最近、他人が発した言葉を我がエッセイ表題に引用する機会が増えているが、今回もその例外ではない。
「『負けてる』と思う気持ちを引きずるのが嫌だった。」
この言葉を聞いたのは、先週NHK昼前の総合テレビ番組内に於いてだ。
ちょうど昼ご飯の準備に差し掛かる時間帯に、NHK昼の天気予報及びニュースを視聴するがためにテレビのスイッチを入れる習慣がある。
その時に、天気予報の前番組で取り上げられていた売れっ子パティシエの若き女性が発したのが、表題の言葉だ。
我が国の売れっ子パティシエやフレンチ・イタリアン等のシェフとは、欧州(フランスやイタリア等々)で何年か修業を積んで来てこそ一人前と認めらるような風習があることを、私も食べる立場として認識している。
その慣習を取り上げて、当該パティシエ女性が発した言葉が表題の通りだ。
要するにこの女性はその海外修行をせずして、既に売れっ子パティシエとしての地位を築いていたようだ。 ところが、どうしても「海外修行してこそ一人前」なる得体の知れない観念に縛られる内面の心理、彼女に言わせると「負けてる」感覚に苛まれ続けた様子だ。
こんなマイナーな思いをいつまでも引きずりたくない。 ならば、いっそ欧州パティシエ修行を強行しよう! と実行に持ち込んだらしい。
その後は昼ご飯を作りつつの“ながらテレビ”視聴のため詳細は不明だが、彼女に同行したご主人が言うには、「語学力もある彼女の欧州修行は大成功だった」との事のようだ。
その後帰国後の彼女のパティシエとしての華々しい活躍ぶりは、私から説明するまでもないであろう。
このパティシエ女性のお気持ちの程は痛い程分かる。
と言うのも、私も過去に似たような経験を何度もして来ている記憶があるからだ。
実際は自分の方が実力がずっと上なのに、その分野で要求される(信憑性無き)条件に於いて「負けている」ために(あくまでも自らの内心に於いて)敗北感を苛まれる事態を幾度も経験して来た気がする。
一つ思い出すのは、晩婚出産後に某独立行政法人研究所(前回の小保方氏関連エッセイにて既述した某研究所だが)にて、“アルバイト”の身分で仕事をした事例だ。
これなどそもそも “たかがアルバイト” であれ、採用競争率が十何倍の狭き門を突破しての就業だった。
ただし、まさにサリバンとして厳しい子育て真っ最中の身であり、しかも40代後半に差し掛かろうとしている我が身に照らして “たかがアルバイト” であれ採用された事だけでも感謝するべき事態と重々自覚していた……
それを承知の上での就業である事を自分に言い聞かせ、職場に行ってみれば……。
当然ながら、アルバイトにはアルバイトとしての業務しか用意されていない。(とは言えども、その業務内容とは医学基礎実験をこなして来た経歴が無ければ実施し得ない内容であることはもちろんだが。)
しかも、研究室内周囲にいる若手研究員達の“アルバイト職員”に対する無言の差別感を感じざるを得ない。
それに増して、屈辱的な事態に遭遇するはめと相成った。
この行政法人研究室では、提携がある(?)大学から実習生を受け入れていたようだ。
その提携某私立大学より実習にやって来た女子大学生の指導を私に任せられ、それを実行した。 実習自体はつつがなく終了したのだが、後日その女子大学生が私に告げるには……
「貴方は“たかがアルバイト”の身分の方だそうですね。 その事実を後で聞いたのですが、私はまさか“アルバイト女性” から指導を受けるためにこの研究室へ来ていないのです!」と、怒り心頭の様子だ。
その礼儀知らずぶりに驚かされたものの、まさに“たかがアルバイト”の立場で、我が過去の科学経歴をこんな小僧に語るには及ばない事くらいは承知している。
こちらも怒り心頭なのだが、どうせ当該女性は短期間で研究室を去っていくだろうと予想し我が怒りの程を内面で抑えた。
