原左都子エッセイ集

時事等の社会問題から何気ない日常の出来事まで幅広くテーマを取り上げ、自己のオピニオンを綴り公開します。

電車人身事故に遭遇する不運と迷惑

2014年11月29日 | 時事論評
 現在では“日常茶飯事”と表現しても過言ではなくなってしまった、首都圏に於ける電車飛び込みによる人身事故発生。
 その情報を目にしない日はないと思える程に、あちこちの首都圏路線で人身事故が発生している有様だ。

 既に現役就業時代を終えている原左都子故に日々電車に乗る訳ではないため、この事態に遭遇するのは稀である。

 それでも一昨年電車人身事故に遭遇した経験があり、その時の“実況”を我がエッセイ集2012年7月11日バックナンバー「大都市交通網振替輸送の連携プレー」に於いて綴っている。
 当該バックナンバーの一部を要約して以下に紹介しよう。

 所用を済ませた帰り道の夕刻、JR上野駅から山手線に乗車した。  田端駅を過ぎた頃からだろうか、いつになく電車が徐行し始める。 山手線の徐行は珍しいなあと感じつつ、やっとこさ次の駒込駅に着いたら今度は電車が発車しない。  しばらく経って車内放送があった。 「巣鴨駅にて人身事故発生のため、山手線“内回り線”は電車運行を休止します。 尚、“外回り線”に関しては現在のところ運転を続行しています。」
 既に40年近く長い期間に及び首都圏電車にお世話になっているにもかかわらず、私が乗った山手線がどっち回りがすら把握出来ないでいると、やっと車内放送が入った。 「この電車は“内回り線”です。 メトロ南北線に振替輸送可能ですので、そちらをご利用下さい。」  (早く言ってよ!)と怒りつつも、「振替輸送」自体が何十年来都心で暮らしている私にとって初体験である。  
 夕刻の帰宅時間帯のためか、物凄い数の人間が怒涛のごとく移動している。 それに私もついて行きながら、(運賃の扱いはどうなるのか? それにしても迷惑な話だ!)などと内心怒り続けつつ、JR駒込駅の改札付近で「振替輸送証」なる白色切符を受け取りメトロ南北線乗り場へと急ぐ。
 南北線乗車後メトロ電車内にも早速車内放送が流れた。  「本日16時何分頃、JR山手線で人身事故が発生しました。現在“内回り”“外回り”共に運転を休止していて振替輸送中です。 そのためメトロ線に於きましても運行時刻が乱れていますことをお詫び致します。 山手線運転再開は現在未定です。…」
 その後多大な時間ロスなる犠牲と共にやっと我が家最寄の東京メトロ駅に到着し、私はJR駒込駅で手渡された「振替輸送証」を駅員氏に提示した。 駅員氏は「そのまま素通りして結構です」と言って下さったのに、私は訳が分からずいつものごとくスイカを改札機に“ピッ”と反応させてしまった。 あわてた駅員氏曰く、「乗車料金が発生してしまいましたので返金致します。」  その返金作業(要するに振替輸送中の運賃は無料のようだ)をしてくれつつ東京メトロ駅員氏は「本日は“振替輸送体制”となりご迷惑をお掛け致しました。」と深々と頭を下げ続けて下さった事に、私は感動した。
 (以上、「原左都子エッセイ集」電車人身事故遭遇に関する2年程前のバックナンバーより一部を引用。)


 話題を、最新の私事に変えよう。

 一昨日の11月27日、私は娘が通う大学の「公開授業」に出席する目的で電車に乗った。
 (参考だが、娘が通う大学とは“大学にして”父兄に授業公開出来る程に徹底した教授内容を誇っているのと同時に、父兄との連携を尊重する主義のようだ。)
 父兄同士のコミュニケーション目的会合の機会も学内で幾度も開催されているようだが、まさか集団嫌いのこの私がそんな席に参加するはずもない。 
 そんな中、大学から届いたのは「公開授業」のお知らせである。 これに元教育者であり、かつ学問好きな原左都子が出席しない訳もなかろう。 早速出席申し込み通知をメールにて大学に届け、27日の本番を楽しみにしていた。
 私が娘が通う大学を訪れるのは、娘入学式以来2年8ヶ月ぶりである。

