原左都子エッセイ集

時事等の社会問題から何気ない日常の出来事まで幅広くテーマを取り上げ、自己のオピニオンを綴り公開します。

選挙に行って “少しはマシ” と自分が思える党に一票を入れよう!

2017年10月05日 | 時事論評
 しつこくも、衆院選挙関連エッセイが続くが。


 今回は、朝日新聞「文芸・批評」“終わりと始まり”  作家 池澤夏樹氏による「絶望の一歩手前で それでも愚直に選ぶ」と題する記述の一部を、以下に要約して紹介しよう。

 この数年、安倍晋三という人の印象はただただ喋るということだった。 対話ではなく、議論でもなく、一方的な流出。 安倍晋三は主題Aについて問われてもそれを無視して主題Bのことを延々と話す。 弁証法になっていないからアウフヘーベンもない。
 これは現代の政治にまつわる矛盾の体現かもしれない。 資本主義と民主主義という二つの原理の間にどうしようもない矛盾がある。 民主主義は権利や富が万民にいきわたる事を目指す。 資本主義は友の集中と蓄積を旨とする。 ベクトルが逆だ。 
 現政権の面々はほとんどが富裕層の出身である。 有権者の九割九分は富裕層ではないのに、なぜ彼らに票を入れるのだろう。
 選挙前、彼らは貧困層に厚く配分するとは言わず、景気がよくなったらみんなに行き渡るからと言う。 時分は景気をよくする秘訣を知っていると操り返す。 これはカジノの原理だ。
 政権の座に就くと後はひたすら喋ってごまかす。 もう少しもう少しと先送りする。 よくぞまあそれが5年も続いたと思うし、その間に憲法は蔑ろにされ、反民主主義的な悪法が多く成立してしまった。 悔しい限りだ。
 加計と森友で追い詰められて一方的に解散。 その上で国難とよくも言ってくれたものだ。 「今日はミサイルが降る」というのならば、すべての原発からすぐに核燃料を搬出し、秘密裏にどこかに隠しなさい。 原発は通常ミサイルを核ミサイルに変える施設なのだから。
 野党の方はただただ情けない。 普通の人は安倍晋三のようにペラペラは喋れないとしても、求心力のある人物が一人もいなかったのはなぜか。
 野党の無力と与党の制度疲労の隙間から小池百合子氏がむくむくと頭をもたげた。 一党独裁の停滞期から変動期に入ったように見えるが、彼女の「日本をリセット」と安倍晋三の「日本を取り戻す」」は無意味という点では同じ。 カジノが劇場に変わったのだが、派手な演技で人目を引こうとする役者はいても、この国が今抱えている問題に対する答えはどこにもない。 
 希望の党は民進党からの移籍者を選別するという。 合併ではなく併合なのだから当然で、入れてもらえないと知ってうろたえる方がおかしい。 もう一つ新党を作ってはどうかと考えたところ、届いた夕刊に枝野幸男が「立憲民主党」を作るとあった。 主義主張はいいとして、小選挙区のもと、また死に票が増える。
 政治は必要である。 どんなに質の悪い政治でも無しでは済まされない。 アベノミクスが嘘で固めた経済がこの先どこまで落ちてゆくか、見届けるためにも少しはましな政府が要る。
 選挙の原理は、この「少しはまし」ということに尽きるだろう。 理想の候補はいないとしても、誰かの名を書いて投票しなければならない。
 我々には、愚直な一人一票しかない。 それならば、絶望の一歩手前で踏みとどまって、まずはこの権利を行使しよう。
 (以上、朝日新聞2017.10.4 夕刊記事より池澤夏樹氏による記述を要約引用したもの。)


 一旦私見だが、上記池澤夏樹氏による記述論点に95%賛同する。 
 特に安倍晋三氏と小池百合子氏に関する記載には、100%同意申し上げる!

 残りの5%に関してだが、氏による「死に票」の記載が少し気にかかる。
 確かに池澤氏が記載されている内容が正論である事には間違いないし、私個人的には賛同申し上げたく思う。
 結局、選挙に於いて票が取れそうもない政党や候補者に貴重な一票を投じるとの行動とは、わざわざ選挙に「死に票」を入れに無駄足を運ぶとの結末となるであろう事実も、私は重々把握している。

 思い起こすに我が過去の選挙行動とは、そのほとんどが「死に票」を入れるためにわざわざ投票場へ出かけたようなものかもしれない。 (元々天邪鬼気質の私が)支持した政党や候補者が勝利した試しがない程に、我が票は「死に票」に終わっている。
 それでも何故選挙に出かけるのか。 それはおそらく我が支持政党や候補者が後々躍進する事もあり(そうでない場合が多いが…)、それを見て(ほら、見た事か!)とずっと後に我が選択が実ったとの勝利感が得られることがあるのも一つの理由だ。

 その意味では、長い目で捉えると常に流れゆく政権変動模様の現実に於いて、「死に票」なる言葉とは庶民選挙民にとって、投票率を下げてしまう元凶であるのかもしれない。
 視点を変えれば、将来展望に於いて「死に票」も「有効票」へと変遷可能な場合もあると言えないだろうか。 
 

 最後に私論でまとめよう。

 現在のメディア報道や世論を鑑みるに、今回の衆院選は、「自民」 対 「希望の党等の保守系」 対 「立憲民主党らリベラル系」 の 三部図式との展開でまとまりそうだ。

 国民の皆さん、如何でしょう。
 自分が支持したい政党や会派がなくとて、現在の上記 “安易な構図” の中のどれかに賛同できそうならば、特に「無党派層」の皆さんも「死に票」覚悟で選挙に行かれてはどうでしょうか!