礫川全次のコラムと名言

礫川全次〈コイシカワ・ゼンジ〉のコラムと名言。コラムは、その時々に思いついたことなど。名言は、その日に見つけた名言など。

平凡社全書を世に送る(1948)

2015-01-18 04:02:16 | コラムと名言

◎平凡社全書を世に送る(1948)

 戦中の労働状況については、まだ紹介したい文献や映画があるが、本日は話題を変える。
 昨日、神保町の古書展で、越村信三郎著『アダム・スミス』(平凡社全書、一九四八)という本を入手した。古書価は、たしか二〇〇円だった。
 今日、平凡社は、平凡社選書、平凡社新書、平凡社ライブラリーなどの叢書を出しているが、終戦直後に「平凡社全書」という叢書を出していたことは、あまり知られていない。
 国立国会図書館のデータベースで調べると、一九四八年(昭和二三)から一九五〇年(昭和二五)にかけて、計二三冊が刊行されたもようである。しかし、今日、古書店で、その現物をで見かけることは、ほとんどない。
 入手した『アダム・スミス』は、本文一四四ページで、奥付によれば、定価は八〇円。当時の平凡社の住所は、中央区日本橋呉服橋三ノ五である。
 また、奥付の右上に、次のような「発刊の辞」がある。改行は原文のママ。

 平凡社全書を世に送る
歴史は大きく転換した。日本文化は今や
世界文化の一環として正しく発展せしめ
られなくてはならぬ。本全書は日本の文
化史的使命遂行の要請に応へ、学界新進
の精英を煩はして、科学の殿堂、学芸の
宝庫を開き、真善美を恋ふ新生日本の若
き人々の為に広大なる展望と健全なる進
路とを示すにある。蕪雑なる戦後のわが
出版界に一道の光を放ち良書に飢うる真
摯なる学徒の好伴侶たらんことを希ふ。

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