◎平凡社全書刊行予定書目125冊
昨日の続きである。越村信三郎著『アダム・スミス』(平凡社全書、一九四八)の巻末には、「平凡社全書書目」というものがついている。驚くのは、その数である。全部で、一二五の書目がリストアップされている。本日は、これを紹介してみよう。
書名に『 』がついているのは、国会図書館に蔵本があるもの、書名の前に*がついているのは、『アダム・スミス』が出た時点で「既刊」となっていたものである。
平凡社全書書目(第一期出版/定価ある分既刊)
著 者 書 名 定 価 〔出版年〕
岡田 三郎 ギリシヤ哲学
武田 信一 カトリシズム
赤沢 正敏 宗教改革
山崎 正一 イギリス経験主義
鬼頭 英一 プラグマチズム
島 芳夫 市民社会の倫理
相良 守次 トポロキー心理学
海後 宗臣 アメリカの教育
岡部彌太郎 教育診断
古川 哲史 ルソオ
野田 又夫 カント
植田 清次 ヂユイ
弘瀬 潔 キルケゴオル〔『キェルケゴールの実存哲学』〕 〔1949〕
鈴木 三郎 ヤスパース
大島 康正 ハイデツガー
高橋 義孝 ゲーテ
服部 四郎 日本語の構造
植田 清次 *『経験論の哲学』 80円 〔1948〕
伊吹 武彦 フロベール
大山 定一 ドイツ文学史
土井虎賀寿 ニイチエ
山本 和 バルト
林 恵海 農村社会
杉 捷夫 フランス文学史
西川 正身 アメリカ文学史
中野 好夫 芸術と社会
生島 遼一 近代小説
神保光太郎 詩学
野村 光一 近世西洋音楽史
久保 栄 演劇
津村 秀夫 映画芸術
山川 均 日本労働運動史
大河内一男 日本の労働運動
黒田 寿男 日本の農民運動史
山田 雄三 経済学の基礎問題
黒沢 清 経営経済学
小泉 明 雇傭理論
土屋 喬雄 小作史
豊田 四郎 農業経済の史的発展
安部 隆一 マルクス経済学説
越村信三郎 *『アダム・スミス』 80円 〔1948〕
塩野谷九十九 経済動態の理論
碇 正夫 資本蓄積論,
森田 優三 インフレーシヨンの統計学
安藤 良雄 日本経済史の諸問題
楊井 克巳 アメリカ経済史
窪 徳忠 *『道教と中国社会』 100円 〔1948〕
星 斌夫 *『黄河と中国文化』 110円 〔1948〕
松田 寿男 天山路
橋本 増吉 長城
森 克巳 遣唐使
岡田 章雄 切支丹文化
岩生 成一 朱印船
板沢 武雄 『日蘭貿易史』 〔1949〕
坂本 太郎 聖徳太子
西岡 虎之助 庄園と武士
青木 富太郎 *『マルコ・ポーロ』 100円 〔1948〕
森島 恒雄 科学文化史
井尻 正二 『古生物科学』 〔1949〕
望月 勝海 *『日本地学史』 80円 〔1948〕
田中 啓爾 地理学のあり方
松本 達郎 日本地史の諸問題(『日本地史学の課題』) 〔1949〕
荒川 秀俊 *『日本の気候』 80円 〔1948〕
辻村 太郎 *『海岸の地理』 120円 〔1948〕
野口喜三雄 温泉の地球化学
大塚彌之助 第三紀地誌概要
尾留川正平 砂丘とその開拓
野村 七録 動物の生理
丘 直通 動物の心理
犬飼 哲夫 動物発生学
清水 亘 水産製造学
小久保清治 プランクトン
佐々木清綱 牛
田中 義麿 蚕
寺尾 新 生物測定
松村 義敏 『植物の社会』 〔1949〕
交結理一郎 農業植物学
川田信一郎 植物ホルモン
富樫 浩吾 植物の病気
八木 博 土と生産
秋葉満寿次 水と農薬
石井 悌 農業と昆虫
川上幸治郎 高原農業
大谷 省三 世界の農業
古島 敏雄 日本農業史
森 周六 *『農機具の発達』 120円 〔1948〕
野口 弥吉 稲
志村 喬 茶
堀田 禎吉 『桑』 〔1950〕
北村 四郎 *『菊』 90円 〔1948〕
本田 正次 野草
木村 康一 薬草
菊池 秋雄 日本の果樹
山田 幸男 海草から見た日本の海
中井 敏夫 地球化学
都築洋次郎 有機化学の世界
石村幸四郎 触媒
桑田 勉 香の化学
永井 芳男 色の化学
植村 琢 錯塩
鶴田 四郎 合成樹脂
植村定次郎 酵素
中野 政弘 アルコール
三雲隆三郎 毒物
木田 文夫 *『体質』 90円 〔1948〕
古畑 種基 血液型
柴田経一郎 化学療法
石井信太郎 蚊・DDT
原島 進 公衆衛生
緒方 富雄 輸血
西丸 和義 脈管生理学
吉川 春樹 栄養
平野 四郎 『ホルモン』 〔1948〕
中村 康 『近視』 〔1948〕
柳沢 謙 BCG
前川孫二郎 心臓
隈部 秀雄 肺結核
吉田 富三 癌
藤田恒太郎 歯
村松 常雄 精神分裂
山本 勇 ラヂオ科学
関 英男 真空管
佐藤 幸次 *『農事電化』 100円 〔1948〕
河口 商次 『空間を識る』〔第一巻〕 〔1950〕
小松 勇作 『複素数とその函数』 〔1950〕
〔植村定治郎『酵素とペニシリン』1948〕
最後にある植村定治郎『酵素とペニシリン』は、『アダム・スミス』巻末のリストにはなかったものだが、国立国会図書館に蔵本がある。これを入れると、一二六冊ということになる。
*このブログの人気記事 2015・1・19
- 平凡社全書を世に送る(1948)
- 二・二六事件と小坂慶助憲兵曹長による首相救出
- 石原莞爾がマーク・ゲインに語った日本の敗因
- 昭和10年代における長時間労働の実態
- 憲兵はなぜ渡辺錠太郎教育総監を守らなかったのか
- 伊藤博文、ベルリンの酒場で、塙次郎暗殺を懺悔
- 小野武夫博士、ハサウェイ女史と出会う
- 生産力の拡充がかへつて生産力の破壊的現象を生ずる
- 古畑種基と冤罪事件
- 拙著『日本人はいつから働きすぎになったのか』の紹介...