書物そのものよりも“書評”を読むことを好む天邪鬼の原左都子が、またもや朝日新聞上で面白い書評を発見した。
早速、朝日新聞2021.09.04 付書評ページの、ブノワ・フランクバルム著「酔っぱらいが変えた世界史」に対する朝日新聞編集委員 ・石飛徳樹氏による書評「身にしみる逸話で酒が飲める」を、以下に要約引用しよう。
左党の肩身がどんどん狭くなってくる。 飲み会は様々なハラスメントの温床である、と厳しい批判を浴びているところへ、コロナ禍が追い打ちをかけてきた。 今や酒はすっかり社会の敵になってしまった。
そんな逆風の中で本書は刊行された。 人類の祖先の遺伝子変異から、1994年のチェチェン紛争まで「アルコールが世界を変えた21の歴史物語」だって? 歴史上の偉人達も酒が大好きだったらしい。 これは左党の失地回復を目指す書物ではないか。
第一章では米国の研究が紹介される。 酒には細菌汚染を防ぎ、食欲を増進する効果がある。 「アルコール摂取は人の進化を加速させた可能性がある」
そして、ピラミッド建設も、立憲君主制の誕生も、米独立戦争も、フランス革命も、マルクス主義も、日露戦争にも酒が絡んでいるというのだ。 しかしそのうち、本書の効能は必ずしも左党の失地回復でなはいことに気づく。
アレクサンドロス大王は、ローマとの覇権争いに臨む前に、深酒のせいで32歳の若さで世を去った。 リンカーンが暗殺されたのは、ボディガードが飲んだくれていたからだという。
ロシアが誇るバルチック艦隊は、極東に向かう長い長い旅の間、「ありとあらゆることに祝杯をあげながら時間をつぶし」ていた。 しらふで待っていた日本の連合艦隊に撃沈させられ、数百本の酒瓶と4400名のロシア海兵隊員の死体が海峡の海にただよっていた」。
酒がろくでもない代物だということが身にしみてくる。 「逆風も致し方ない」と反省しつつ、「しかし」と左党は考える。 「この面白いエピソードを肴に一杯飲めるぞ」と。 リアルに飲める日が待ち遠しくなる。
(以上、朝日新聞記事より一部を引用したもの。)
原左都子が、娘18の頃から現在に至るまで“底無しのん兵衛”である事実を読者の皆様はすでにご存じであられることでしょう。
(すみません、“娘18から”の部分はどうかお見逃しいただけますように。何分過疎地の大学出身なものでして、当時は大学をあげて大々的に新入生歓迎会が挙行されたものです。 教授陣が率先して、それはそれは飲めや歌えやのどんちゃん騒ぎでした…)
その後も、我が生まれ持ってのアルコール許容体質(参考ですがHDL・善玉コレステロール値が基準値の2倍以上を誇っています。)を活かし、上京後も現在に至るまで酒三昧の日々を送っていた。
あくまでも、コロナ禍以前は、の話だが。
上記朝日新聞記事に書かれている通り。
まず、のん兵衛を苦しめ始めたのは“ハラスメント(アルハラ)概念”の出現であることには間違いない。
それまでは、外の飲み処にて酒の勢いで好き放題に騒げた時代は当の昔に過ぎ去り… (ただ原左都子の場合は、その頃には晩婚・出産により外で飲む機会はおのずと激減していたかもしれない。)
それでも酒好きな私としては、お誘いがあると必ずや酒宴に参加したし。
近年に至っては、外部飲み処での“一人酒”が超得意になると同時に、それが板につく年齢にも達した。 例えば、義母の介護施設を所用で訪問した後には、必ずや飲み処で“一人酒”を堪能したものだ。 我が亭主も理解ある人物で、義母(自分の母)の世話を私が担当した日にはむしろ、好き放題(といっっても良識ある私故に適度でおさめているが)飲んでくることを推奨してくれていた。
そして、訪れた“コロナ禍”時代。
これは確かにのん兵衛にとって、歴史上稀に見る“ショック”だったと言えよう。
この酒好きの私ですら、2020.01月以降は巷の酒処を一切訪れていない。 それはやはり、自身の年齢を考慮した場合感染の危険性が高い故に他ならない。
その後既に1年8か月の月日が経過している。
いや、ほんと。 一人酒でいいから、外部の飲み処へ行きたいのが本音中の本音だが。
ただ、それにより大事なものを多く失うことのみは避けたい思いが切実である。
それにしても今回取り上げたエッセイに登場した著書は、朝日新聞編集委員氏の記述のお陰で十分に興味深い著書と認識申し上げた。
この著書を読んでみたい気分になっている私だ。
(あっと。最近我がエッセイ集に読者登録頂いた某氏さん。 我がペンネームは “切腹をイメージする鋭い切り込み” などとのそんな大げさなものではなく、単に飲兵衛の「左党」から引用したのが一つの理由ですので、どうかお手柔らかに。 某氏さんがこのエッセイをお読み下さった後に、当該文書は削除させていただきます。)