その後時期が過ぎ、この実習女性の大学卒業後のその後を研究室で垣間聞く機会があった。 結局、研究者志望を諦めとりあえず外国へ行くとの事だった。
我が事例の場合、決して「負けてる」と結論付けるべく事象ではなかった事は承知している。
ただ、そのまま当該研究室であくまでも“アルバイト”の身分で仕事を続ける事とは、私自身のそれまでの生き様を振り返った場合、汚点となれども、自己実現意欲から得られる達成感が全く無いどころかマイナス面が大きい事に気付いたのだ。
当該独立行政法人研究所を退職した理由を、幾度もバックナンバーにて既述している。 娘のサリバン業が厳しかった事実を前面に掲げた記憶があるが……
だが決してそれが真の退職理由ではなかった。
その実とは、くだらない理由でアルバイト職員である私に(お前こそが「負けてるぞ!」)との感覚を暗黙に強制し、自らの研究者としての身分を死守したい人物が研究室内に存在していたとの、馬鹿げた実態を斬り捨てたかったのが、我が真なる退職理由かもしれない。
要するに私側としては、お前らには“負けていない”証明を、退職との形で実行したという事だ。
その時の教訓は今に至って活きている。
私は “アルバイト”等最初から身分で必然的差別待遇を受けるべく職種には、決して応募しないと固く決めた。 それを選択する事とは、自分から無駄に「負け」を認める事と身をもって経験したからだ。
その後、幾度か就職活動をした。 それらの職種とは、フランチャイズ自営経営者や教育現場指導者等々… (あるいは、街でスカウトを受けたシニア端役女優??) 残念ながらすべて結果としては実り無き状態だが……
ところで、某国立研究開発法人研究所は今尚安倍政権よりの莫大な血税投入により成り立っていると把握している。
その後「STAP事件」ごときの不祥事報道を聞かないまでも、未だに国民からの血税をあてにして、何ら役に立たない基礎研究を繰り返しているのだろうか………
「『負けてる』と思う気持ちを引きずるのが嫌だった。」
この言葉を聞いたのは、先週NHK昼前の総合テレビ番組内に於いてだ。
ちょうど昼ご飯の準備に差し掛かる時間帯に、NHK昼の天気予報及びニュースを視聴するがためにテレビのスイッチを入れる習慣がある。
その時に、天気予報の前番組で取り上げられていた売れっ子パティシエの若き女性が発したのが、表題の言葉だ。
我が国の売れっ子パティシエやフレンチ・イタリアン等のシェフとは、欧州(フランスやイタリア等々)で何年か修業を積んで来てこそ一人前と認めらるような風習があることを、私も食べる立場として認識している。
その慣習を取り上げて、当該パティシエ女性が発した言葉が表題の通りだ。
要するにこの女性はその海外修行をせずして、既に売れっ子パティシエとしての地位を築いていたようだ。 ところが、どうしても「海外修行してこそ一人前」なる得体の知れない観念に縛られる内面の心理、彼女に言わせると「負けてる」感覚に苛まれ続けた様子だ。
こんなマイナーな思いをいつまでも引きずりたくない。 ならば、いっそ欧州パティシエ修行を強行しよう! と実行に持ち込んだらしい。
その後は昼ご飯を作りつつの“ながらテレビ”視聴のため詳細は不明だが、彼女に同行したご主人が言うには、「語学力もある彼女の欧州修行は大成功だった」との事のようだ。
その後帰国後の彼女のパティシエとしての華々しい活躍ぶりは、私から説明するまでもないであろう。
このパティシエ女性のお気持ちの程は痛い程分かる。
と言うのも、私も過去に似たような経験を何度もして来ている記憶があるからだ。
実際は自分の方が実力がずっと上なのに、その分野で要求される(信憑性無き)条件に於いて「負けている」ために(あくまでも自らの内心に於いて)敗北感を苛まれる事態を幾度も経験して来た気がする。
