◎岩波新書『ナンセン伝』第二刷に、二通りの定価
岩波新書『ナンセン伝』第二刷には、発刊の辞「岩波新書を刊行するに際して」(一九三八年一〇月)が載っているものと、それが載っていないものとがある。
前者のほうは、本扉と目次で計八ページ、本文二〇〇ページ(最後は白ページ)、奥付と発刊の辞で計二ページ、つまり総ページは二一〇ページである。
後者は、本扉と目次で計八ページ、本文二〇〇ページ(最後は白ページ)、つまり総ページは二〇八ページで、裏表紙見返しに「貼り奥付」がある。
前者(○)と後者(●)の奥付は、微妙に異なっている。その違いは、以下の通り。
○昭和二十一年三月十日印刷/昭和二十一年三月十五日第二刷発行
●昭和廿一年三月十日印刷/昭和廿一年三月十五日第二刷発行
○(定価販売厳行)/停 定価六円五十銭/(税共)
●定価参拾円
○二葉印刷・永井製本〔ワクの下に右ヨコ書きで〕
●二葉印刷・永井製本〔ワクの下に左ヨコ書きで〕
○小店の発行物購入に際し何等かの条件により定価以上の不当なる/
要求をせられたる場合あらば具体的に御内報を願ひます〔ワクの左にタテ書きで〕
●〔相当する記載なし〕
定価が大きく異なっている。奥付と発刊の辞の二ページ分を破り取り、貼り奥付を付けて、再度、市場に出すまでの間に、物価が激しく上昇したことがわかる。あるいは、この間に、かなりのタイムラグがあったことを物語っているのかもしれない。このあたりについて、何か情報をお持ちの方がいらしたら、ご教示を乞う。とりあえず、明日は、話題を変える。