原左都子エッセイ集

時事等の社会問題から何気ない日常の出来事まで幅広くテーマを取り上げ、自己のオピニオンを綴り公開します。

“眠れない”事って、そんなに辛いか??

2018年09月16日 | 医学・医療・介護
 先程午後2時過ぎから30分程昼寝で熟睡した後に、このエッセイを書くのも何だ?ということだろうが… 


 私自身が「不眠症」を自覚し始めたのは、今から数年前の事だっただろうか?
 既に仕事の一線を退き、娘も中高生時期に入り遠距離通学のため家にいる時間が少なくなった頃からだ。

 まさに高齢域に入ろうとする時代であり、特段それを悩むでもなく(そんなものだろう)程度の認識で済ませつつ今に至っている。
 
 私の「不眠症」は、とにかく夜中に何度も目覚めるのが特徴だ。 
 ある時はそのまま朝まで眠れなかったり、2,3時間程覚醒した後再び寝入ったり…。 朝までずっと眠れない時はさすがに疲労困憊感があり、娘が学校へ行った後に布団に入り直して、二度寝で対応したりもした。 
 現在では昼寝の習慣が付いたため、“朝寝”はすっかり無くなっている。
 ただ、昼寝が出来ない時は確かに辛い。 例えば午後から重要な用件を抱えている日など、敢えて朝寝をするようにして、少しでも睡眠時間を確保している。


 現在我々夫婦が保証人を務めている高齢者介護施設に住む義母が、亭主と婚姻当時ちょうど現在の私程の年齢だった。

 その義母が婚姻当初から誰これ構わず訴えていたのが、「私は不眠症で困っているの。」だった。
 当初私は、「そうですか、それは辛いですね。」などとテキトーな返答をして済ませていたのだが、この義母の訴えが止め処を知らない。 我が家にまで頻繁に電話を掛けて来て「〇子さん(私の事)、昨日も眠れなかったのよ、どうすればいいと思う?」などと、とにかく話を聞いて欲しい思いを訴えて来る。

 要するに思い返してみるに、義母とは認知症状を抱えるずっと以前より“そういう人格”なのだ。
 当時亭主にこの件を相談してみると、「ずっと前からそればかり言っているよ。病院で睡眠薬を貰って飲んでいるから、〇子はあまり気にせずに、電話に出るのが嫌ならば出なくていいよ。」等々と無責任な発言をする。
 睡眠薬に依存しているのも困りものだが。 当時の義母は原家代々日本橋にて執り行っていた事業を既に赤の他人に営業譲渡済みだし、本人が嘆く程に「不眠症」で困る事も無いだろうと判断し、余裕で電話に出られるときだけ出るようにした。
 参考だが、義母の保証人を開始した6年程前に、義母は睡眠薬を3種に増量していた! これにビックリ仰天した私は亭主と相談して、徐々に一種に減らすべく医師に訴えた。
 劇薬の睡眠薬を何十年にも渡り飲み続けた義母であるが。 私は義母の認知症状原因の第一に「睡眠薬多量摂取」が挙げられるだろうと疑っている。


 さて、私自身の不眠症に話を戻すと。

 今現在は現役の仕事で活躍していないとは言えども、例えばその義母の病院付き添いなどを実行すると。 病院の待ち時間には義母から容赦なく、「〇子さん、話聞いて!」の連発だ。 これが実に重労働! 何分認知症状に加えて耳が聞こえない義母に大声で対応せねばならない。 眠いのを我慢しつつ、声を張り上げても義母からは「聞こえないからもっと大きな声で!」のリクエストだ。 周囲への羞恥心もあるし、実力以上の大声を出すと頭痛が起きて来てもう帰りたくなるというものだ。
 やっと診察室から声がかかると命拾いの感覚である。

 まあそれでも、私自身が現役でバリバリ活躍していた頃には(どれ程飲んだくれて帰宅したとて)十分に眠れていた事を思い起こせば、今現在の不眠症などなんてことはない。
 少なくとも(義母のごとく)、周囲にそんなくだらない事を訴えて醜態を晒す事は控えるべきとの良識はある。


 その私にも、実は米国西海岸旅行帰国後、某睡眠サプリの世話になろうかと邪念がよぎったのだ。
 ただ、それ程までに「不眠症」が深刻だった訳でもない。

 (医学従事者は十分にご存知だろうが)、世に溢れんばかりに出回っている「サプリメント」に何らの薬効効果が無い事実は自明の理だ。 
 あれらは単に営利企業が純粋に営利目的で販売して暴利をむさぼっているに過ぎない。
 ただ、医薬品が副作用を伴うのに比して、おそらく副作用を伴うサプリメントも民間企業の良識によって販売されていないはずだ。 それが証拠に、必ずや(特に年寄りには見えにくい)ごく小さい文字で「効き目には個人差があります」の文言が隅っこに記載されている。

 元医学関係者である私もそれを十分承知の上で、遊び半分で某大手民間企業が販売している「睡眠サプリ」をネット通販にて購入したのだが。

 昨夜、それを就寝前に一袋飲用してみた。
 これが“美味しい!” 
 確かにそうだ。 このサプリの主原料であるアミノ酸の一種グリシン自体が美味なのかもしれない。 アミノ酸は「味の素」にも利用される物質もあるし、その中には美味なものは多い事だろう。
 いやはや、その効用の程が不透明なサプリがせめて美味しくあって欲しいものだ、との我が思いは達成されたものの…

 どうしたことか(と言うよりも想像通りだが)、いつもよりも眠れやしない。
 “すみやかに深睡眠をもたらす”なる当該サプリの“売り文句”は既に却下だ。

 そして、“ぐっすりとした眠りとさわやかな目覚めをサポート”の文言など、大嘘つきもいいところ。
 夜中に何度も目覚めるのはいつもの事だが、朝方悪夢を見て大声寝言を張り上げた事実(私自身ももちろん認識していたが)を後で亭主に指摘されてしまった。


 要するに医薬品はもとより、特にサプリメントなど「信じる者は救われる」の究極に位置する“まがいもの”との結論が導けよう。


 特に、大手民間企業のサプリメント部門の皆さん。
 善良な市民を騙して暴利をむさぼるとの実に姑息な商法から、もうそろそろ手を引いては如何だろうか?!?

 そして庶民の皆様も「夜眠れない」との事実をそれ程までに気に病むことはない、と私は訴えたいのだが。 
 特に高齢域に達する程に「夜眠れなくなる」のは誰しも大なり小なり経験されている事実であろう。 もしもご自身に余裕がおありならば、昼寝でもして睡眠を補充し、覚醒時に大いに充実した時間を楽しまれては如何だろうか?