今回も、朝日新聞「書評」ページよりエッセイの題材を得よう。
今回の書評は朝日新聞2022.03.26付 松尾貴史著「違和感ワンダーランド」に対する、京都大学准教授 藤原辰史氏による書評「暴言暴挙を正確に記録する気概」と題する書評を取り上げる。
早速以下に一部を要約引用しよう。
アベノマスクに260億円。辺野古の工事現場の警備費に77億円。 電通等三社で設立した法人がコロナ禍対策授業を769億円で受注し、ほぼ丸投げで電通に再委託…
この期間、膨大な税金が湯水の如く浪費された。 しかも有権者は忘れつつある。本書は、コロナと東京五輪と日本学術会議任命拒否と大坂都構想にの1年間、落ち着いた心で過ごすのが困難だった私の心の安定剤だったことをここで告白したい。 (中略。)
本書は歴史学の営みに近い。一つ一つの政治家の暴言、暴挙の背景を説明し、場合によっては類似の歴史を引っ張り出して文脈化する。 引用の仕方も的確で唸らせる。著者はまるで末代まで祟るのではないかというほどの気概で暴挙の細部を覚え、記録し、表現する。 日本の政治に足らないものばかりだ。
第二に、批判が一貫した美的意識に基づくこと。 名前を連呼して走り回る選挙カー、消費期限があと5分だから売れないコンビニのおにぎり、トーク番組で「ここは笑うところですよ」というポイントをわざわざ視聴者に指摘するテロップ。 著者の指摘するどれもが、受け手の心を無視した行為である。 想像力と思いやりにこそ創造の源があるという著者の美学が垣間見える。
言葉の機微を大事にする書き手だと思う。 しかも堅くならず説教臭くならない。 ここまで記録性をたもちつつ、品質とユーモアを湛えた歴史書を書いてみたいと思わせる、そんなコラム集である。
(以上、朝日新聞「書評」ページより一部を引用したもの。)
偶然だが、本日(2022.04.02)付朝日新聞記事内に、上記書評冒頭に書かれている(現在倉庫内に大量保管中の)アベノマスク7100万枚を5億円かけて配布する、との内容の記述があった。
本書評からは少しテーマが外れるが。
この記事によれば巨額の保存費用をかけて倉庫に保管されているアベノマスクが、たったの5億円で無料配布希望者に配れる計算になるが。
原左都子の私見だが、「ホントかよ…!?!」と言いたくもなる。
だったら何故、最初に国民皆に配る際にも、その方式を使って配布しなかったのか? どうして当時は260億円もの費用をかけて配ったのか?? との新たな疑問が沸かざるを得ない。(それは安倍氏との癒着業者に任せたからに他ならないのだろうが。)
政府には是非その説明責任を果たして欲しいものだ!
少し寄り道したが、話題を「書評」に戻そう。
今回の「書評」に取り上げられている松尾貴史氏だが、この原左都子も過去に於いて印象に残っている芸人の一人である。
私が氏を存じていた頃はお笑い芸人として活躍されていた。 その頭脳明晰さに唸らされつつ氏がテレビに出演するとよくその番組を見たものだ。
その松尾氏が「違和感ワンダーランド」と題する著書を出版されている事実はこの書評にて初めて知ったが、十分に考え得ることと認識させていただいた。
書評を書かれた藤原辰史氏に話題を戻すと。
原左都子が絶妙に同意するのは、冒頭のアベノマスクの件、そして辺野古工事現場の件、電通事件の件。 まさにごもっとも!!
加えて、これだけは耐えられないとこれまた同意するのは。
「トーク番組で『ここは笑うところですよ』というポイントをわざわざ視聴者に指摘するテロップ」 が特に民放に於いて多発してしまった事実だ。😱
元々テレビはさほど見ない身にして。
特に民放に関して現在はBSの歌番組ぐらいしか視聴していない私であります。(スミマセン。コロナ禍でカラオケへ行けなくなって以降は、テレビの歌番組を見つつ一緒に歌う日々です♪♪)
あの民放のテロップには耐えきれず、その後民放の番組は見ないことにしている。
見ていないから全く知らないのだが、今となっては民放テレビ局はあのテロップを自重しているのだろうか??
そう言えば私が住む東京都内の区でも、区長選が近づきつつある。
そろそろ選挙カーが、自身の名前のみを連呼しつつ近隣を走り回るのだろうか??
立候補者の皆様には、まさに「想像力と思いやりにこそ創造の源がある」との事実を思い起して、区民に配慮した冷静で知的な選挙戦を闘って欲しいものだ。