自分が愛した相手と自分の親とを天秤にかけた場合、自分が愛した人の方がずっと尊いに決まっていないか???
本日のエッセイテーマは、朝日新聞本日2021.09.04付“悩みのるつぼ”の相談を取り上げよう。
それでは早速、20代女性による「母との悩み、話すべきか」と題する相談内容を、以下に要約引用しよう。
7年前に2年程付き合いがあった方とご縁があり、現在再交際している。 私は家庭関係が良好ではなく、結婚や家庭を持つことが魅力的とは思えない。
結婚をしたくない理由を正直に言えない。
私の母はヒステリックで幼い時にはののしられたり、暴力を振るわれたりした。 家庭内で会話がないこともいつものことだった。
相手の家族にはよくして頂いている。 でも、彼に私の家族に会ってもらういことはできない。 結婚式を挙げるにしても、私は親を呼べない。 彼の家は暖かく、たまに苦しくなる。
一方で私は子どもが好きなので、将来子どもは欲しい。 ただ、それも性格が似ている母と私は同じことをしてしまいそうだという不安が勝り、結局前向きになれない。 どんな人ともいつかは別れるとの前提で考えてしまう。
こんな面倒な話を打ち明ける勇気もなく、ただただ曖昧な話をするばかり。 覚悟して全てを話すべきか?
(以上、朝日新聞“悩みのるつぼ” 本日の相談内容を要約したもの。)
原左都子の私事及び私見に入ろう。
私の場合も、郷里を捨て、親を捨てて上京した身だが。
ただしこの相談者程には、何ら切羽詰まっていた訳ではない。 親を捨てたと言ったって最終的には両親共々我が上京に同意したし、上京後は定期的に宅配物を送ってきたりして、我が東京生活を陰で支えてくれたりもした。
当時の私は、専門の医学分野で職場長に任命されるほどに大活躍すると同時に。 独身の身で六本木や新宿のディスコ通いに好きな酒宴三昧、そして恋愛三昧の日々だったなあ。😜
40近くまでこの大都会で主体的に職業・学問そして恋愛三昧と“華の人生”を歩み続けた挙句。
見合結婚で晩婚に至り一女をもうけ、その娘のサリバン先生として娘を支えつつ立派に世に出し。
またもや教育・医学方面で活躍する機会を得つつ現在に至っている。
そんな我が半生と比較すると。
この相談女性の基本的な思考が、あまりにもマイナーに傾きすぎていることを不思議にすら感じる。
私が一番に疑問に思うのは、この女性の場合は10代半ばとの若さで実家を出る勇気があったとのことであるのに。
せっかく独り身になったにもかかわらず、どうしてその貴重な“一人暮らし”時代を自分中心にエンジョイしなかったのか、との点だ。
彼氏もできているとのこと。
それで十分に、嫌いな母親のことなど忘れられそうなのに…
今回の相談者であられる歌手・俳優の美輪明宏氏による、素晴らしいご回答の一部を引用させていただこう。
相談者が一番直さないといけないのは、マイナス思考だ。
結婚式を挙げるにしても親は呼べない理由を彼に話してみてはどうか。人生を共にする相手なのだから。
自分が母親に似ているから不安だという点については。 あなたはその母親に嫌な目に遭わされて学び、やられる側の気持ちをわかっている。 そうであるからこそ、自信を持とう。
その上で、自分がマイナス思考になった理由については、彼に理解してもらうために話しておいた方がよい。 理解者が増えることで、解放されるケースも多い。
母親と一緒だった時期は、あなたの人生は雨・嵐だった。
彼が現れて、晴れになったのです。
(以上、美輪明宏氏による当該相談に対する回答の一部を引用したもの。)
そうだなあ。
この女性の心が解放される手段に関しては、論じるのが困難な気もしてきた。
どうも現在の彼氏に関しても、心から甘えられていない様子も伺える…
それでも私がこの女性に信じて欲しいのは、親元から脱出した時点で貴女は自由になれている!、とのことだ。
それに気付いた時点から、貴女の人生は始まるのかもしれない。