけがありません。人手が足りなくて農業放棄地も増えたらますますクマが街中に出てきてしまいます。ニュースで子熊2頭が駆除されたって聞けば、胸が苦しくなります。もちろん、人の命が最優先ですが、なんとか共生はできないのでしょうか。先日はやせ細った北海道のヒグマを見て、これも胸が苦しくなりました。私はこのまま、心臓病になってしまうのでしょうか・・。ああ、生きるのも苦しい。