◎新日本宗教団体連合会1200万票のゆくえ
『週刊ポスト』二〇一六年七月一日号(六月二〇日発売)の記事「宗教戦争に異変!?あの教団が安倍を見捨てた」が、タイトルで「宗教戦争」という言葉を使っている理由は、同記事を最後まで読んでみるとわかる。記事の最後の部分を引用してみよう。
早くから〔衆参〕同日選を念頭に置いて国会日程を組み、「解散が頭をよぎった」という安倍首相だが、土壇場で菅〔義偉〕氏の忠告に従って解散を断念した。真相は、自民党に票を出す創価学会「800万票」のパワーが首相の解散権を封じ込めたといっていい。
さらに参院選後は、「憲法9条の理念・精神に反する改正には反対」(広報部)という創価学会と安倍首相の間で、憲法改正をめぐる軋轢が予想される。
一方で、強すぎる学会票のパワーは、反学会の宗教団体票を野党に向かわせる。
09年総選挙では、立正佼成会をはじめ創価学会と対立する新宗教が加盟する新日本宗教団体連合会(新宗連。信徒総数約1200万人)がフル稼働して自民党から民主党への政権交代の原動力となり、太田昭宏・公明党代表(当時)はじめ、公明党の小選挙区候補全員を落選に追い込んだ。
その後は新宗連加盟団体の選挙熱は冷めていったが、公明党が政権復帰して安倍政権に強い影響力を発揮し始めただけに、新宗連1200万票が再び結束を取り戻して反自民に回れば選挙で大波乱をもたらす可能性は否定できない。事実、創価学会に唯一対抗できるパワーを持つといわれる立正佼成会が、前回の参院選では一人だった推薦候補を2人に増やしている(いずれも民進党)。
宗教団体の巨大な集票力を政治が無視できない状況がある以上、参院選後の与野党の政策に大きな影響力を与えることになるだろう。とりわけ安倍政権の目指す憲法改正には各団体とも強いこだわりがある(各団体の見解については別表【略】のアンケート参照)。
宗教と政治の関係は、かくも深い。
ここで、ライターは、今回の参院選の過程で、新宗連1200万票が「大波乱」をもたらす可能性について指摘し、さらには、その影響が参院選後の与野党の政策にも及ぶ可能性を指摘している。あいかわらずの鋭い切り口である。
私は、これらの「可能性」に加えて、今回の参院選の過程、あるいは参院選後において、現政権を支えている創価学会の内部でも、「大波乱」が生じうる可能性について指摘しておきたい。
というのは、昨日のコラムでも少し触れたように、「日本会議」や神道政治連盟に傾斜する安倍首相の政治姿勢(宗教政策)は、創価学会という「仏教系」の宗教団体の会員にとって、あるいは、過去に創価教育学会が、国家権力によって壊滅的な弾圧を受けたことを忘れていない会員にとって、深刻な危機意識をもたらすものと考えるからである。【この話は、まだ続きますが、とりあえず明日は、話題を変えます】