◎朝鮮の半圜銀貨(大型・小型)・二十銭銀貨(大型・小型)
『日本貨幣カタログ 1997年版』(日本貨幣商協同組合、一九九六)から、「朝鮮貨幣類」のところを紹介している。本日は、二六四ページにある半圜銀貨(大型・小型)、二十銭銀貨(大型・小型)の計四種を紹介する。
図版は、いずれも、オモテ・ウラ両面。
データによれば、半圜銀貨(大型)は、「光武九年」=一九〇五年(明治三八)、「光武十年」=一九〇六年(明治三九)の二か年にわたって発行されている。発行枚数は、それぞれ、六〇万枚、一二〇万枚。半圜銀貨(小型)は、「光武十一年」=一九〇七年(明治四〇)、「隆熙二年」=一九〇八年(明治四一)の二か年にわたって発行されている。発行枚数は、それぞれ、一〇〇万枚、一四〇万枚。
二十銭銀貨(大型)は、「光武九年」=一九〇五年(明治三八)、「光武十年」=一九〇六年(明治三九)の二か年にわたって発行されている。発行枚数は、それぞれ、一〇〇万枚、二五〇万枚。二十銭銀貨(小型)は、「光武十一年」=一九〇七年(明治四〇)、「隆熙二年」=一九〇八年(明治四一)、「隆熙三年」=一九〇九年(明治四二)、「隆熙四年」=一九一〇年(明治四三)の四か年にわたって発行されている。発行枚数は、それぞれ、一〇〇万枚、二五〇万枚。
「隆熙二年」=一九〇八年(明治四一)、および「隆熙三年」=一九〇九年(明治四二)の三年にわたって発行されている。発行枚数は、それぞれ、一五〇万枚、三〇〇万枚、二〇〇万枚、二〇〇万枚。
造幣廠は、いずれも大阪造幣局である。
図版を見ると、四種とも、ウラ面には龍の図があり、そのまわりに、次のような文字がある。漢字およびハングルは、いずれも右書き。
半圜銀貨(大型) 「大韓・光武十年・□□・HALF WANG・」
半圜銀貨(小型) 「大韓・隆熙二年・□□・HALF WANG・」
二十銭銀貨(大型) 「大韓・光武九年・□□□・20 CHON・」
二十銭銀貨(小型) 「大韓・光武十一年・□□□・20 CHON・」
□□、□□□は、いずれもハングル。半圜銀貨(大型・小型)には、「半圜」を示すハングル(ローマ字表記では、pan-ueon)、二十銭銀貨(大型・小型)には、「二十銭」を示すハングル(ローマ字表記では、i-sip-chon)がある。
※昨日のコラム「朝鮮の二十圜金貨・十圜金貨・五圜金貨」の最後で、次のように書いた。
二十圜金貨に、「十圜」を示すハングルがあることはありえず、「二十圜」の三文字のハングル(ローマ字表記では、i-sip-ueon)でなくてはならない。おそらく、『日本貨幣カタログ 1997年版』の編集者が、図版を取り違えたのではないだろうか。
その後、二十圜金貨の図版をよく観察してみたところ、おかしいのは、むしろ「オモテ面」である。「二十圜」という漢字三文字(タテ書き)の配列が不自然である。「二十圜金貨」の図版が入手できなかったので、「十圜金貨」の図版を拡大して、「十」のところを「二十」に書き直したのではないか、「ウラ面」のハングルまでは直さなかった(直せなかった)ので、こういうことになったのではないか、という疑念を抱いた。この点を、補足しておきたい。ちなみに、「二十圜金貨」の時価は、このカタログが発行された時点では、一八〇万円から七五〇万円。かなりの珍品らしい。