本日のエッセイは、2025.02.19付朝日新聞「時事小言」より、順天堂大学特任教授・国際政治学者・藤原帰一氏による「利益最大化を狙うトランプ外交 友好国ほど脅す標的に」を引用させて頂く。
早速、上記記事を以下に要約しよう。
ドナルド・トランプ米大統領の外交をどう考えればよいのだろうか。
本来の国際関係では継続的な交渉と合意形成が重視される。さまざまな分野において各国が交渉を繰り返し、合意がうまれたなら条約を制度をつくり、自国も他国もルールを守る。理想論ではない。 交渉の反復、合意やルールの形成と遵守がなければ国際関係から安定が失われ、自国の利益が損なわれるからだ。
だがトランプの特徴は、脅しに基づいた取引、勝者総取りの交渉である。 相手に最大限の脅しを加え、譲歩を強要する。 ここでの目的は代々の利益を得ることであって、継続的交渉、合意とルールの順守は考えていない。
(中略)
トランプ外交の最初の犠牲は国際協力だった。 WHOや気候変動に関するパリ協定からの離脱、そしてUSAID(米国際開発局)の業務執行停止は世界にも米国にも不利益をもたらすと私(藤原氏)は考えるのだが、トランプから見れば国際協力は他国が米国を食い物にする者に過ぎない。
脅される相手は競合・対立関係にある諸国よりも米国と友好関係にあるカナダ、メキシコやデンマークが先になった。 パナマ運河やグリーンランドを領有し、カナダを米国の51番目の州にするなどという奇怪な政策も発表された。
日米首脳会談においては石破首相は日米関係の堅持に成功したが、日本に高関税が付与される可能性は残されている。
ウクライナについては、トランプ政権は侵略の犠牲者であるウクライナを頭越しにして米ロ両国の主導による停戦交渉を進めつつある。 ウクライナは米国から見捨てられようとしている。 (中略)
ウクライナばかりではなく、米国の同盟国であるNATO諸国に対してトランプ政権が安全を保証しない可能性も生まれた。 つまり共同して侵略者に対抗することは同盟の基礎であるが、米国が同盟関係にある欧州諸国の安全を保証するとは限らない。 (中略)
トランプ政権にとって、最大減の脅しを加えることで米国が利益を期待できる相手はロシアではなく米国に大きく軍事的に依存する欧州諸国である。 米国に従わないのなら欧州から米軍を撤退してしまえばよい。 先に開催されたミュンヘン安全保障会議ではバンス副大統領が激しい応酬批判を展開し、米欧間の亀裂が露呈した。
中国については、ロシアに対するような宥和的姿勢は今のところ見られない。 予測された通り対中関税は引き上げられた。 (中略)
トランプは中国の軍事的脅威よりも、その経済力をより重視している。(中略) 中国の対応によってはトランプ政権が対中政策を転換し、米中協調のもとで台湾海峡の現状維持などの政策が放棄される可能性がある。
トランプ政権は信頼できるパートナーではなく、何をするのかわからない国際的なリスクとなった。 欧州諸国ばかりでなく日本も、米国を信頼することが出来ないという前提に立った国際関係を強いられている。
以上、朝日新聞記事より一部を引用したもの。)
最後に、原左都子の感想を少しだけ書かせて頂こう。
この私も、米国トランプ大統領の動向を報道にて注視する機会は多いのだが。
まさに今までの米大統領とはまるで様相が異なり、トランプ氏の“身勝手な”「独裁」を貫きたい、との印象しか持てないでいる。
要するに 米トランプ大統領には、「世界平和」などとの観点がさらさらなく、単に自身が好む米国を創り上げ それを死守せんとしている感すらある。
今までの米国大統領の使命とは、まさに“世界平和の総まとめ役”的な要因もあったように思うのだが。
トランプ大統領の場合はまったく様相が異なる事実に、今後の世界平和の行く末を懸念するばかりだ…