片田舎で一人暮らしの80歳に程近い我が母が、今回家屋の大規模な修繕をするのだと言う。
高齢にして買い物や病院通い等日常の所用を自らのマニュアル車の運転でこなし、携帯でメールも出来る母が言うには、「まだしばらくはこの家で一人で生きていけそうだから、この際思い切って家の修繕をしておこうと思う。これが最後の修繕になるとは思うがね…」
私が応えて曰く、「それは元気な証拠でいい考えだと思うよ。ただ、元クレージーキャッツの谷啓氏も自宅の階段で転び顔面をぶちつけ78歳にして脳挫傷で亡くなったとのことだし、家の修繕が終わった後もくれぐれも階段で転ばないように気をつけてね。」
折りしも朝日新聞9月10日朝刊のリレーオピニオン欄に、東京大学大学院教授の上野千鶴子氏による「シングル女性こそ(マンション)購入を」との記事があった。
この記事の中で上野氏が上記の記載と似た趣旨の記述をされている。 64歳のシングルであられる上野氏は現在3階建ての一戸建て住居にお住まいのようだが、「メンテナンスは面倒臭いし、階段はつらいし……」云々とのことで、この記事においてシングル高齢者女性にマンション住まいを勧めておられる。
この記事を読んだ原左都子にとって別の視点で興味深かったのは、長い期間独身を貫いた私と、若い頃より学者として名を売られ今尚独身を貫いておられる上野氏が、初めてマンションを購入した年齢が一致することである。 上野氏の場合は、「大学に職を得て定期収入が得られるようになった」ため30歳を過ぎた頃にマンションを購入されたとのことである。 片や原左都子の場合は、30歳にして定職を捨て再び学問を志すにあたり、月々の家賃出費負担を軽減したいがためにそれまでに貯えた金融資産を投じてマンションを購入したとの違いはあるものの…。
しかも尚興味深いのが、上野氏はその後何度も住まいである物件を買い替えておられる点だ。 これに関しても原左都子と大いに共通項がある。 その後晩婚に至った私は、30歳独身時に購入し単独でローン全額を完済した上記マンションを今尚所有する一方、夫婦共有名義で3度に渡るマンション物件買替えを経験している。
上野氏はこの記事において、シングル高齢者に対し一戸建て住まいよりもマンションの利便性を強調しておられる。 それは上野氏ご自身が現在お住まいの3階建て住居に上記のごとくの不便さを感じておられるからである。
ウン十年前に上京以降マンション住まいを志向しつつ今に至るまでそれを貫いている私であるが、何故にそうであるかと言うと、第一マンションの方が一戸建て住居よりも購入価格においてリーズナブルであるためだ。 そして上野氏も書かれているごとくメンテナンスが容易である魅力も捨て難い。 日々の清掃やゴミ処理、物件点検管理等の面倒臭い作業は管理費を支払っておけば管理会社がすべて代行してくれる。 物件の修繕積立金の月々の負担は大きいが、住人はその積立金額の整合性を管理組合を通して目を光らせていさえすれば、これまた管理会社が大規模修繕とて定期的に計画実行してくれる。
これは確かに、高齢者ならずとも若い世代の住民にとってもありがたいものである。
今回の朝日新聞記事で上野氏が対象としているシングル女性の年齢とはどの辺りなのだろうか?
それが多少分かりにくいため、ここで原左都子なりに年齢を区切ってマンション購入を考察してみることにしよう。
まずは私も上野氏もマンションを初めて購入した30代の若き世代であるが、現在におけるこの世代のリッチ層女性は既にマンション購入を大いに実行していることであろう。 上野氏曰く、「昔と違って今はマンションを買う女性が増えている。その理由の一つは経済力のある女性が増えたこと。次に、人生を“結婚までの待機の時間”と捉える女性が減り、買ったら周りが“結婚しない人”と思い込んで声をかけてくれなくなるジンクスもなくなった…」
おそらく既に、上野氏より多少若年層である私が30歳の頃には、「マンションを購入したから結婚の意思がない女性だ」などと考えて敬遠する男性は皆無だったような… むしろ女性側の私の方が、私所有のマンションにまんまと転がり込むこと目当てに結婚を申し込もうとする男性など門前払いだったものだ。
上野氏も記述されているが、職業を持たず経済力のない女性が(遺産でも転がり込んで全額を現金で購入できる以外に)、ローンを組んでマンションを購入することは不可能に近いであろう。それは年齢を重ねる程に切実となることも予想される。
結局今の時代、定職を持たない女性はその年代にかかわらず例え一戸建てに比して安価なマンションであろうと、その購入は不可能ということなのではなかろうか。
上野氏が提唱される「シングル女性こそマンション購入を」の実態を考察した場合、それを実現できるのは職に恵まれている若き世代か、あるいは上野氏のごとく熟年にして尚著名人等として活躍され将来の収入が保障さている方々か、はたまた遺産相続等でまとまった財産を受け継いだ層に限られるのではあるまいか。
それにしても確かに上野氏がおっしゃる通り、マンションとは日頃の維持管理も大規模メンテナンスもすべて月々の管理費や積立金により賄われるが故に、暮らし易いことを実感である。(しかも都会では、あえて必要もない下手な近所付き合いの煩わしさも皆無だしね~)
きっとこの原左都子も老いて“おひとりさま”となって以降も、一生マンション暮らしを続けることだろう。
