◎映画『網走番外地』(1965)を鑑賞した
数日前、デアゴスティーニのDVDで、石井照男監督の映画『網走番外地』(東映、一九六五)を鑑賞した。傑作だった。
冒頭は、囚人たちが載せられた列車が網走駅に到着するシーン。駅から出てくる囚人たち。一本の紐で「数珠つなぎ」にされている。ここで、個々のメンバーとそのツラ構えが紹介される。たくみな導入である。
以下、監獄内の描写となるが、これが実にリアルで興味深い。特に楽しかったのは、身体検査の際に、囚人たちが看守に逆らって悪ふざけをし、大混乱になるシーン。この混乱のキッカケを作ったのが、主人公の橘真一(高倉健)である。高倉健の「大名行列」を初めとする各囚人の「一人一芸」には腹をかかえた。
この映画で、存在感を示した俳優は、何と言っても老囚「鬼寅」を演じた嵐寛寿郎(あらし・かんじゅうろう)であろう。囚人たちの脱獄計画を察知した鬼寅は、これを阻止するために、ひと芝居打つ。彼は、もうじき出獄となる橘のことを思いやって、こうした芝居を打ったのであった。
この映画は、たとえ、ここで終わったとしても、十分、佳作となったと思う。ところが映画は、このあと意外な展開を見せる。橘真一が、不本意にも「手錠のままの脱獄」につきあわされる。その相棒が、権田権三(南原宏治)。ここから先のことは言わないが、北海道の大自然をバックにした映像はすばらしく、アクション・シーンも盛り沢山、結末も、多くの観客を納得させるものになっている。