本日のエッセイは、2024.03.13付朝日新聞 「時事小言」 千葉大学特任教授、国際政治学者・藤原帰一氏による「『もしトラ』危ぶまれる法の支配 権力集中 民主主義の自滅」より。
以下に、一部を引用させて頂こう。
もしもトランプになったら(「もしトラ」)とか、ほぼトランプで決まった(「ほぼトラ」などという言葉がマスメディアに広がっている。トランプ前大統領再選が避けることのできない天変地異のように語られている。 (途中大幅略)
2016年にトランプが米国大統領選に当選した頃、我が国では安倍晋三首相がトランプの懐に飛び込むかのようにつながりを強めたため、トランプが大統領でも日米関係は大丈夫だという安心が広がった。
私達が民主主義と呼ぶ秩序は法の支配を基礎とする自由主義と、市民の政治参加を基礎とする民主主義が、互いに緊張をはらみつつ結び付いた政治秩序である。 ここで選挙によって選ばれた政治指導者が、選挙に夜校則を取り払って政治権力の集中を試みた場合、自由主義と法の支配は退き、民主主義の名の下で強権的支配が生まれてしまう。(途中大幅略)
カナダの哲学者チャールズ・テイラーは、憲法の下で多民族社会の政治統合を試みてきた米国のナショナリズムと白人優位の政治に変る危機を見据えていた。
立憲的秩序の中核は法の支配と政治権力の規制であり、その秩序が民族有意を基礎とするものに変われば計力制限が弱まることが避けられない。 ここに民主政治が独裁に転換する危機が生まれる。
問題は、権力集中を受け入れるばかりか積極的に支持する国民がいることだ。トランプは複数の刑事訴追と民事提訴を受けながらそれらの裁判を魔女狩りだと呼び、検察官や裁判官を名指しで非難している。 戯画的なほど法の支配を無視する存在だが、そのトランプに投票する人は実在する。 自由主義と法の支配を排除する政治指導者に付き従う国民が、ハーメルンの笛吹き男に従うように、自ら望んで自分たちの自由を放棄するのである。
トランプだけでなく、ロシアのプーチン大統領も選挙で選ばれた。 現在に近づく程選挙は形骸化し、獄死したナワリヌイを筆頭にプーチンに対抗する候補は排除された。 既に民主政治と呼べないが、プーチンを指示するロシア国民はぞんざいする。
イスラエルのネタニヤフ首相も選挙で選ばれた。 国内の支持が弱まり、政治維持が難しくなったなかでガザ攻撃が展開された。 (途中大幅略)
自由主義を排除すれば民主主義は自滅する。 「もしトラ」などと観測するだけでは状況追随に終わってしまう。 政治権力の監視と法の支配がいまほど求められる時はない。
(以上、朝日新聞記事より一部を引用したもの。)
原左都子の(あくまでもド素人考えの)私見に入ろう。
米国大統領選が今年11月に迫っている。
これ程までに選挙が近づいた現在に至って、共和党で立候補した若手女性候補が所詮トランプに勝てないのを理由に敗退してしまった。
(私見としては、せめてあの女性候補には是非とも闘い続けて欲しかったものだが、米国世論はトランプ・バイデン二者対決に既に固まってしまっていたようだ。)
その実態が何故なのか、どうしても理解に苦しむ私だが。
とにかく、米国民はトランプ・バイデン対決を期待しているとしか捉えようが無い現実だ。
超大国のUSAであり、私が住む小国・日本の選挙のようには簡単にはいかないのであろうことも理解出来なくは無いが…
それにしても、犯罪者として刑事・民事共々訴追され続けているトランプ氏を支持し続ける米国民の何とも多い事!!
上記に藤原先生が書かれている通り、法の支配を排除する政治支配者であるトランプ氏を、真に支持する国民が多数実在するとの米国の実情のようである…
最後に私事だが。
我が亭主が言うには、「この米国内大統領選情勢が選挙期である今年11月までに変わることはあり得ない。 その代わり、次期選挙時(2028年実施のようだが)までにはトランプ・バイデンに変る大統領候補人材が育ち、選挙に打って出るのではなかろうか??」 とのこと。
せめて、それに期待したいものだ…