高齢にして買い物や病院通い等日常の所用を自らのマニュアル車の運転でこなし、携帯でメールも出来る母が言うには、「まだしばらくはこの家で一人で生きていけそうだから、この際思い切って家の修繕をしておこうと思う。これが最後の修繕になるとは思うがね…」
私が応えて曰く、「それは元気な証拠でいい考えだと思うよ。ただ、元クレージーキャッツの谷啓氏も自宅の階段で転び顔面をぶちつけ78歳にして脳挫傷で亡くなったとのことだし、家の修繕が終わった後もくれぐれも階段で転ばないように気をつけてね。」
折りしも朝日新聞9月10日朝刊のリレーオピニオン欄に、東京大学大学院教授の上野千鶴子氏による「シングル女性こそ(マンション)購入を」との記事があった。
この記事の中で上野氏が上記の記載と似た趣旨の記述をされている。 64歳のシングルであられる上野氏は現在3階建ての一戸建て住居にお住まいのようだが、「メンテナンスは面倒臭いし、階段はつらいし……」云々とのことで、この記事においてシングル高齢者女性にマンション住まいを勧めておられる。
この記事を読んだ原左都子にとって別の視点で興味深かったのは、長い期間独身を貫いた私と、若い頃より学者として名を売られ今尚独身を貫いておられる上野氏が、初めてマンションを購入した年齢が一致することである。 上野氏の場合は、「大学に職を得て定期収入が得られるようになった」ため30歳を過ぎた頃にマンションを購入されたとのことである。 片や原左都子の場合は、30歳にして定職を捨て再び学問を志すにあたり、月々の家賃出費負担を軽減したいがためにそれまでに貯えた金融資産を投じてマンションを購入したとの違いはあるものの…。
しかも尚興味深いのが、上野氏はその後何度も住まいである物件を買い替えておられる点だ。 これに関しても原左都子と大いに共通項がある。 その後晩婚に至った私は、30歳独身時に購入し単独でローン全額を完済した上記マンションを今尚所有する一方、夫婦共有名義で3度に渡るマンション物件買替えを経験している。
上野氏はこの記事において、シングル高齢者に対し一戸建て住まいよりもマンションの利便性を強調しておられる。 それは上野氏ご自身が現在お住まいの3階建て住居に上記のごとくの不便さを感じておられるからである。
ウン十年前に上京以降マンション住まいを志向しつつ今に至るまでそれを貫いている私であるが、何故にそうであるかと言うと、第一マンションの方が一戸建て住居よりも購入価格においてリーズナブルであるためだ。 そして上野氏も書かれているごとくメンテナンスが容易である魅力も捨て難い。 日々の清掃やゴミ処理、物件点検管理等の面倒臭い作業は管理費を支払っておけば管理会社がすべて代行してくれる。 物件の修繕積立金の月々の負担は大きいが、住人はその積立金額の整合性を管理組合を通して目を光らせていさえすれば、これまた管理会社が大規模修繕とて定期的に計画実行してくれる。
これは確かに、高齢者ならずとも若い世代の住民にとってもありがたいものである。
今回の朝日新聞記事で上野氏が対象としているシングル女性の年齢とはどの辺りなのだろうか?
それが多少分かりにくいため、ここで原左都子なりに年齢を区切ってマンション購入を考察してみることにしよう。
まずは私も上野氏もマンションを初めて購入した30代の若き世代であるが、現在におけるこの世代のリッチ層女性は既にマンション購入を大いに実行していることであろう。 上野氏曰く、「昔と違って今はマンションを買う女性が増えている。その理由の一つは経済力のある女性が増えたこと。次に、人生を“結婚までの待機の時間”と捉える女性が減り、買ったら周りが“結婚しない人”と思い込んで声をかけてくれなくなるジンクスもなくなった…」
おそらく既に、上野氏より多少若年層である私が30歳の頃には、「マンションを購入したから結婚の意思がない女性だ」などと考えて敬遠する男性は皆無だったような… むしろ女性側の私の方が、私所有のマンションにまんまと転がり込むこと目当てに結婚を申し込もうとする男性など門前払いだったものだ。
上野氏も記述されているが、職業を持たず経済力のない女性が(遺産でも転がり込んで全額を現金で購入できる以外に)、ローンを組んでマンションを購入することは不可能に近いであろう。それは年齢を重ねる程に切実となることも予想される。
結局今の時代、定職を持たない女性はその年代にかかわらず例え一戸建てに比して安価なマンションであろうと、その購入は不可能ということなのではなかろうか。
上野氏が提唱される「シングル女性こそマンション購入を」の実態を考察した場合、それを実現できるのは職に恵まれている若き世代か、あるいは上野氏のごとく熟年にして尚著名人等として活躍され将来の収入が保障さている方々か、はたまた遺産相続等でまとまった財産を受け継いだ層に限られるのではあるまいか。
それにしても確かに上野氏がおっしゃる通り、マンションとは日頃の維持管理も大規模メンテナンスもすべて月々の管理費や積立金により賄われるが故に、暮らし易いことを実感である。(しかも都会では、あえて必要もない下手な近所付き合いの煩わしさも皆無だしね~)
きっとこの原左都子も老いて“おひとりさま”となって以降も、一生マンション暮らしを続けることだろう。