一つ思い出すのは、晩婚出産後に某独立行政法人研究所(前回の小保方氏関連エッセイにて既述した某研究所だが)にて、“アルバイト”の身分で仕事をした事例だ。
これなどそもそも “たかがアルバイト” であれ、採用競争率が十何倍の狭き門を突破しての就業だった。
ただし、まさにサリバンとして厳しい子育て真っ最中の身であり、しかも40代後半に差し掛かろうとしている我が身に照らして “たかがアルバイト” であれ採用された事だけでも感謝するべき事態と重々自覚していた……
それを承知の上での就業である事を自分に言い聞かせ、職場に行ってみれば……。
当然ながら、アルバイトにはアルバイトとしての業務しか用意されていない。(とは言えども、その業務内容とは医学基礎実験をこなして来た経歴が無ければ実施し得ない内容であることはもちろんだが。)
しかも、研究室内周囲にいる若手研究員達の“アルバイト職員”に対する無言の差別感を感じざるを得ない。
それに増して、屈辱的な事態に遭遇するはめと相成った。
この行政法人研究室では、提携がある(?)大学から実習生を受け入れていたようだ。
その提携某私立大学より実習にやって来た女子大学生の指導を私に任せられ、それを実行した。 実習自体はつつがなく終了したのだが、後日その女子大学生が私に告げるには……
「貴方は“たかがアルバイト”の身分の方だそうですね。 その事実を後で聞いたのですが、私はまさか“アルバイト女性” から指導を受けるためにこの研究室へ来ていないのです!」と、怒り心頭の様子だ。
その礼儀知らずぶりに驚かされたものの、まさに“たかがアルバイト”の立場で、我が過去の科学経歴をこんな小僧に語るには及ばない事くらいは承知している。
こちらも怒り心頭なのだが、どうせ当該女性は短期間で研究室を去っていくだろうと予想し我が怒りの程を内面で抑えた。
その後時期が過ぎ、この実習女性の大学卒業後のその後を研究室で垣間聞く機会があった。 結局、研究者志望を諦めとりあえず外国へ行くとの事だった。
我が事例の場合、決して「負けてる」と結論付けるべく事象ではなかった事は承知している。
ただ、そのまま当該研究室であくまでも“アルバイト”の身分で仕事を続ける事とは、私自身のそれまでの生き様を振り返った場合、汚点となれども、自己実現意欲から得られる達成感が全く無いどころかマイナス面が大きい事に気付いたのだ。
当該独立行政法人研究所を退職した理由を、幾度もバックナンバーにて既述している。 娘のサリバン業が厳しかった事実を前面に掲げた記憶があるが……
だが決してそれが真の退職理由ではなかった。
その実とは、くだらない理由でアルバイト職員である私に(お前こそが「負けてるぞ!」)との感覚を暗黙に強制し、自らの研究者としての身分を死守したい人物が研究室内に存在していたとの、馬鹿げた実態を斬り捨てたかったのが、我が真なる退職理由かもしれない。
要するに私側としては、お前らには“負けていない”証明を、退職との形で実行したという事だ。
その時の教訓は今に至って活きている。
私は “アルバイト”等最初から身分で必然的差別待遇を受けるべく職種には、決して応募しないと固く決めた。 それを選択する事とは、自分から無駄に「負け」を認める事と身をもって経験したからだ。
その後、幾度か就職活動をした。 それらの職種とは、フランチャイズ自営経営者や教育現場指導者等々… (あるいは、街でスカウトを受けたシニア端役女優??) 残念ながらすべて結果としては実り無き状態だが……
ところで、某国立研究開発法人研究所は今尚安倍政権よりの莫大な血税投入により成り立っていると把握している。
その後「STAP事件」ごときの不祥事報道を聞かないまでも、未だに国民からの血税をあてにして、何ら役に立たない基礎研究を繰り返しているのだろうか………