 ところがとんでもない「不運」に見舞われたのは、この道中私鉄の人身事故に遭遇した事態だ。

 事の初めは東京メトロ沿線に住んでいる私がメトロに乗った直後に、連結している「〇〇私鉄沿線で人身事故が発生しています」なるアナウンスが入ったのに遡る。
 こういう場合メトロと私鉄との乗換駅に着く前に詳細のアナウンスがあるべきと思いきや、その後乗客が欲しいアナウンスが一切ない。 私の希望的判断として、メトロに乗車している間に私鉄線の人身事故解決がなされていると読んだ。
 ところが、この読みが大幅に外れた。 メトロから私鉄へ乗換して以降も何らの有用なアナウンスがなされない。 ただ単に、私鉄沿線内で「人身事故が発生した」ため当該私鉄運行を某特急停車駅と都心ターミナル駅間の往復運航とする、それのみの車内放送である…

 ここで、私が11月27日に遭遇した私鉄沿線事故に関するメディア及びネット報道で得た情報を以下に紹介しよう。
 11月27日午後1時26分ごろ鶴ケ島~若葉駅間で発生した人身事故は、鶴ケ島市上広谷の東第191号踏切で、40〜50代くらいの女性が急行列車にはねられ助からなかった。 埼玉県警が報道発表した。女性が遮断中の踏切 ……(以下、不明) 
 わずか、これのみである。

 しかも私は、今回の私鉄人身事故に係る「交通費無料」の適用すら一切受けることなく、1時間もの時間ロスの屈辱に耐えたにもかかわらず、交通費実費全額を通常通り支払わされる羽目と相成った。

 その上、娘が通う大学「公開授業」に大幅遅刻せざるを得なかった…。
 こんな場で娘の授業担当教授氏に対し、まさか「人身事故で電車が遅延したため遅刻しました」などと親の立場でみっともなくもホザける訳などない。 公開授業終了後に「遅刻しまして申し訳ございません」と詫びるのがせいぜいだったのが心残りだし、時間に厳しい私としては何とも不本意かつ無念の思いだ……

 
 最後に、今後の電車人身事故発生時の対応に対する私論を述べよう。

 私が11月27日に利用した私鉄とは、(大変失礼ながら)おそらく首都圏にして最大マイナーな路線と認識している。  この路線に於いては人身事故発生率が高い事も承知している。
 だからこそ経営者側の人身事故後乗客への対応が馴れ合いになっている故に、原状回復が遅れたのではあるまいか!?!
 それが証拠に乗客達も電車の遅延にもかかわらず、理不尽な時間ロスに慣れ切っている風景が私には異様に映ったのだ。
 何故、早期の電車運行を乗客それぞれが私鉄経営側に訴えないのか。 
 電車人身事故が今後増々多発すると予測されるとは言え、乗客がそれに慣れ切り免疫力を養っている場合ではない!
 そんな庶民の諦め肝要行動こそが、(極論ではあるが)電車に飛び込めば死ねるとの自殺願望者の選択を煽っているのではなかろうか!??  自殺願望がある人種とは、心理学的にどうやら最後には人に見守って欲しい(他者に迷惑を掛けたい)との深層心理があるとも見聞している。
 
 
 少なくとも電車運転見合わせにより被った“時間的ロスとの多大な被害の程”を、庶民は少しは自分の損失として認識するべきだ!

 
 原左都子など今に至って尚、去る11月27日に被った電車人身事故による“時間損失”を許し難き事実として怒っているからこそ、本日このエッセイを公開した次第だ。